【 すべてはクライアントと報酬のため 】映画「忍びの国」で注目!伊賀忍者の歴史

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2017年7月1日から公開されることで話題の映画「忍びの国」。嵐の大野智さんが演じる主人公の無門は伊賀一の腕を誇る忍者とのこと。
本作では、伊賀を攻略しようとした織田軍と伊賀忍者との戦い「天正伊賀の乱」が描かれています。この機会に「伊賀忍者」について、改めて知ってみませんか。

和田竜氏による原作「忍びの国」 (新潮社)

大名に支配されない伊賀国

伊賀流の拠点は、現在の三重県西部、伊賀市と名張市にあたる場所にありました。周囲を山に囲まれた盆地で、攻め込まれにくい自然の要塞でした。

足利氏の流である仁木氏(にっきし)が代々伊賀の守護に就いていたものの、実際のところは複数の土豪が互いに牽制し合いながら国を分割して支配していました。土豪たちは基本的には敵対関係にありながらも、他国からの攻撃にあっては協力し合い伊賀を守っていました。重要な決め事なども合議によって決定していたのです。

こうして伊賀は周囲と強い緊張を持ちながらも独立していました。しかし世は戦国時代に突入。近隣の戦国大名たちが伊賀をいつまでも放っておくはずありません。

「だから言ったのにぃ」by信長【天正伊賀の乱】

永禄3(1560)年に桶狭間の戦いで今川義元を討ち取った織田信長は、その後勢いに乗って美濃、伊勢を手中にしていました。伊勢は伊賀のお隣。連戦連勝で乗りに乗っている信長の手が伊賀にかかろうとしていました。伊勢には二男・信雄(のぶかつ)を北畠家の養子として送り込んであります。

信長の二男・織田信雄

信雄は、北畠具教ら北畠一族を暗殺して伊勢国を乗っ取ります。そして天正6(1578)年2月、伊賀の下山平兵衛が手引きを申し出ると、侵略の拠点として国境にあった丸山城を修築しはじめます。

それを知った伊賀の土豪たちはビックリ!急ぎ集合して「城が完成する前にやっつけよう」と奇襲を仕掛けてきたのです。それにキレてしまった信雄は、信長に無断で挙兵。8千の兵を率いて伊賀に攻め込んだのですが・・・。

伊賀の国衆と忍者がそりゃもう強い!信雄軍は3日でボロボロになって敗走。これが第1次「天正伊賀の乱」です。この戦いで惨敗を喫した信雄はこっぴどく信長に怒られ、「親子の縁を切る」とまで言われてしまいます。

しかし、信長がそのまま黙っているはずもありません。2年後、再び信雄を総大将に、約5万の兵で再び伊賀攻めを行います。本気出されちゃいました。
この第2次天正伊賀の乱では、村や寺院は焼き払われ、僧侶や住民などおよそ4万人が殺されるなど、まるで地獄絵図のようだったといわれています。

生き残った伊賀忍者たちは散り散りに逃げ、その後は徳川家に雇われたりしながら、その活動を続けていくのです。

クール&ダーティ【伊賀の忍び】にシビレる!

戦国大名たちは敵の内情を探るため忍者を雇っており、忍者は戦国時代の陰の立役者でもありました。

もともと忍者の仕事は「諜報活動」「破壊工作」「暗殺」がメイン。そんな忍者の中でも伊賀忍者の特徴は傭兵としてのカラーが強いということ。甲賀忍者がひとりの主君に忠義を尽くすのに対し、とにかくビジネスライクに報酬次第で動くのが伊賀流といわれています。。特定の誰かに仕えるということはなくて、その時その時のクライアントの仕事を淡々とこなす。プロの仕事人、といったカンジです。
だから、昨日の雇い主も今日は敵、ということも当たり前。クールでダーティな伊賀忍者、かなりカッコイイです。

伊賀は藤林家、百地家、服部家の「三大上忍」と呼ばれる土豪が支配していましたが、この三家が伊賀忍者集団のリーダーたち。忍者は「上忍」「中忍」「下忍」というヒエラルキーのもと組織されており、「上忍」が依頼を受けて指示を出し、「中忍」がチームを作って計画を立て、「下忍」が現地活動、というように動いていたとされます。

ちなみに伊賀忍者と甲賀忍者はライバル関係のイメージが強いですが、実際はお隣同士協力関係にあり、どちらかに敵が攻めてきたときは力を合わせて戦うよう約束していたらしいですよ。

知力と体力と精神力!【伊賀の忍術】

北斎漫画より

忍者は厳しい仕事をやり遂げるため、過酷な訓練を日々続けていました。依頼通りに情報を収集して雇い主へ渡すためには、戦闘スキルだけではなく、自己防衛術、脱出術、といった生存のための技が必要だったのです。

成長スピードの早い大麻を毎日飛び越えるトレーニングでジャンプ力を高め、素早い移動のためランニングを欠かさず、炎を凝視→閉眼を繰り返して夜目を鍛える、といった具合です。さらに仲間との連絡などのために暗号の知識も必要でした。これはもう完全に「007」?!

徳川時代に大成した忍術技術書「万川集海」の1頁。家屋に侵入するために最適な時間などが書かれている。

もちろんスパイ活動には変装技術も不可欠。巧みに行商、虚無僧などに化けて敵地を偵察したのです。また単独での活動で追い詰められても気力を保てるような精神力も必要でした。「九字護身法」といわれる秘術は「臨兵闘者皆陣列在前(りんひょうとうしゃかいじんれつざいぜん)」の九字を唱え両手で印を結び、精神を研ぎ澄ますことでミスなく窮地を乗り越えるもの。

九字(『九字護身法』 博文堂庄左衛門)

すべてはミッション完遂のための技術です。知力、体力、精神力のどれが欠けてもサバイバルは不可能なのですね。

最近では、外国人からの人気も高まっている忍者。こうしてスポットがあたることで研究も進み、新たな発見があるかもしれませんね。
映画でどのように描かれるか、どうぞお楽しみに!

(こまき)

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