PCからスタートし、今やスマホ、コンシューマー版でもプレイすることができるFPSゲーム「VALORANT(ヴァロラント)」が日本でも注目を集めています。そして、多くのプレイヤーを魅了しているのが、このゲームのランクシステム。
なぜ日本のプレイヤーはこれほどまでにヴァロラント ランクに熱中するのか。単なるゲームの枠を飛び越え、一種の社会的シンボルとなっているこの現象を日本のゲーム文化から紐解いていきましょう。
日本のプレイヤーにとって「ランク上げ」とは?
まずは日本のVALORANTプレイヤーにとってランク上げがどのようなものかを見ていきましょう。
自己表現とオンラインアイデンティティ
「え、いまランクはどれくらいなの?」これはVALORANTプレイヤー同士が出会った際に定番の質問。その答えは単なるゲームの腕前を表すだけではありません。プレイヤーとしてのアイデンティティを形作る重要な要素の1つなのです。
コミュニティではランクに対して「どれだけ時間を賭けて上達したか、どれだけ真剣にプレイしているかの指標」との評価もあります。
日本の努力文化との共鳴
VALORANTのランクシステムが日本で人気の理由の1つに、日本の「努力する文化」があります。
多くの日本人は目に見える形で努力と成果が結びついているシステムに惹かれる傾向があります。その点、VALORANTのランクはランクという称号の階層構造で、自分の成長が目に見えるようになっています。そのため、日本のプレイヤーの「努力が報われる」という感覚を得やすいシステムになっています。
また、多くの日本人プレイヤーはランクに関連した明確な目標を設定しているのも特徴。たとえば「今シーズン中にゴールド3を目指す」など。これは進捗状況でドーパミンが分泌されるなど心理学・行動科学的にもモチベーション維持や目標達成率の向上に有効な行動であると言われています。
ランクによるコミュニティでの立場や会話の変化
では、ランクが実際にどのような変化を及ぼすのか見ていきます。
社会的地位としてのランク
VALORANTのランクは腕前を示すもの。コミュニティ内では一種の階級として機能します。ハイランクのプレイヤーは尊敬され、アドバイスを求められることも多くあります。
たとえば、ストリーマーで高いランクにいるプレイヤーがコーチング企画をすると、多くのプレイヤーが応募します。プレイヤーとしても、自分が初心者だったころから教える立場まで成長できたことを実感するので、達成感を感じることができます。
ストリーマー文化と「見られる」意識
日本のストリーマーでもVALORANTをプレイしているプレイヤーは数多くいます。ストリーマーとして重要なのは「おもしろさ」が1つあげられますが、ゲームをプレイするなら「ゲームの腕前」も重要な要素の1つ。
これはストリーマーにとって上手・下手を見られているとプレッシャーにもなりますが、視聴者の期待に応えるというモチベーションや、視聴者にとっては憧れや目標となります。
日本のプレイヤーの悩みと挫折
誰しもが簡単にプレイし続けるだけでランクが上がるわけではありません。ここではそんなプレイヤーたちの悩みを見ていきましょう。
現代病?「ランク不安」とは?
プレイヤーの中には「ランク不安」を経験する人も少なくありません。ランクマッチで負けることへの恐怖から、プレイ自体を避けるプレイヤーも。
目標のランクに到達しても、その後対戦相手もランクに合わせてレベルの高いプレイヤーになることから、ランクが下がるのが怖くてランクマッチに行けないというプレイヤーの声はXなどでもよく見かけます。
抜け出せないランクスタック
「シルバーから上がれない」など一定のランクで停滞してしまうという悩みは、非常に多く、日本のVALORANTコミュニティでも議論されるトピックの1つ。
プレイヤーは「連敗が続くと、もうここから自分は上がれないのではと思ってしまう」といった、ある種ランク不安のようなものから、「ソロ(1人)でマッチすると、チームメイトとのコミュニケーションの難しさもあり、実力以上に苦戦することがある」という悩みもあります。
モチベーションを維持するためのテクニック
最後に、VALORANTランクをプレイするモチベーション維持をするテクニックを紹介。このテクニックはVALORANT、ゲームに限らず、さまざまな場面で応用できると思うのでぜひチェックしてみてください。
トッププロから学ぶマインドセット
VALORANTにおいてトッププロは単にランクを上げるだけではなく、公式の大会などさまざまなものを背負って戦います。そのプレッシャーはランク上げをする一般プレイヤーの比ではないでしょう。では、彼らはどのようにそのプレッシャーに対処しているのでしょうか。
ZETA DIVISION所属で世界3位の立役者となった現クリエイターのLaz選手は、「目標を明確化する」「楽しんでプレイする」「うまい人のプレイ・大会を見て学ぶ」これを行なえば、自然とプレイ時間も伸び、ランクが上がると語っています。
コミュニティの活用
VALORANTのコミュニティは日本でも活発です。プレイヤーの多くは、同じ目標を持つ仲間とチームを組むことでモチベーションを維持しています。
コミュニケーションの難しさから実力以上に苦戦を強いられることもありません。そして、もし連敗したとしても、仲間内なら笑い話にすることさえできます。一緒に戦略を立てたりする楽しさもあるので、今まで見えてこなかった新しいVALORANTの楽しみ方が見つかるでしょう。
プロシーンの影響
日本はこれまでコンシューマー版のゲームが主流でeスポーツ後進国と言われていました。そんな中でZETA DIVISIONが見せた、世界3位という偉業は、多くの日本人プレイヤーにとって刺激になりました。
彼らの活躍を見て、自分もランクを上げるのを頑張りたいと思ったプレイヤーも数多くいます。プロの試合を見ることは、プレイの参考にもなるので、まだ見たことがないという人はぜひ。
VAROLANTとは
VALORANTとは、Riot Games社が開発する5対5のタクティカルFPSです。タクティカルの名の通り、単に撃ち合うだけでなく、戦術的な要素が重要となるゲーム。
プレイの精密性、独自性、そしてスタイル、シンプルながら奥深い戦略性とゲームデザインで世界中に熱狂的なファンを持つ人気タイトルです。