河鍋暁斎(1831~1889)は、激動の幕末から明治を生きた絵師。浮世絵師・歌川国芳に入門し、狩野派に学んだ後、流派に捉われず様々な画法を習得しました。仏画や戯画など幅広い画題を独特のユーモアを交えながら描いたことで、今でも国内外問わず人気を博しています。
2017年2月23日(木)~4月16日(日)Bunkamura ザ・ミュージアムにて開催される「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力」では、世界屈指の暁斎コレクターとして知られるイスラエル・ゴールドマン氏所蔵の作品が一堂に会します。ユーモラスに描写した動物、思わず微笑んでしまう神々、異界へと誘う鬼、達磨像など、独特の視点と多彩な技巧を駆使した作品が展示されます。
暁斎の展覧会としては2015年以来ですので、期待が高まりますね!貴重な作品の中から、特にチェックしてほしい見どころをご紹介します。
見どころ①画商ゴールドマン氏を暁斎にのめりこませた一枚
もともとは約30点の絵を収めた画帖の一枚でした。大きな象に対し、小さなたぬきが可愛らしい作品。ゴールドマン氏は一度、顧客に転売してしまうものの、思い直して後日頼み込んで返してもらったそうですよ。ゴールドマン氏の暁斎コレクションの原点ともいえる作品です。
見どころ②世界中を夢中にさせた鴉の絵
明治14(1881)年に開催された第2回内国勧業博覧会で「枯木寒鴉図」など4点を出品し事実上の最高賞である妙技二等賞牌を受賞しました。これをきっかけこぞって暁斎の鴉の絵を求める外国人が増えました。数ある暁斎の鴉図の中でも精確で力強い筆使いが際立つ作品、「烏瓜に二羽の鴉(からすうりににわのからす)」が注目です。
見どころ③時代の転換期を冷静に観察しつつ、豪快に描いた錦絵
江戸から明治時代に転換するものの、人間の本質は変わらないことを見抜いていた暁斎。当時を風刺した「名鏡倭魂(めいきょうやまとだましい) 新板」がその姿勢を示す代表作です。
ダイナミックに描かれた錦絵。名鏡の輝きが悪魔外道を恐立させる図とされます。図の中には、暁斎旧知の英国人ワーグマンによる風刺画『ジャパン・パンチ』のキャラクターの姿も見えます。
見どころ④「異界」に対する尋常ではない探求心
幽霊や閻魔、鬼など、おどろおどろしいモチーフもたくさん描いています。後妻の阿登勢が亡くなった際には、彼女を引き起こして顔や姿を描写し、「幽霊図」を描いたそう。研究熱心な暁斎を物語るエピソードではあるものの、少しやり過ぎのような・・・。
『地獄太夫と一休』に描かれているのは、地獄模様の打掛を着た伝説の遊女「地獄太夫」と、骸骨たちと踊る一休和尚。奇怪な場面を精緻な筆で描いています。異界を想像しながら見てください。
見どころ⑤怖くない?憎めない妖怪いっぱいの屏風
異界をモチーフにした作品は、おどろおどろしいものばかりではありません。
『百鬼夜行図屏風(ひゃっきやこうずびょうぶ)』は、伝統的に絵巻に描かれることの多い百鬼夜行(鬼や妖怪が徘徊する様子)を、六曲一双の屏風に描いた作品。大画面に展開するユーモラスな妖怪に注目してください。
見どころ⑥作風一変、静謐さあふれる「達磨図」
『半身達磨(はんしんだるま)』は、お雇い外国人として日本で建築家を育成した、ジョサイア・コンダーが所有していた作品の一つ。大胆かつ丹念に描かれた威厳に満ちています。
これまでの作品とは一風変わった作風の達磨図。別人の作かと思われるほどの静謐さを、感じてみてください。
見どころ⑦インパクト強烈!骸骨がミュージシャンに
最後に紹介するのは一度見ると忘れられない、『三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪』です。破天荒な暁斎の作風を象徴するような作品ですね。
ミュージシャンといえば今回の展覧会のイメージソングは「和楽器バンド」が手掛けます。詩吟や和楽器をロックと癒合させる注目のロックバンドです。暁斎の作品とのコラボも楽しみですね。
また、落語家・春風亭昇太さんが展覧会のナビゲータを務め、音声ガイドも担当されます。ユーモアあふれる暁斎の解説を聞くにはうってつけです!
さらに会期中には、Bunkamuraの「ロビーラウンジ」やフランス料理店「ドゥ マゴ パリ」で展覧会とタイアップした特別メニューも楽しめますよ。
いかがでしょうか。多彩な作風で楽しませてくれる暁斎の作品。
東京で一堂に会するこの貴重な機会を、ぜひお見逃しなく!
「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力」
会期:2017年2月23日(木)~4月16日(日)※会期中無休
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷・東急本店横)
開館時間:午前10時~午後7時、金・土曜は午後9時まで(入館は閉館の30分前まで)
詳しくは公式HPをご確認ください。
「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力」
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(編集部)
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