高倉健さんが亡くなりましたね。享年83歳。
この原稿を「歴人マガジン」で取り上げていいものかどうか、未だに戸惑いながらも書かせてもらいます。
40代半ばの私にとって、高倉さんは「東映の任侠スター」ではなく「日本の男の理想」でした。
「八甲田山」「動乱」の日本軍人。
「幸せの黄色いハンカチ」「遥かなる山の呼び声」の過去をもつ男。
「ブラックレイン」のベテラン日本人刑事。
この5本が私の中の高倉さんのイメージを決定づけました。
サムライだって絶対似合うだろうに、「宮本武蔵」の佐々木小次郎役も見ていない。あくまでも現代の日本に生きた男だという印象です。
昨日訃報を聞いたとき、驚きばかりが先に立っていましたが、1日を経たいま、「日本映画界の歴史」が一つ幕を閉じたという喪失感がジワジワと湧いてきています。
NHK「プロフェッショナル」を見て、少しは知っていたものの、訃報直後から続々とネット上に出ている「人間 高倉健」の数々のエピソードや名言を知らなかった悔しさも。
「日本を代表する名俳優、高倉健さんの心に残る伝説の名言10選」コレスゴ!
その存在自体が伝説だった人ってそうそういない。
ましてや作られた映像の中だけで実態が違うという事実もたくさんある世界に生きながら、あんな人ってもう出てこないんじゃないか。
「遥かなる山の呼び声」で草競馬に勝って戻ってきたシーンでまだ子役だった吉岡秀隆さんに見せる笑顔に、こちらが理由もなく嬉しくなったり。
またラストシーンで、倍賞千恵子さんが頑張って彼をまつ報告をした時に見せる涙に「こういうときは健さんも泣くんだから男はときに泣いてもいいんだ」と思ったり。
「幸せの黄色いハンカチ」で武田鉄矢さんに説教した「女性への接し方」を襟を正す気持ちで聞いたり。
そんな思い出のシーンを思い浮かべながらエピソードを読めば読むほど高倉さんは、公私ともに「人間 高倉健」だったことを感じます。
「ブラックレイン」で共演、すでに鬼籍に入られている松田優作さんも、高倉さんとの再会をとても喜んでいることでしょう。
その松田さんが東洋的な死生観から、生前こんな言葉を残しています。
「人間は二度死ぬ。肉体が滅びた時と、みんなに忘れ去られた時だ。」と。
その意味で高倉さんは私の中で死んでいません。
私なんかは到底到達できない、手の届かない「日本の男の理想」としていつまでも生き続けるのです。また、そう思っている人はたくさんいると確信しています。
健さん、私が言うことじゃないことなど百も承知のうえ、あえて言わせてください。
天国では肩の力を抜いて、愚痴言ったり、弱音を吐いたり、アホな話やスケベな話もする、そんな普通の男でいてください。
今まで本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございました。ゆっくりとお休みください。
(副編集長Y)
参照元
「高倉健」wikipedia(画像はパブリックドメインです)
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