【 閏年・2016年の逆打ちは3倍のご利益!?】 四国八十八箇所を巡るお遍路の起源伝説

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【 閏年・2016年の逆打ちは3倍のご利益!?】 四国八十八箇所を巡るお遍路の起源伝説

世界でも有数の巡礼路とされる四国八十八箇所。「お遍路」という呼び方で親しまれ、現在も多くの人々が空海(弘法大師)にゆかりある四国の88カ所の寺院(札所)を巡っています。

絹本著色弘法大師像
真言宗の開祖・空海

特に2016年は「逆打ち」で巡れば3倍のご利益がもらえるといわれる閏年、しかもその逆打ちで空海に巡り会えたといわれる60年に一度の丙申(ひのえさる)の年でもあります。そのため、今年は国内旅行人気ランキングでも四国エリアが特に人気だそうです。そんな四国お遍路の起源とはどのようなものなのでしょうか。

お遍路の起源

古来、都から遠く離れ、僻地とされていた四国は僧侶や修験者たちの修行の地とされていました。日本史上最高の天才とされ、真言宗の開祖として仏教に絶大な影響を与えた空海も20代のころ四国で修行。土佐国(高知県)の室戸岬にある「御厨人窟(みろくど)」と呼ばれる海岸の洞穴で厳しい修行をしていた時、虚空蔵菩薩の化身が口に飛び込んで悟りを開いたといわれています。

御厨人窟から見える風景
御厨人窟から見える風景

その後、空海にあやかろうと多くの僧侶たちが四国各地のゆかりの地をたどるようになったのが四国八十八箇所の始まりといわれていますが、そこにはこんな起源伝説があります。

昔、伊予国(愛媛県)の荏原というところに住む衛門三郎(えもんさぶろう)という強欲な長者の屋敷を、みずぼらしい姿の僧侶が托鉢に訪れました。衛門三郎が追い返したところ、それから8人の息子が相次いで急死。「あの僧侶こそ弘法大師に違いない」と悟った衛門三郎は、お詫びをしようと僧侶を追って四国を巡りますが、なかなか会うことができません。やがて21周目の途中、阿波国(徳島県)の焼山寺で行き倒れとなります。

そこに空海が現れて「来世の望みは何か?」と尋ねると、衛門三郎は「伊予の豪族・河野氏に生まれ変わって、罪滅ぼしに善政を行いたい」と答えました。空海は道端の小石に「衛門三郎再来」と書いて握らせると、衛門三郎は息を引き取ったそうです。これは天長8(813)年のこととされ、その翌年には河野氏6代目の河野息利(こうの・おきとし)に「衛門三郎再来」と書かれた小石を握った男児が誕生。その不思議な小石は現在も松山市の石手寺に安置されているといいます。

また、空海となかなか出会えなかった衛門三郎が、通常とは逆の反時計回りに札所を回ったところ、ようやく会えたという伝説もあります。四国八十八箇所は「順打ち」と呼ばれる時計回りが一般的で、反時計回りは「逆打ち」といいます。逆打ちは呪いの意味があるとの都市伝説もありますが、実は縁起が良いこととされ、特に閏年の逆打ちは3倍のご利益があるといわれています。

衛門三郎と弘法大師
衛門三郎と弘法大師

衛門三郎が転生を願った河野氏は伊予国の有力豪族で、源平合戦では源氏に味方して鎌倉時代以降に栄えます。豊かな道後平野を支配し、強力な水軍を持っていたこともあって四国や瀬戸内に大きな勢力を誇っていましたが、戦国時代には衰退。天正13(1585)年の豊臣秀吉の四国征伐で当主の河野道直(みちなお)が降伏し、大名としての河野氏は57代で滅亡しました。

愛媛県中予地方には、旧暦12月の巳の日に先祖の墓の前に一族が集まってもちを食す「みんま」という風習がありますが、これは戦乱が続くため一族そろって正月を迎えることが困難だった河野一族が始めた習わしといわれます。

江戸時代に入り、四国八十八箇所は庶民も参加できる現在のような形となったとされます。しかし、あくまで修行の一環であったため、交通事情の悪かった昭和の半ばまでは現在のように観光感覚で出掛けられるようなものではなく、巡礼中に行き倒れとなる可能性もある過酷なものでした。お遍路さんは白衣(びゃくえ)を着て巡礼をしますが、これは死装束でもあり、途中でいつ倒れてもいいようにという覚悟の表れでもあったわけです。四国八十八箇所が、庶民的ながらもどことなく神秘的で物悲しいイメージがあるのは、そんな背景があるからなのでしょうか。

とはいえ、お遍路に挑戦したいという方にとって2016年はまさにうってつけ。
ぜひこの秋挑戦してみてはいかがでしょうか。

(黄老師)

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