歴人マガジン

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【 5月23日は恋文の日 】龍馬、芥川…あの偉人が書いた傑作ラブレター

【 5月23日は恋文の日 】龍馬、芥川…あの偉人が書いた傑作ラブレター

今日5月23日は「恋文の日」って知ってましたか?
男女共に恋する気持ちを綴った詩やラブレター。日本には百人一首や万葉集など、1000年以上前のものが残っています。そこで今回は、現在にも残る和歌や恋文から、今も昔も変わらず情熱に溢れながらもいじらしい「恋する気持ち」が伝わってくる恋文をご紹介します。

プレイボーイ・藤原実方が天才女流作家に贈った、恋心と負けん気

「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」(小倉百人一首より)

意味:こんなにも貴女を想っているのに、言うことができない。
息吹山のもぐさ(ヨモギ)の様に燃えている私の心を貴女は知らないのでしょうね。

藤原実方は20人以上の恋人が居たというモテモテな平安時代のプレイボーイ。恋人であった天才・清少納言に負けない和歌を読みたくて作った一句だとされています。和歌に関して、一条天皇の面前で藤原行成と大喧嘩するなど、和歌にはかなりのこだわりや向上心を持っていた藤原実方。
故に恋人の清少納言には、愛情の一方で「和歌で負けたくない!」という感情もあったのではないでしょうか。

「雀に転生したという逸話も残る藤原実方」

「雀に転生したという逸話も残る藤原実方」

筆まめな維新の志士・坂本龍馬

「ドラマや映画でも手紙を書くシーンの多い坂本龍馬」

「ドラマや映画でも手紙を書くシーンの多い坂本龍馬」

「まことにおもしろき女」

この言葉は龍馬が妻であるおりょう(本名・楢崎龍(ならさきりょう))宛てに書いた手紙の一文ではなく、龍馬の姉・坂本乙女(おとめ)へ宛てた手紙に書かれていたおりょうの紹介文です。

筆まめで知られる龍馬は、残っているだけで130通もの手紙を出しており、その時の時勢から人間関係、金品の貸し借りなど詳細に書き記しています。中には3メートル近い長文の手紙もありました。

細かな点まで気さくに手紙を送っていた龍馬。そんな手紙好きの龍馬のキャラクターから、現在「龍馬の恋文」という龍馬の言葉などが掲載されたトイレットペーパーも販売されています。

「龍馬からの恋文(望月製紙)」

「龍馬からの恋文(望月製紙)」

おりょうにも多くの手紙を出していますが、おりょうに宛てた手紙はおりょう自身が土佐を出た際、もしくは遺言により、おりょうの死後にすべて処分されました。おりょうは龍馬の愛情を、自分だけのモノとしたかったのでしょうか。

素直じゃないツンデレ・夏目漱石

「ツンデレ江戸っ子夏目漱石」

「ツンデレ江戸っ子夏目漱石」

「月が綺麗ですね」

この言葉は、英語教師をしていた漱石が、生徒が英語の「I love you」を「我君を愛す」と訳しているのを見て、「日本人はそういった言い回しをしない。『月が綺麗ですね』としておきなさい。」と言ったとされたことから来ています。そんな漱石が妻である夏目鏡子さんへ送った手紙には・・・

「御前の手紙は二本来た許(ばか)りだ 其後の消息は分からない 多分無事だろうと思って居る 御前でも子供でも死んだら電報位は来るだろうと思って居る夫(そ)れだから便りのないのは左程心配にはならない 然し甚だ淋い」

「おれの様な不人情なものでも頻りに御前が恋しい是丈は奇特と云って褒めて貰わなければならぬ」

「まだまだあるが是から散歩に出なければならぬから是でやめだからだが本復したらちっと手紙をよこすがいい」

・・・つまり、簡単に言うと
「便りが無いのは無事であるということだろうから心配はしていない。しかし、甚だ淋しい」
「不人情なおれが『お前を恋しい』と想っているのだから、褒めて貰わなければならない」
「書く事はまだあるがこれから散歩に出かけなければならないので止める。体調が良くなったら手紙をよこすがいい」
という事。

作品や手紙の中でも難解な表現を使うことの多い漱石は、硬い言葉を並べながらも手紙の端々で自身の愛情を語っています。
幼少期養子に出されていたり、養父と実父が対立していたり、養父から金を無心されていたりと家庭内は揉め事の連続だったが故に、不器用ながらも妻を大事に想っていたのかも知れません。亭主関白で知られる夏目漱石でしたが、手紙の中ではツンデレでした。

ドストレートな愛情表現の芥川龍之介

「僕のやってる商売は、今の日本で一番金にならない商売です。その上、僕自身もろくに金はありません。ですから、生活の程度からいえば、何時までたっても知れたものです。それから僕は、からだもあたまも、あまり上等には出来上がっていません。あたまの方は、それでもまだ少しは自信があります。うちには、父、母、伯母と、としよりが三人います。それでよければ来て下さい。理由は一つしかありません。僕は文ちゃんが好きです。それだけでよければ来て下さい。」

東大の大学院時代、出世していく周囲とは違い収入面は不安定で、将来も不透明だった不安いっぱいの青年・芥川龍之介が当時恋人だった文(ふみ)さんに出したラブレターです。

他にも、「お菓子だったら頭から食べてしまいたい。」「kissしてもいいでせう。いやならばやめます。」など直接的な愛情表現をしたラブレターが多く残っています。

その後、2人は結婚し芥川龍之介は「羅生門」や「鼻」「蜘蛛の糸」など日本文学史に残る作品を発表。芥川龍之介の著作である「或阿呆の一生」や「子供の病気」など、様々な作品に文さんが登場します。]

「自殺した際も文さん宛ての手紙を残した芥川龍之介」

「自殺した際も文さん宛ての手紙を残した芥川龍之介」

・・・いかがでしたでしょうか?
不器用ながらも、一生懸命愛した男性達のラブレターでした。メールやLINEなど、何でも手軽に済んでしまう現代ですが、素直な気持ちを表現するために筆をとってみるのも大事かもしれませんね。

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