●女性から見た隊士の青春群像
今も昔も歴女・幕女たちの心を掴んで離さない「新選組」。
新しい国づくりを夢見て、青春の炎を燃やす倒幕志士とはまた異なり、ひたすら己の義を貫いた「滅びの美学」の切なさが女性の心を捉えるのでしょうか。
かくいう私も、今まではどちらかといえば倒幕志士が気になるクチでしたが、冷静に近代史を紐解くと、新選組の純粋すぎるまでの幕府への思いが魅力的に見えてきました。
今日ご紹介する「独白新選組 隊士たちのつぶやき」は、城や戦国史など、歴史関連の書籍を出版しているサンライズ出版が3月に全国発売を開始した小説。
滋賀にお住まいの松本匡代さんが、女性の視点から見た隊士達の心の交流を描いたこの作品は、前著「新選組 試衛館の青春」と併せ大ヒットとなっています。
●twitterやまとめサイトで人気が爆発、出版化へ!!
そもそものはじまりは 2012年 12月に出版された前著「新選組 試衛館の青春」。
隊士らが京に上る以前、江戸の剣術道場・ 試衛館で腕を磨く彼らの日常を取り上げた作品です。
すると読者から「新選組を結成してからの物語も読みたい」との声が上がり、2006年から 2008年までに書きためていた「独白新選組 隊士たちのつぶやき」(原題「独白 新選組隊士達の呟き」をtwitter上で、全44回を計2回にわたって連載。
読者からの熱いラブコールによって再連載したそうですが、連載のまとめサイトtogetter(リンク)の閲覧数は全7章で 4万ビューを超えるほど(2015年4月 14日現在)の人気となったそうです。これはハンパない!
●やっぱり最後は本で読みたい!との声に、満を持しての発刊!
フォロワーからの圧倒的支持を受け、松本さんは昨年11月、一冊の本にまとめることを決意。
幕末に詳しくない読者にも読んでもらえるよう、新たに「序章」と「終章」を書き下ろし、本文も推敲を重ね、ツイッター版とは一味違った完成度の高い作品に仕上がったそうです。
ちなみに本作で登場する隊士は、斎藤一、土方歳三、山南敬助、沖田総司、藤堂平助など、新選組を代表する歴戦の勇士。
とはいっても、局長の近藤勇は斬首、副長だった土方歳三も函館五稜郭で激戦のすえ戦死、その他のほとんどのメンバーが20〜30代のなかばで幕末の動乱に命を燃やし尽くしたんですよね。
佐幕・倒幕どちらにしても、主要メンバーの年齢を調べると、本当に若い人達の犠牲の上に明治という時代が切り開かれたのだと改めて思います。
松本さん曰く「前著で描いた青春の続きがようやく『本物の本』として完成した。せつなく悲しい物語ですが、極限状態にあっても仲間を思いやる隊士たちの絆の深さに何かを感じて いただけるのでは。若い人たちにも読んでいただきたいですね」と話されています。
以前から歴女・幕女には人気のあった新選組ですが、いま改めて彼らが命を賭してまで守りたかったものはなんなのか、彼らのつぶやきから発見してみてはいかがでしょうか。
副編集長Y
参照元:
「独白新選組 隊士たちのつぶやき」サンライズ出版
「新選組 試衛館の青春 上巻」同
「新選組 試衛館の青春 下巻」同
togetterまとめ「独白新選組 隊士たちのつぶやき」
コメント