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【 9月19日は苗字の日 】約30万種以上も!?日本人の苗字の歴史

【 9月19日は苗字の日 】約30万種以上も!?日本人の苗字の歴史

1870(明治3)年の今日、9月19日、戸籍整理のため、平民も苗字を名乗ることが許されました。こうなるまで日本人の苗字はさまざまな歴史を経て成り立ちました。今回は苗字の歴史について、紐解きたいと思います。

日本人の苗字は約30万種以上

日本人の苗字は約8万種類あり、斉藤と斎藤、古谷を「こたに」「ふるや」と読むなど、漢字違い、読み違いを合わせれば約30万種類にのぼると言われています。ちなみに最も多い国は、日本人も含めた各国の移民が集まるアメリカで150万種類以上、1文字姓文化の韓国は280種類程度です。

苗字の由来で最も多いのが地名で約8割、そのほかは方位・方角、職業や信仰、藤原氏に由来しています。713年(和銅6)に、国名・郡名・郷名から山川などの自然地形まで、漢字2文字で表記する「好字(こうじ)二字令」が発令され、日本の地名が整えられましたが、2文字の苗字が多いのは、このためとも言言われています。現在も、この時名付けられた地名の半分近くが残っています。

苗字を公認したのは源頼朝

源頼朝と政子の像

平安時代末期、関東地方の武士たちの多くは、領地の地名を苗字にするようになりました。この苗字を公認したのが源頼朝です。頼朝は、すべての御家人に苗字を持たせ、源平合戦で軍に加わった東国の武士を名簿に記録しました。それから、一定の領地を持つ非御家人たちも頼朝に忠誠を誓い、西国からも苗字を記した書類を送るようになりました。

苗字が家を区別するのに便利なものだとわかると、公家も「九条」などの通称を使うようになり、それが苗字になりました。また全国に散らばった武士たちは、広大な領地を豪農に支配させるため、彼らにも自分と同じ苗字をつけ、田畑を分けるようになります。その時に多く使われたのが、藤原氏に由来する佐藤、伊藤などです。

日本で最も多い「佐藤」姓の
祖とされる藤原秀郷 (月岡芳年画『新形三十六怪撰』より)

この時点で、鈴木など、現代に残る苗字の大半が出揃い、全人口の約7割まで、苗字を名乗るようになりました。

戦国武将はエライ苗字にあやかる!?

戦国時代、下克上が盛んになると偽系図や出自の偽りが横行。武士たちは、かつて天皇が授けた氏「源平藤橘」こそ、出世に優位と考え、苗字を変えるようになります。

「源平藤橘」とは、血筋を表す氏のことで、「源」は清和源氏、「平」は桓武平氏、「藤」は藤原氏、「橘」は橘氏をさします。天智天皇から「藤原」を授かり、藤原氏の祖となった中臣鎌足など、これらの一族が当時の政治の中枢にいたことから、憧れの家系図とされていました。

憧れの家系「源平藤橘」の主な家紋。
源氏は五つ竜胆車紋、平氏は揚羽蝶、
藤原氏は下がり藤、橘氏は橘。

中流豪族・斎部(いんべ)氏の末裔であった織田信長は、状況を見て、「藤原信長」「平信長」、「織田三郎平朝臣信長」と名乗りを変えたと言われています。豊臣秀吉の「羽柴」は、柴田勝家、丹羽長秀から一字ずつとったとされ、「豊臣」は朝廷から授かったものです。どちらの苗字も主従関係の証に臣下に与えました。また、徳川家康も、血縁関係のない諸大名に、本姓である「松平」を名乗らせますが、「徳川」姓と三つ葉葵の家紋の使用はご法度とし、将軍家の威信としたのです。

「徳川」は譲れない徳川家康
(狩野探幽画、大阪城天守閣蔵)

庶民は明治維新まで苗字を持っていなかった?

江戸時代になると、身分制度の導入により、庶民の苗字は廃止になりました。検地帳など公の記録には農民の苗字は書かれていないのですが、村落の社寺の寄進帳などには、苗字まできちんと記されているケースが、全国の農村で見つかっています。農民や町人も、普通に苗字を名乗っていたようです。

明治時代にようやく、庶民にも苗字が許され、苗字が家を表す正式名称となりました。しかし、1872年(明治5)2月13日に、江戸時代までの通称と実名の併称が禁じられ、よほどの不便がない限り、苗字・名前の勝手な改称は禁じられました。理由は源、平、藤原の苗字を名乗る人がとても多かったからです。
今も昔も、人気者にあやかりたい気持ちは変わらないのかもしれません。

今回は、日本人の苗字のルーツと歴史をご紹介しました。ちなみに「苗字」と「名字」に大きな違いはなく、武士が領地の地名を「名字」にしましたが、「苗」の字には血筋、血統などの意味があり、意味を強めるために「苗字」になったと言われています。

機会があればぜひ、ご自身の苗字のルーツを調べてみてはいかがでしょうか。

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