歴史ドラマを柱のひとつに掲げるチャンネル銀河にふさわしい番組が2月に登場する。朝鮮王朝建国の立て役者の生涯を描いた「チョン・ドジョン<ノーカット字幕版>」がそれだ。
時代は14世紀。高麗王朝が腐敗にまみれていたときに現れたのが、高潔な理想を胸に、民が主人公となる国家建設を目指す男、チョン・ドジョンである。
低い地位にありながら、国の現状を憂い、国王に上訴を提出。政治的な力を持つイ・イニムによって国王が殺され、自身も流罪になるなど、権力という大きな壁に幾度も阻まれるものの、ドジョンはあきらめない。
やがて親友と袂を分かち、敵対することとなっても、革命の道を突き進み、朝鮮王朝の建国者である太祖ことイ・ソンゲを王に導いていくのである。
理想を掲げて孤独に闘うその姿は、まるで幕末を熾烈に走り抜いた我らがヒーロー坂本龍馬のよう。ましてやそこは陰謀渦巻く恐ろしい世界だ。熱く、気持ちを昂ぶらせずにはいられないだろう。
韓国歴史ドラマファンにとっては、これまで数多くの人気ドラマの舞台となってきた朝鮮王朝がいかに誕生したのか、その歴史が紐解けるのも楽しみなところだ。
また、明や元といった高麗王朝を揺さぶった周囲の国との関係も丁寧に描かれている。さらには“倭寇(わこう)”が登場するのも興味深い。日本もまたこの物語に関わっているのだ。
徹底した時代考証によって描かれる骨太な正統派歴史ドラマ。歴史を築いてきた人間が伝えてくれるものを、しっかり受け止めたい。
大内弓子:ライター。ドラマ、映画、演劇分野でインタビュー記事、作品評などを多数執筆。
韓国歴史ドラマ『チョン・ドジョン』<ノーカット字幕版>
放送日:2016年2月22日(月)スタート!月-金 朝8:30~/夜9:30~
番組ページ:http://www.ch-ginga.jp/feature/jung-dojun/
【ストーリー】
14世紀高麗恭愍(コンミン)王末期、王妃魯国(ノグク)公主の霊殿工事と恭愍王の狂気によって高麗がますます沒落している頃、 成均館(ソンギュンガン)の末端官職で儒学者のチョン・ドジョンは恭愍王に民心を察して国を統治するように上訴を提出する。しかし恭愍王が読む前に、朝廷の第二権力者である宰相イ・イニムは上訴を横取りし、さらに恭愍王の後継ぎが賎出出身という噂を流そうと企てる。チョン・ドジョンとチョン・モンジュなど 成均館の学官たちは、高麗の未来のためにイ・イニムを含めた高麗の腐った勢力を弾劾しようと奮起するが、末端官吏の彼には何の権限もなく、イ・イニムに楯突いたことで流罪になってしまう。
流刑の地で新たな国を開く決意を固めたチョン・ドジョンは、多くの外敵と戦ってきた武人イ・ソンゲを次の王にふさわしい人物だと見込むのだった。
画像:『チョン・ドジョン』Licensed by KBS Media Ltd. © 2014 KBS. All rights reserved
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