- ビットコインが1月の前回高値を上回り、史上最高値となる110,788.98ドルを記録
- FOMC議事録による利下げ観測やビットコインETFへの資金流入が価格上昇を後押し。インフレ懸念と法定通貨不安がビットコインへの需要を加速
- 今後はFOMC議事録やBitcoin 2025カンファレンスの発言内容がカギ。一方で関税問題による不透明感も残る
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは5月22日、ついに11万ドルの壁を突破。110,788.98ドルの値を付け、本稿執筆時点では108,581.50に落ち着いている。
1月20日に記録した108,786ドル以降は一時75,000ドル水準まで下落していたが、ようやく上昇モメンタムに。なお、最高値を更新した5月22日は、ビットコインが15年前の同日に初めて実世界で使用された「ビットコイン・ピザ・デー」の記念日と重なることから、象徴的な意味合いも持ち合わせている。
そして、このトレンドにしたがって、暗号資産に関心のなかった層も市場に参入する可能性が高い。一方で、新規参入者の増加に伴い、取引所におけるセキュリティリスクや詐欺被害への懸念も高まっている。こうした背景から、ビットコインを安全に保管する手段として、ビットコインウォレットおすすめの需要も高まりを見せている。
このように、ビットコインの最高値更新は、市場に新たな種を巻き始めているといえそうだ。
最近のビットコイン上昇基調、その背景
米国のドナルド・トランプ大統領就任日に109,000ドル超えを果たしたビットコインであったが、その後は暗号資産取引所のBybitのハッキング事件や米国の関税対策が影響し、大きく下落。下落相場の出口がいつになるのか、投資家たちの間で議論が分かれていた。
しかし、米国が英国との貿易協定合意を発表した5月9日、再び10万ドルに返り咲き。通商関係の改善に、市場が歓迎した形となった。
また、米国では政策金利の据え置きが決定したばかりだが、それでも金利引き下げの可能性が高いという見方が多数だ。このことにより、ビットコインのような高リスク資産に注目が集まっていることも、最近の上昇理由の大きな理由と言えるだろう。
初の11万ドル超えを達成
今回の最高値更新の背景には、米国経済と金融市場の変化がある。とりわけ注目されたのは、5月22日に公表されたFOMC議事録だ。議事録によると、FRB内ではインフレが再び上昇する可能性に警戒感がありつつも、利下げの可能性は視野に入っているとの見方が示されていた。これにより、投資家にとって法定通貨の魅力が低下し、インフレヘッジとしてビットコインが再評価された。
加えて、ビットコインETFへの資金流入は連日高水準を維持しており、5月20日には一部のETFにおいて1日で2億ドルを超える純流入が記録された。これらが連鎖的に価格上昇を後押しし、結果的に5月22日の歴史的な価格更新につながったのである。
価格動向に影響する今後の材料
まず、5月29日にはFOMC議事録の公表が予定されている。ここで金利の方向性について言及される可能性が高く、発言内容次第ではビットコインの価格は大きく動くこともありえるだろう。
さらに、5月27日から29日にかけて、ビットコインカンファレンス「Bitcoin 2025」がラスベガスで開催される。ここではバンス副大統領の基調講演が予定されており、米国におけるビットコインの有用性について語られる予定だ。したがって、内容次第では市場が好感を示すことが考えられるだろう。
一方で、米国がEUからの輸入品に対し50%の関税を課す可能性が高まっており、これを引き金に売り圧力がかかる可能性も。総じて、米国の政情を継続して注視する必要がありそうだ。
まとめ
5月22日の史上最高値更新は、ビットコインが投資対象としての地位を着実に高めていることを示す象徴的な出来事となった。インフレ懸念や米国の金融政策の不透明感、そして伝統的な資産への不信感が重なり、リスク資産の中でもとりわけビットコインに資金が集中した形だ。
しかし、その価格上昇が経済の実態や利用価値に基づくものか、それとも一時的な期待によるものかを見極めるには、今後の材料を冷静に観察すべきだろう。FOMC議事録の公表、Bitcoin 2025の開催がまもなく控えており、相場の流れを大きく左右する可能性もある。
したがって、投資家は相場の急変動に備えつつ、冷静な視点で今後の動きを見守る必要がある。