【泉秀樹の歴史を歩く】秀吉の天下取り

エンターテインメント

歴史作家・泉秀樹が歴史の現場を探訪取材し、独自の視線で人と事件を解析して真実に迫る「泉秀樹の歴史を歩く」(J:COMテレビで好評放送中)。

今回のテーマは、秀吉の天下取り

猿に似た貧しい小男がどのように時代の寵児に出世し、なぜ天下を取れたのか。奇想と奇策とその斬新な知略で戦国乱世を切り開いた秀吉の鮮烈な生き方とは?

第1章

 

豊臣秀吉は織田信長・徳川家康とならぶ戦国の英雄だが、「英雄」という印象をあたえません。
派手々々しく明るい性格と鋭い頭脳と幸運に恵まれた親しみやすい庶民、という感じです。信長が「禿げねずみ」と仇名をつけた容貌のせいか、なにをやっても「陰険」ではなく「陽険」だからか、秀吉をいつも土臭い尾張訛りでしゃべっている人なつこくて剽軽(ひょうきん)な人物としてとらえている日本人が多いと思います。
この一時間番組で秀吉の生涯のすべてに触れることはできないので、いくつかおもしろいところをピックアップして紹介し、天下取りまでを辿っていきます。

第2章

秀吉は体勢を整え、浅野長政を姫路城の留守役とし、九日の早朝、明石に向かって出陣した。
そして、この日も大雨のなかを姫路から御着城、加古川城、大明石(JR明石駅付近)を経て夜半には兵庫(神戸)に出た。
秀吉の別働隊は淡路島の洲本にいた明智側の菅平平右衛門を攻撃した。

六月十一日 前日来、秀吉軍が備中から馳せ帰ってくるという情報があった。そのため、光秀はこのころ廃城になっていた淀城(京都市伏見区淀本町)の補修普請を命じた。
白川、浄土寺、聖護院の三郷の百姓を徴集して淀城の南側の堀の普請をやらせたのである。
この城に拠って秀吉と戦うことを考えていたのかもしれない。とにかく光秀のもとに秀吉の軍勢が迫ってきているという風評が頻々と届いていた。

第3章

 

山崎の合戦で手柄をたてたのは秀吉の子飼いか親秀吉の武将たちばかりだった。
よしみを通じていない者は手柄をたてることができなかった。というのは、布陣図を見ればわかるが、前線に子飼いを置いて、よしみを通じていない者は後ろに配置した。子飼いは旺盛な忠誠心でよく戦って、大きな手柄をたてた。従って、戦後、大きな褒美をあたえました。
うしろに配された者は戦いようがなく、手柄の立てようがなかった。褒美をもらえないことになる。
「人の信を得ずして天下はとれない」
秀吉は自分を引き上げてくれた信長への忠誠心とは別の意味で、信長に対して批判の目をもち、謀反による横死という人生の幕切れを、漠然とながら予測していたのではないでしょうか。
そうでなければ、中国大返しのような瞬時の大決断の説明がつかないですね。
現代の組織においても独善的な上司を批判しつつ、いつしか飼い慣らされる居心地のよさに安住してしまうという話はよくあるが、秀吉は厳しい上司という現実を受け止めつつ「なにが自分にとって飛躍のチャンス」なのかという、仮説を立てられるリーダーだったのだろう。
また、秀吉の勝利はあらゆる条件が揃っていた。自分のおかれた状況を素早く察知し、正確な判断をもって迅速に行動した。一つのことだけに集中しないで周到に計画を同時進行させた。最後には幸運である。天下をとるためには優れた判断力とそれを実行する勇気と大きな幸運が必要なのだ。

第4章

戦乱の世を生き抜くために、どのように巧妙に裏切りを行えばよいか、そのみごとなノウハウを教えてくれる利家の「敵前逃亡」ですが、利家の協力を得てこの戦いに勝利したことで、秀吉は声望を高くし、天下取りの確実な一歩を踏み出したのです。

 


番組ナビゲーター:泉秀樹(いずみ ひでき)

作家・写真家 昭和18年(1943)静岡県浜松市生まれ。昭和40年(1965)慶應義塾大学文学部卒業。産経新聞社記者・編集者などを経て作家として独立。写真家としてもヤマハ横浜・藤沢で『モーツアルトのいる風景展』、藤沢市民ギャラリーで『四季の藤沢-人と海と街展』を開催するなどの活動をつづけている。昭和48年(1973)小説『剥製博物館』で第5回「新潮新人賞」受賞。日本文芸家協会会員。

「泉秀樹の歴史を歩く」

番組ページ:https://www2.myjcom.jp/special/jtele/rekishi-wo-aruku/

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