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【 島左近の息子や、少年時代の司馬遼太郎が登場! 】プロデューサーが語る、映画『関ヶ原』の見どころ

巨匠、司馬遼太郎の小説を原作とした映画『関ヶ原』の公開が、いよいよ8月26日に迫った。岡田准一、役所広司など豪華出演陣の魅力もあいまって「早く観たい!」と期待の声も高い。そこで、わたくしの独断と偏見ながら、その「見どころ」を紹介。さらに今回は、特別に本作のプロデューサー・山本章さんからいただいたコメントも合わせて掲載する。いざ、ご一読あれ!

島左近の息子、信勝(のぶかつ)の活躍に注目!

「鬼左近」や「三成に過ぎたるもの」と評された名将・島左近(しまさこん)。後世の人気も高い武将だが、「武田信玄に仕えた」という説や、関ヶ原合戦後の生存説まで出回るなど詳しい史料に乏しく、謎に包まれた武将でもある。

そんな謎だらけの彼にも家族はいたわけで、本作にはなんと彼の息子・島信勝が登場する(写真左)。もちろん実在の人物だ。

「原作では名前が登場したぐらいの扱いでしたが、本作では常に父・左近に近侍する若武者として登場します。決戦当日は、彼にも大きな見せ場があります。左近の活躍はもちろんですが、息子・信勝にもぜひ注目してください!」(山本プロデューサー)

少年時代の司馬遼太郎氏が登場!

「いま、憶(おも)いだしている。筆者は少年のころ、近江の国のその寺に行った記憶がある」
司馬遼太郎氏の小説『関ヶ原』をお読みになった方であれば、この書き出しにピンとくるかもしれない。本作の冒頭では、このシーンがナレーションとともに再現され、幼き日の司馬遼太郎が登場する。

原作では場所についての明言はないが、映画では「五百羅漢像」で有名な彦根の天寧寺がその舞台に選ばれた。本編でも、ここが秀吉と三成の出会いの場として描かれる。史実かどうかはさておいて、この歴史大作のオープニングを飾るにふさわしい場だ。

「この冒頭をはじめ、随所に語り(ナレーション)が挿入されています。原作から引用したフレーズも多いので、司馬さん自身が語りかけてくるような感覚になっています。この映画は、司馬さんをリスペクトした作品でもあるのです」(山本プロデューサー)

ド迫力の戦場、関ヶ原に轟く大砲!

実際に関ヶ原へ行ってみると分かるが、かつての戦場は、だだっぴろい平地というより狭い盆地。両軍が激突した大半の場所は山際の斜面だったようだが、映画でもそれが再現されている。特に石田三成の本陣・笹尾山での戦闘シーンは、駆けのぼってくる東軍を、島左近らが必死に食い止めにかかる。高低差のある戦場でのぶつかりあい、斬り合い、刺し合いといった殺陣も迫力があり、洋画にも負けない戦闘シーンとなっている。

また、「大砲」の活用も見どころのひとつ。史実でも関ヶ原の頃には、かなりの数の大砲が使用されていたという。大砲というと、激しく爆発するようなものがイメージされるが、当時はまだ炸裂、爆発するようなタイプのものではなかった。ボウリングのような鉛玉を飛ばし、その直撃によって敵陣や城、あるいは敵兵に打撃を与えたものだが、それでも脅威だったはず。映画では砲弾が炸裂し、大きな爆発を起こすシーンもあるが、そこは史実云々にこだわらず、純粋に楽しむべきだろう。

武将たちの甲冑、特に「変わり兜」へのこだわり!

写真の福島正則が抱えているのは、合戦前に黒田長政からプレゼントされたという「桃形兜」(ももなりかぶと)。いかつい水牛のような角が特徴だ。一方の黒田長政は、正則から受け取った「一の谷形兜」(いちのたにかぶと)を着用する。どちらも福岡市博物館に現存するが、本作ではこういった「小道具」もしっかり再現されている。かと思えば、石田三成や島左近は本作独自に考案されたデザインの兜を着用している。

このような兜は、さぞ「重そう」に見えるが、実は皮や和紙が主な材料で金属は使われていない。見た目ほど重くない「見せ兜」であった。とはいえ、ああいう派手な前立(まえだて=兜の飾り)を着けたままで戦場を動き回るのは不便。前線に出るときなどは外すこともあった。

「この映画でも、戦いを前にして、敢えて前立を外して側近に預けるシーンを入れるなどのリアリティを取り入れました。こういう細かい『こだわり』が随所に散りばめられているので、一度観ただけでは気付かないことも多いかと思います。ぜひ、二度・三度とご覧になってほしいですね(笑)」(山本プロデューサー)

もちろん、創作された部分も多いが、監督や制作側は時代考証を理解したうえで「このほうが映画的にいい」と判断したうえでアレンジを加えているそう。史実と考えられる部分と創作部分の「境目」を探すというのも面白そうだ。

役所広司版「家康」の圧倒的な存在感!

映画『清須会議』で柴田勝家を演じ、昔の大河ドラマで織田信長を演じ、TBSの大型時代劇では武田信玄を演じたことでも知られるが、その役所さんが徳川家康(写真右)を熱演する。岡田准一さんが演じる石田三成はもちろんだが、三成と並ぶもうひとりの主人公・家康の魅力も十二分に描かれている。

「役所さんは楽しんで演じていらっしゃいました。ご自身でも家康についてお調べになり、恰幅の良さを再現したいと言われたので、それに沿ったメイクを施しています。パッと見るだけでは気付かないかもしれませんが、耳たぶとか、顔のシワなどにも注目していただれば」(山本プロデューサー)

太って見せるため、衣装も重ね着していたとか。さらに劇中、家康が裸になるシーンがあるが、その裸体はまさに「タヌキおやじ」そのもの。一体どうやって再現したのか気になるばかりだが、百聞は一見に如かず。スクリーンでは家康の「恰幅の良さ」、そして「裸体」にも注目してほしい。

歴史的な撮影現場の重厚感!

本作では、東本願寺・大寝殿、彦根城、清凉寺、日吉大社、東福寺といった歴史的な建造物がロケ現場に使用された。そんな中で、山本プロデューサーは思い出深い撮影現場として世界遺産のひとつ「姫路城」を挙げた。

「石田三成が挙兵を宣言するシーンでは、姫路城の小天守とつながっている『ロの渡り櫓』が使用されました。あそこは二層構造になっていて、上で私たちが撮影している間、下では一般の見学者の方が歩いている・・・という状況だったんです(笑)」(山本プロデューサー)

映画を観ながら「ここはどこで撮影されたんだろう?」と思いを巡らせてみても面白そう。とはいえ、初見の際はあまりそういうことを考えず、どっぷりと『関ヶ原』の世界に浸りながら観賞したほうが楽しいだろう。

「時代劇ですから、当時の事情を知らないと理解しづらい部分もあると思います。でも、試写をご覧になった方々からは『2時間半という長さを感じなかった』という声もたくさんいただくことができ、嬉しい限りです。特に合戦シーンは迫力ある映像に仕上がっていますし、重厚な撮影現場に臨んだ役者さんたちの気持ちも、すごく入っています。その勢いのある演技に圧倒されるような本作、ぜひ劇場で楽しんでいただけたらと思います」(山本プロデューサー)

史上初となる「関ヶ原の戦い」の映画化。本作の試写を観て、なぜ関ヶ原が今まで映画化されなかったのか、なんとなく理解できた。あまりに多くのドラマがあり、短時間で描くには難解にすぎるし、合戦シーンも生半可な映像技術では再現できなかったからに違いない。それが21世紀のいま、合戦から420年近くを経てスクリーンに蘇る。最新の技術で再現された、この大戦を劇場で体感してみてほしい。

【文/上永哲矢(哲舟)】

映画「関ヶ原」

8月26日(土)より全国ロードショー
配給:東宝=アスミック・エース
監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一 有村架純 平岳大 東出昌大/役所広司
公式サイト:http://sekigahara-movie.com/
©2017「関ヶ原」製作委員会

【ストーリー】
1600年9月15日 関ヶ原。時代が、動き出す。
関ヶ原の戦い――それは、戦乱の世に終止符を打ち、後の日本のありようを決定づけた。秀吉亡き後、豊臣家への忠義から立ちあがる石田三成(岡田准一)と、天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)。三成と家康は、いかにして世紀の合戦に向かうのか?そして、命を懸けて三成を守る忍び・初芽(有村架純)との、密やかな“愛”の行方は……。権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通した“純粋すぎる武将”三成を中心に、三成へ忠誠を誓う島左近、忠義に揺れる小早川秀秋など名だたる武将たち、そして彼らを取り巻く女たちの“未来に向けた”戦いが、今、幕を開ける!!

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