独眼竜・伊達政宗公の生誕450年と日本三景・松島の古刹 瑞巌寺の平成大修理を記念して、特別展「松島 瑞巌寺と伊達政宗」が、三井記念美術館(東京都中央区)にて開催中です。
同展では東日本大震災からの復興を祈念して、33年に1回しか公開しない秘仏・五大堂の五大明王像の初の寺外公開も行われています。
瑞巌寺の歴史と伊達政宗の復興事業
瑞巌寺は、正式名称を「松島青龍山 瑞巌円福禅寺(しょうとうせいりゅうざん ずいがんえんぷくぜんじ)」という臨済宗妙心寺派のお寺です。
歴史は古く、平安時代、鎌倉時代を経て臨済宗円福寺として大変栄えていたそうですが、戦国時代の戦乱の中衰退し荒れ果ててしまいます。このピンチを救い「瑞巌寺」として整え、復興したのが伊達政宗です。

伊達政宗公
関ヶ原の戦い後、仙台に居城を移した政宗は、師の禅僧・虎哉宗乙(こさいそういつ)の勧めで円福寺の復興を始めます。木材を海上輸送で運び名工130名を呼びよせ、縄張りは政宗本人が行ったという力の入れようでした。
慶長9(1604)年から始まった工事は5年後に終了。政宗は宗派を虎哉宗乙の所属である臨済宗妙心寺派に変え、寺名を「瑞巌寺」に改めると、ここを自らの菩提寺と定めました。現在伝わる桃山時代の本堂(国宝)はこの時に創建された建物です。

重要文化財 瑞巌寺本堂障壁画
江戸時代 瑞巌寺蔵
(前期 9/10~10/10 展示)
伊達政宗ゆかりの名品、一挙公開
本展では、瑞巌寺や仙台市博物館の協力のもと、普段は仙台まで行かないと見られないような政宗ゆかりの品々が多く公開されています。
9月までは伊達家代々の家訓として教科書にも出る『塵芥集』や、三日月形をした兜の前立で有名な政宗所用の「黒漆五枚胴具足」と南蛮風味を取り入れたポップな水玉模様の陣羽織「紫羅背板地 五色水玉模様陣羽織」が展示されていました。
10月からの展示品として注目したいのはこちら!

重要文化財
黒羅紗地裾緋羅紗 山形文様陣羽織 伊達政宗所用
桃山時代 仙台市博物館蔵
(10/1~10/14 展示)
黒・金・赤の大胆な、これまた南蛮テイストの陣羽織で襟元にはレースがついていたと推測されている「黒羅紗地裾緋羅紗 山形文様陣羽織(くろらしゃじすそひらしゃ やまがたもんようじんばおり)」は、さすが伊達者・政宗といった感じですね。
一押しは本展で初公開の伊達政宗の直筆絵画「梅小禽図(うめにしょうきんず)」です。
これは昨年、宮城県塩釜市の旧家で発見されたもので、政宗自らが描き側近に与えた絵であることがわかりました。
政宗は茶の湯や和歌や能などにも優れた才能があったと伝わりますが、そんな文化人としての彼の一面を伝えてくれる絵です。

梅小禽図 伊達政宗筆
江戸時代個人蔵
(新発見)
33年に1回の秘仏、五大明王の公開

重要文化財 五大明王像(不動明王)
平安時代 瑞巌寺蔵
最後に、ぜひ注目していただきたいものが、史上初の寺外公開となる五大堂の本尊・五大明王像です。
五大堂は松島湾の岸辺の小島に建つ、松島のシンボル的存在の美しいお堂です。
もともと別のお寺でしたが、やはり伊達政宗が慶長9(1604)年に現在の建物を創建、その時から瑞巌寺と一体となりました。
こちらの五大明王は平安時代中頃に東北で造られたものと推測されていて、現在では33年に1回しか公開されない秘仏です。
本来ならば次は2039年に公開されるもので、たとえ松島に行っても観られない仏様なのですが、本展では東日本大震災からの復興の祈りをこめて特別に公開されました。
政宗や妻の愛姫はじめ、代々の仙台藩伊達家の人々、そして平安の昔からこの松島で祈りを捧げていただろう多くの人々のことを思いながら、是非会っていただきたい明王様たちです。
期間中はミュージアムカフェで「伊達政宗のデザートセット」も販売されています。

特別展限定メニュー
伊達政宗のデザートセット1,250円
この秋、政宗一色に染まる三井記念美術館。もう、政宗充できること間違いなしです!
会期中は前期:9/10(土)~10/10(月)と後期:10/12(水)~11/13(日)、そのほか2週間・3週間で展示替えの作品もあるそうなので、何度足を運んでも楽しめそうですね。
伊達政宗と彼の愛した古刹を偲び、東北の一刻も早い復興を想いながら、観覧されてはいかがでしょうか?
特別展「松島 瑞巌寺と伊達政宗」
開催日:9/10(土)~11/13(日)
※前期:9/10(土)~10/10(月)、後期:10/12(水)~11/13(日)
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日(ただし9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館し、9月20日(火)、10月11日(火)は休館)
HP:三井記念美術館
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