公開前から話題を呼んでいる映画「関ヶ原」。豪華キャストはもちろん、そのスケールの大きさにも注目が集まっています。編集部も試写を拝見したのですが、実は歴史好きの皆さんにぜひ注目してもらいたいポイントがあるのです。それは・・・ロケーション!
撮影場所を聞いてビックリ。下鴨神社、百済寺、弘誓寺、彦根城、光明寺、日吉大社、龍譚寺、清凉寺、東福寺、金剛輪寺、東本願寺、圓教寺、二岡神社など・・・滋賀や京都などを中心に、国の重要文化財を含む歴史的建造物の数々。実際にゆかりのある場所でも撮影された、歴史ファン必見のシーンを一足先にご紹介します。
本物だからこその重厚感!監督こだわりのロケーション撮影
本物のロケーションにこだわりをもつ原田監督。本作では京都松竹撮影所に大阪城、大垣城、伏見の加藤清正屋敷などの一部がセットとして作られましたが、ほとんどのシーンはロケーション撮影だったそう。
石田三成役の岡田准一さんが「本物の場所に立って演じられるのはとても嬉しい」と語るように、歴史の重みや重厚感は圧倒的な存在感と美しさがあり、役者にも大きな影響を与えていたようです。
映画としては初!東本願寺・大寝殿での撮影
なかでも特筆すべきは、映画として初めて許可が降りたという東本願寺・大寝殿(京都府京都市)での撮影です。
伏見城の千畳敷をセットで建てることは極めて困難。ロケーション撮影となると東本願寺しかないだろうということで、無理を承知で交渉したのだとか。原田監督いわく「司馬遼太郎先生が新聞記者時代(宗教記者クラブ)に東本願寺とかなりご縁があったことも大きかったです。撮影できて本当によかった」とのこと。東本願寺だからこそ可能だった、奥行きのある画は圧巻です。
普段は足を踏み入れることのできない大寝殿にて、2016年9月21~22日の2日間にわたり「伏見城千畳敷大広間」の2つのシーンが撮影されました。
1つ目は、謀反の罪で自害させられた関白・秀次の妻妾、和子、侍女20名を三条河原で処刑することが前田利家から告げられるシーン。秀吉、家康、三成など主要キャスト15名+諸大名役が40名、総勢55名が大寝殿に揃う画はなんとも豪華です。
もう1つは、蔚山(ウルサン)城の戦いで13の首級をあげつつもそのすべてが追首だったことで、小早川秀秋が裁きを受けるシーン。
逃げる敵を後ろから討つとは武将にあるまじき行為だと責める三成と、秀秋の武勇を称える家康。秀秋の裁きの場ではありますが、三成と家康のバトルが繰り広げられる印象的な場面でもあります。
ちなみに秀吉を演じる滝藤賢一さんは名古屋出身ということもあり、「みゃあ」「にゃあ」といった方言も完璧。尾張弁で三成と家康を一瞬にして黙らせる迫力の演技にも注目ですよ。
上段に座る秀吉の向かって左側に三成、右側に家康が座るのですが、よく見ると、秀吉の両脇には大きな地球儀と波をデザインした銀の芸術品が飾られています。
家康側に飾られた波のオブジェ。
原田監督は三成を「頭脳明晰で柔軟性があり、世界に目を向け広い視野を持っていた人物」と分析しており、三成側には世界を示す地球儀を。一方、三成を倒すためにまず秀秋を陥れようと企む家康側には、すべてをのみ込もうとする野心を表すかのような波のオブジェを置いているのだそうです。
左近の屋敷跡、清凉寺でも撮影
撮影は、三成ゆかりの地としても知られる滋賀県彦根市の龍潭寺、清凉寺でも行われました。
龍潭寺では、豊臣旗下の諸侯が集められ誓紙に署名をするシーン、清凉寺ではその後の酒席のシーンが撮影されています。
ハメを外し騒ぎ出した諸侯たち(主に酒癖の悪さで知られるあの武将)を怒号しながら泣くという、家康が大芝居を打つシーンです。役所さんのド迫力の演技に引き込まれます。
この清凉寺は井伊直政の墓所がある井伊家の菩提寺で、元は島左近の屋敷があった場所。きっと直政や左近たちも撮影を見守っていたでしょう。
滋賀県では他にも湖東三山の金剛輪寺で北政所と秀秋のシーン、百済寺は三成の屋敷として登場しています。
また、家康の陣所として登場するのは圓教寺(兵庫県姫路市)。
撮影に使用された大講堂は室町中期の建物で、重要文化財にも指定されています。
恰幅の良い家康と、直政(北村有起哉さん)らが戦況を見守るシーン。
他にも、『七人の侍』のロケ地でもある二岡神社(静岡県御殿場市)や、世界遺産でもある下鴨神社(京都府京都市)などの歴史的建造物で撮影された本作。その豪華なロケーションにも注目してみると、より映画を楽しめること間違いなし。
左近役の平さんも「美しい映画」だと評していましたが、筆者も鑑賞後にロケ地を知り、もう一度見直したくなりました。
歴史好きに刺さるポイントが随所に盛り込まれている映画「関ヶ原」、ぜひ劇場でお確かめください。
映画「関ヶ原」
8月26日(土)より全国ロードショー
配給:東宝=アスミック・エース
監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一 有村架純 平岳大 東出昌大/役所広司
公式サイト:http://sekigahara-movie.com/
©2017「関ヶ原」製作委員会
【ストーリー】
1600年9月15日 関ヶ原。時代が、動き出す。
関ヶ原の戦い――それは、戦乱の世に終止符を打ち、後の日本のありようを決定づけた。秀吉亡き後、豊臣家への忠義から立ちあがる石田三成(岡田准一)と、天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)。三成と家康は、いかにして世紀の合戦に向かうのか?そして、命を懸けて三成を守る忍び・初芽(有村架純)との、密やかな“愛”の行方は……。権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通した“純粋すぎる武将”三成を中心に、三成へ忠誠を誓う島左近、忠義に揺れる小早川秀秋など名だたる武将たち、そして彼らを取り巻く女たちの“未来に向けた”戦いが、今、幕を開ける!!
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