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「三國志」30周年記念コンサート ~フルオーケストラで30年の歴史に浸りきった夜~【哲舟の歴史よもやま取材ルポ18】

去る2016年4月16日、神奈川県のミューザ川崎シンフォニーホールで、「三國志」30周年記念コンサートが開催された。主催のコーエーテクモゲームスが『三國志13』(2016年1月発売)を購入したユーザーを中心に1,000名以上を無料招待。
三国志ゲームのパイオニアらしい、なんとも粋で太っ腹なプレゼントイベントであった。

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会場のホールが入ったミューザ川崎。川崎駅のすぐそばに建つ洗練されたデザインの建物だ。

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場内に並んでいた、シミュレーションゲーム「三國志」シリーズ歴代タイトルのパッケージイラスト。13作品いずれも魅力的なビジュアルだが、強烈に印象に残っているのは、やはり『三國志2』から『三國志4』までの、生頼範義(おおらいのりよし)氏の作品だ。

当時、店頭に並んだパッケージに圧倒されたことが思い出される。左端が1989年(平成元年)発売の『三國志2』の絵だが、初代三國志の発売は1985年。4年の歳月を経てゲーム内容も大幅にバージョンアップされていたことが懐かしい。

004場内でふと頭上を見ると、龍や魏・呉・蜀の旗印の装飾があった。

005グッズ売り場では、『三國志13武将アート全集』やサントラのほか、この日限定の三國志Tシャツ(2600円)が販売されていた。初代『三國志』のパッケージイラストがアレンジされたものだ。もちろん速攻ゲットである。

006『三國志13』の限定セットに特典として付いていた諸葛亮のミニチュア人形も展示。人形劇三国志で使用された川本喜八郎さんの人形をモデルにした、この人形のためにシリーズを初購入したというファンも多くみられた。

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開演前のステージ上では神奈川フィルハーモニー管弦楽団の奏者の方が数人、静かに調整を行なっていた。

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コーエーテクモは昔からオーケストラによるサウンドトラックを制作・発売していたことで知られるが、CDなどではなく生のオーケストラで聴けるとは、なんと貴重な機会だろうか。

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来場者に配布されたパンフレット。初代から最新作の13まで、厳選された18曲がラインアップされており、眺めているだけでボルテージが高まった。残念ながら、4・6・10・11の4タイトルの曲が無かったが、限られた時間で全作品を望むのは酷というものだろう。

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開演を告げるベルが高らかに鳴り響いた後、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の奏者たちが続々と入場。それからコンサートマスターの崎谷直人さん、指揮者の山下康介さんが大きな拍手で迎えられ、胸ときめく2時間あまりのコンサートが開始された。
音楽コンサートの素晴らしさを文章と写真だけで紹介するのは難しい。以下、触りだけになるが簡単に感想を記しておきたい。

第1部の幕開けとして、初代三國志より「桃園の誓い」、「黄河~揚子江」が立て続けに演奏された。「桃園の誓い」は初代作品のオープニングとして有名だが、実はゲーム内では君主の戦略テーマ、エンディングテーマでアレンジバージョンが使用されていた。同シリーズにとって特別な曲といえよう。

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2曲が終わったところで、三國志シリーズの生みの親でもあるシブサワ・コウさんが登場。シブサワさんは、まず熊本地震の被災者に哀悼の意を表した後、来場者への御礼と歓迎の言葉であいさつ。
そして、「初代三國志の作曲者は菅野よう子さんでした。彼女が作曲した『桃園の誓い』があまりにも素晴らしく気に入っているので、『三國志13』『妖怪三国志』など最近のタイトルにも使用しています」と同曲への思い入れを語っていた。

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続いて同じく初代三國志から「干戈の交わり」、「季節が変わる頃」。戦闘のテーマである「干戈の交わり」の盛り上がりも素晴らしかったが、思わず涙腺が緩んだのは「季節が変わる頃」だ。

これは初代『三國志』で君主が死亡したり、婚姻(娘を他国へ嫁がせる)の際に流れる、物悲しいメロディラインが特徴の曲。演奏中はスクリーンにその作品で使われた武将のグラフィックや戦略画面が走馬灯のように映し出されるという素晴らしい演出がなされていた。

初代の曲の演奏が終わると、ミュージシャンの向谷実さんが登場。向谷さんは『三國志2』『三國志3』で作曲を担当された方で、オールドファンには印象深い方だ。筆者自身もこの2作は何度もプレイし、どの曲も鮮明に記憶している。

そんな向谷さんいわく、「僕が通った、当時の光栄さんのオフィスは民家のような場所にあって、オフィスも色々な場所に分かれていてダンジョンみたいだったのを懐かしく思い出します。特に『2』の時は中国っぽい曲を作りたくて、色々探した結果、タイ・バンコクのスタジオに出向いて、現地のバンドに協力してもらいました。中国テイストでレコーディングできたと思います」と思い出を披露。実に貴重な話が聞けた。

その後、『三國志2』『三國志3』から計3曲、向谷さん自らもピアノで演奏に参加。本当に素晴らしく、もっともっと聴いていたかった。

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その後もコンサートはテンポよく進み、合間には指揮と編曲を担当した山下康介さん、二胡奏者の五月(さつき)さん、ファミ通グループの浜村弘一さん、『三國志13』制作陣が登壇してトークショーを展開。
特に五月さんが奏でる「二胡」が加わることで中国っぽさが加わって、より三国志の世界にどっぷり浸ることができた。

休憩を挟んだ第2部では台湾生まれの女性歌手、一青窈(ひととよう)さんが登場し、『真・三國無双2』のエンディングテーマ「生路~CIRCUIT~」を生演奏とともに生歌で披露。
正直に書くと、もっとシミュレーションシリーズの曲を多く聴きたいという思いもあったが、さりとて、この曲も好きだし、三国志ファンや無双ファンの間では名曲として認知されているので嬉しい、という葛藤も抱きつつ聴き惚れてしまった。

全曲の演奏終了後も拍手は鳴りやまず、一青窈さんの代表曲「ハナミズキ」、『三國志13』より「猛き荒波の如く」「桃園の誓い」がアンコールとして演奏され、その濃厚なひとときに、鑑賞者は喜びの渦に包まれた。『三國志13』はプレイしたばかりということもあって、新鮮な気持ちで聴くことができた。

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音楽は記憶を揺り起こしてくれる。じっと聴いていると、当時プレイしていたゲームの記憶はもちろん、長らく忘れていた記憶まで思い出すことがある。
このコンサートでも、久しぶりに聴く名曲で「三國志」シリーズの歴史をなぞるうちに、懐かしい記憶がいくつも甦ってきた。それは清々しい、感動のひとときだった。

周囲を見渡すと、やはり三國志シリーズを初期からプレイしていると思われる40代から上の男性の来場者が多いようであった。もちろん無双シリーズをきっかけにしたファンや、『三國志12』や『三國志13』などで初めてプレイしたであろう若いファンも多くいて、思い思いに楽しまれていたようだ。
そして、それぞれが幸せそうな顔で家路に就く様子がとても印象深かった。名作シリーズを初期から見守るファンのひとりとして、コーエーテクモからの最高の贈り物に酔いしれるとともに、節目のイベントに立ち会うことができ、幸せな夜であった。

< 上演曲目 >

【第1部】

『三國志』桃園の誓い

『三國志』黄河~揚子江

『三國志』干戈の交わり

『三國志』季節が変わる頃

『三國志II』オープニング~黎明~/呉のテーマ/『三國志III』星辰

『三國志V』光芒の竜

『三國志VII』戦略・春宵

【第2部】

『三國志VIII』オープニングテーマ

『三國志VIII』中原の戦闘

『三國志IX』春・小勢力

『三國志12』雄飛

『三國志12』蜀のテーマ

『三國志12』呉越の戦い

『真・三国無双』DYNASTY WARRIORS

『真・三国無双2』生路~CIRCUIT~

『三國志13』燦爛たる時代

『三國志13』宿命を告げる鐘

『三國志13』波濤天剋~幕開け~

◆出演者の写真など詳しい情報はコーエーテクモ公式サイトへ
https://www.koeitecmo.co.jp/news/2016/04/30-1.html

◆「三國志」30周年特設サイト
https://www.gamecity.ne.jp/sangokushi30th/

©コーエーテクモゲームス All rights reserved.

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