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【 ネオ時代小説 】信玄から昌幸へ・・受け継がれた最強の系譜「九度山秘録」

戦国時代の「小姓」をモチーフにした話題作

 

真田一族の人気は来年の大河ドラマ「真田丸」の話題で分かる通り言わずもがなですが、今日もまた真田一族をモチーフにした書籍を発見、お知らせすることにしました。
しかし今回モデルになっているのは、信繁(幸村)公ではなく、その父親昌幸公が主役の小説「九度山秘録」(河出書房新社)です。

智将真田昌幸。wikipediaより。

智将真田昌幸。wikipediaより。

信繁(幸村)の父である昌幸、さらにその父である幸隆と併せ「真田三代」として歴史ファンの間では今でも高い人気を誇っていますが、戦国最強といわれた甲斐の名将 武田信玄のもとに仕えた昌幸が、己の生涯を投影して一人の稚児を育て上げるというストーリー。

戦国時代、武将は「小姓」と呼ばれる武将の秘書的な役目をしたり、いくさでは主君の盾として命を賭けて戦う立場のいわば「幹部候補生」としての少年を脇に従えていたといわれています。
織田信長の小姓として、後世に語り継がれるほどの秀麗な美少年だったといわれる森蘭丸が有名。

父幸隆により武田信玄のもとに人質として送られた昌幸。
その頃から昌幸の頭脳明晰な才知は広く知られたところだったようで、そんな昌幸を信玄が小姓として側に置き、直々に帝王学のようなものを教えたとも想像できます。
その昌幸が同じく一人の稚児を小姓とし、その「最強の系譜」を受け継いだ小姓が、固い絆で結ばれた家臣団を作っていくというストーリーは、考えただけでもワクワクしますよね。

武田信玄公。wikipediaより。

武田信玄公。wikipediaより。

また武将と小姓は「衆道」と呼ばれる同性愛的な関係があったともいわれますが、この小説は俗にいわれる単純な「ボーイズラブ」ではなく、歴史小説として、真向から稚児を題材として扱った作品として描かれているそうです。

幸村が大坂の陣で滅ぶ際に仙台の片倉小十郎を通じて落ち延びさせた次男 大八と四人の娘達の話は有名ですが、この作品はその逸話をもとに著者である黒澤はゆまさんが創作した「ネオ時代小説」です。
黒澤さんは、芥川賞作家・玄月氏の小説教室を経て、2013年に『劉邦の宦官』でデビュー。
今月からcakesで「なぜ闘う男は少年を愛するのか?というコラム連載もされている新進気鋭の作家です。

カバーイラストは、第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞し、2012年には岡田准一さん主演で映画化もされた人気作『天地明察などのコミカライズを手がけた漫画家の槇えびしさん。
現代的で繊細なラインで描かれる戦国武将の、なんとも言えないネオ戦国的な空気感が女性に大人気。

先日ご紹介した「ヤタガラス」はじめ、女性ファンに人気のイラストレーターと斬新な切り口のストーリーをもつ作家のコラボ作品が、なかなかにして評判のようですね。
今までこのように新しい切り口で描かれたネオ時代小説に縁がない歴史ファンの人、これをきっかけに挑戦してみてはいかがでしょうか?

副編集長Y

参照元:
九度山秘録」河出書房新社

 

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