「雲の上、美しいエースの物語」(上)

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「さーて見つけたぞ」

彼は操縦桿をぐっと前に押し、零戦は急降下。敵機はやっとその存在に気づいたが、時すでに遅し。その瞬間、火を噴いて南海に落ちていった。

「かわいそうだが、オレの勝ちだ」

昭和、太平洋戦争。
その時代を颯爽と駆け抜けた、ひとりの零戦パイロットがいた。

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若干22歳、帝国海軍が誇るエースパイロット。さて、ここで「エース」の定義とは何なのか?

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当時の空中戦は非常に難易度が高く、1機落とすだけでも「よくやった!」と褒められたものだった。では、西沢はその生涯でどのくらい落としたのだろう?

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段違いの数字である。零戦と西沢自身のカラダが同化しているような、凄腕のパイロットだった。

そして、このルックスー

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身長は180cmを超え、惚れ惚れするようないい男である。だが、あまり馴染みのない人物だと思うので、現代のイメージで例えるとー

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いろんな意味で最高。男は西沢に憧れ、女は西沢という恋に落ちる。
しかしー

「オレの相棒は、この零戦だけだよ」

フッと微笑し、西沢は歩き出す。ボクらはその後ろ姿を眺めながら、ほわーっと見とれてしまう、そんな感じ。硬派で照れ屋な男だった。

この西沢弘義の人生を、短く表すとー

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通称「ラバウル航空隊」。当時、手練の戦闘機乗りが集まり、一騎当千のような凄腕集団がいた場所。幕末で云えば、新選組と坂本龍馬と薩摩武士が合体したような超剣客集団と思えばいい。

その中でも西沢は、圧倒的な空中格闘の技術と折れない心を持つ、期待のホープだった。

そして、敵方であるアメリカのパイロットは西沢を恐れ、こう呼んだ。

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西沢弘義と零戦。
知られざるその物語を、あと2回書いてみようと思う。

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