三国志ドラマに見る荀彧の最期 史実よりも数年長く生きた?
昨今の三国志ファン、とりわけ女性の三国志好きに人気が高い人物といえば荀彧(じゅんいく)だ。曹操に仕えた名軍師であり、当時を代表する政治家としても名高い。
ドラマ『三国志 Three Kingdoms』では、中国でも名優として知られる李建新さんが演じている。この李さん、どことなく津川雅彦さんに似ているような・・・? ちなみに1965年生まれ、O型だそうだ。
荀彧はドラマでも史実や小説の通り、「官渡の戦い」で曹操を励まして勝利に導いたほか、良き相談役として序盤から終盤まで長く活躍を見せる。
筆者がとくに好きなのが、第30話「曹操、河北を平らぐ」で、曹操から禁酒を言い渡されて愚痴をこぼす許褚(きょちょ/写真右)をたしなめ、改心させる場面だ。
これはドラマオリジナルのエピソードながら非常にいいシーンなので、この回だけでも見てほしいぐらい。
ご存じの通り、荀彧は悲劇的な最期を遂げることになる。漢の献帝を軽んじ、魏王にのぼった曹操に対して憤りを覚え、次第に心が離れていくのだ。
ついに心労のあまり倒れ、曹操から見舞いの品が届くが、それは空の箱だった。もはや、自分は曹操にとって用済みの存在。そう悟った荀彧は自害して果てる・・・。
史実では、荀彧の死は212年、曹操の魏王就任は216年なのでドラマとは順序が逆。史実よりも数年長生きしていることになるが、この流れでも作品の上では何ら違和感がない。
惜しいことに主義や志が異なった曹操と荀彧。功労者を死に追いやった曹操の心中、どんなものだったのだろうか。本作はそのあたりで深い悲しみに包まれる様子もしっかりと描かれている。
荀彧が死を迎える回は第69回「曹丕、乱を平らぐ」。
チャンネル銀河では5月1日に放送済みだが、5月31日に再放送の予定があるという。見逃された方はこの機会にぜひご覧いただきたい。
『三国志 Three Kingdoms』オフィシャルサイト
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上永哲矢(うえなが てつや) 通称:哲舟。歴史コラムニスト、フリーライター。
『時空旅人』『歴史人』などの雑誌・ムックに、歴史や旅の記事・コラムを連載。
三国志のほか、日本の戦国時代や幕末などを得意分野とする。
イベント・講演にも出演多数。神奈川県横浜市出身。
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