歴人マガジン

【レキシズル 渡部首脳コラム 】「 歴史を仕事にする方法 」

ふとネット検索をしていたら、こんな相談を見つけた。「大学生の息子は歴史が好きなので、その関係で仕事をするにはどうしたらいいか?」そんなお母さんの素朴な疑問だった。学芸員、教師、出版社など相談に対する答えがあったが、要はそんなに歴史では食えないという意見が多かった。

その事実に比較すると、ボクがやっているレキシズルの仕事って独特なんだなと気づいた。せっかくなのでこの機会に整理してみようと思う。

そのビジネスモデルー

スライド1

まず①のバーについて。月〜金曜にオープンしているショットバーの水曜のみを「レキシズルバー」として開放している。つまりこの日だけは歴史好きが集まり、交流を深めている訳だ。

スライド2

他の曜日と比較すると、売上と集客数は2倍を超える。コンセプトが歴史で明確なのと、週に一度だけというプレミア感、そんな理由が考えられる。よく全曜日を歴史にすればいいのにと云われることがあるが、それだと必ず飽きがくる。通常のバーの(歴史に興味のない)お客さんもいるので、バランスも悪くなる。そしてバー経営全体を考えると、うちには二層のユーザーがいることは大きな強みになっている。飲食店を経営している方は、一日だけ別のコンセプトを設けてみるのも一興かと思う。

次は②のTERAKOYA。これはスライドを使った歴史のプレゼンテーションのこと。このイベントは自社の畳敷きイベントスペースで不定期の土曜に開催している。

スライド3

木戸銭(入場料)+バーカウンターからの飲食提供がビジネスモデル。昔から堅苦しくマニアックな歴史の講演会に対するアレルギーをボクは感じていたので、ポップでユーモアがあり、お酒を呑みながら楽しめる雰囲気を志向している。歴史初心者でもスッと入れるような、歴史の新たな間口になればと思っている。加えて、外部からのオファーがあれば積極的に受けてもいる。プレゼンが終わった後は、ざっくばらんに交流できる時間も設けていて、場所を移動せず、ワンストップでコミュニケーションを活性できるのは合理的でオススメである。

そして③の執筆。この歴人マガジンのコラムもそのひとつだ。

スライド4

画像はイメージである。実際はMacに向かって書いている。ボクの仲間にも歴史を筆でもって仕事にしているひとたちがいる。スタンダードなかたちではあるが、これ一本で食べているひとたちには尊敬の念を抱く。一方レキシズルは、複合した歴史ビジネスを組み合わせた形態。ひとつに特化するのも一手、いまあるものをアレンジして複数の強みを創っていくのもまた一手。

最後の④については、ボクは広告プランナーの仕事もしていて、結構歴史をネタにした企画がウケるケースがある。ある商品やサービスを坂本龍馬に使わせたらどんな感想を云うかとか、歴史を題材にした売れる商品を考えるとか、企業理念を幕末風に染める、など意外と歴史を絡めることで真新しいアプローチになったりする。

スライド5

スライド6

歴史の素晴らしいところは老若男女、職種などを問わない強いコンテンツであるということ。広い視野で見れば、もっと歴史で仕事は創れるのではないかと思っている。これからのビジネスマンたちが歴史を仕事にするケースが増えるヒントになれば、おじさんは嬉しい。

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