朝起きたら、自分が理想としていた若くてかわいらしい女性がいきなり家にいて、一緒に暮らし始めることになったら??
しかもその女性は、時には人間、時には「金魚」だったら??
というまさに夢のような(?)シチュエーションを、大真面目に描いた映画「蜜のあわれ」が映画化、4/1(金)より公開されるとのこと。
映像化が困難と言われながらついに映画化され、話題になっているこの作品について追ってみました。
さて、この「蜜のあわれ」、原作は昭和の文豪で石川県金沢市生まれの室生犀星(むろうさいせい 1889~1962)が原作。
加賀藩の足軽頭と女中のあいだに生まれた私生児という生まれ、生後すぐに雨宝院というお寺に養子として引き取られて育ったという環境が、彼の文学に大きな影響を与えたと言われています。
文学界には当初俳人としてデビュー、その後詩や短歌などを創作し、さらには小説家として各紙に寄稿、「幼年時代」「あにいもうと」など、数えきれぬほどの名作を残しました。
日本の自然を愛し、また疎外されたものへの思いやりの溢れる作品が多い作風。
北原白秋や萩原朔太郎、芥川龍之介などとも交流が深く、昭和の文豪として知られており、生誕地の石川県金沢市と長野県軽井沢町に「室生犀星記念館」があります。
![室生犀星 wikipediaより](https://rekijin.com/wp-content/uploads/2016/03/Muro-Saisei-C3052.jpg)
![「蜜のあわれ」室生犀星著 なかやまあきこ写真](https://rekijin.com/wp-content/uploads/2016/03/41ToYHWIn7L._SX331_BO1204203200_.jpg)
出典: Amazon.co.jp
さて、そんな室生犀星が晩年描いた今回映画化の「蜜のあわれ」は、室生自身を投影しているといわれる老作家(大杉漣)と、まあるいお尻と愛嬌のある赤子(二階堂ふみ)の不思議な生活を軸に物語が進みます。
![高杉蓮さん嬉しそうw](https://rekijin.com/wp-content/uploads/2016/03/de260a45d45713686f373d9db7782e61.jpg)
小悪魔的にキワドイエロティックな会話を繰り返し、夜は一緒に寝る赤子ですが、どうやら彼女は人間ではなさそうだということが途中から見えてきます。それもそのはず、彼女は時に女(ひと)、時に尾ひれをひらひらとさせて泳ぐ金魚だったのです。(え・・・)
その後この老作家の愛を募らせこの世へ蘇ったゆり子(真木よう子)が現れ、友人である芥川龍之介(高良健吾)やナゾの金魚売り(永瀬正敏)らを巻き込み、ある事件が起きて・・・・というあらすじ。
シュールで耽美、コミカルな世界観がにじみ出る予告編をご覧ください。(1:33)
本作の監督を務めるのは著名なバンドのPVや、「狂い咲きサンダーロード」「逆噴射家族」など、ロックで先鋭的な映像作品を多数製作している石井岳龍監督。
本作については「室生犀星は好きな詩人でしたが、最晩年にこんな小説を書いていたとは、まったく知りませんでした。くらくらしてとっても楽しいと思いました。金魚や幽霊と小説家がこんなに活き活きと会話をし続けるお話が面白くない筈がないです。」とコメントされています。
主演の二階堂ふみさんは沖縄県出身の21歳。
ファッションモデルとしてデビューし、2007年よりテレビドラマ「受験の神様」で女優としての活動をスタート。
その後数々のTVドラマや映画に出演、国内外含め各地の映画祭で受賞歴があり、
大河ドラマでは「平清盛」や「軍師官兵衛」にも出演しているという、期待の大型新人女優さんです。
本作でも、大杉漣さん演じる老作家を、少女とオンナの両面を出しながら翻弄する不思議な魅力を見事に演じていると試写会でも評判になり、某大手映画サイトの公開前情報で注目度トップにあげられています。
他のキャストも、昨年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」でも人気だった高良健吾さんが、犀星の友人であった芥川龍之介を演じたり、同じくNHK大河ドラマ「龍馬伝」で、龍馬の妻 お龍を演じた真木よう子さんなど、大河ドラマ出演者が多数出ているのも歴史ファンにとっては嬉しいところですね。
![謎の美女(幽霊)ゆり子の目的は??](https://rekijin.com/wp-content/uploads/2016/03/4bc431d18b9411ae6600fd29158584b2.jpg)
![イケメン高良健吾さんは芥川龍之介役。ハマってます!](https://rekijin.com/wp-content/uploads/2016/03/70ae3f69196c69252cc82e3ad49f5e9d.jpg)
![全てを知るナゾの金魚屋は永瀬正敏さん](https://rekijin.com/wp-content/uploads/2016/03/5d5f6963363896d6794bea8b0c934ca5.jpg)
まさに中高年のオジサマの妄想、いや願望、いや夢のようなシチュエーションで展開する不思議な世界。
映像化が困難といわれたその世界観の色彩美も美しく、現在は女性ファンを中心に話題になっているようですが、昭和を代表する文豪の作品が原作だけに、いろんな世代の人にも一見の価値ある映画になりそうです。
公開は全国主要映画館にて4/1(金)から上映開始。
この「恋」の行方はどうなるか、そもそもこれは「恋」なのか??
悲恋で終わったらオジサマカワイソーじゃん・・・
ともあれ、最後まで見届けてください。
原作:室生犀星「蜜のあわれ」
監督:石井岳龍 脚本:港岳彦 撮影:笠松則通
出演:二階堂ふみ、大杉漣
真木よう子/韓英恵 上田耕一 渋川清彦 高良健吾/永瀬正敏
©2015『蜜のあわれ』製作委員会
参照元:
映画「蜜のあわれ」公式サイト
CinemaGene
編集長Y
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