争乱の九州でその名を轟かせた戦国武将・立花宗茂。関ヶ原の戦いに敗れ、領地を没収された西軍方で唯一、元の領地を回復した武将でもあります。この度、1567年(永禄10)に生まれた宗茂の、生誕450周年を記念した特別展「立花宗茂と柳川の武士たち」が、柳川古文書館と立花家史料館(ともに福岡県柳川市)の2館合同で開催されることになりました。初代柳川藩主となった宗茂と、その奇跡的な柳川復活劇を支えた家臣たちに近づける、貴重な展覧会の見どころをご紹介します。
2館合同で開催される充実の展覧会
今回の展覧会では、立花宗茂の生涯を、甲冑などの史料や豊富な文書を元に時系列で紹介。誕生から立花山城までの前半生を柳川古文書館、柳川城主になってから関ヶ原合戦後の改易、再び柳川に返り咲くまでの後半生を立花家史料館で展示。個々の館では実現できなかった、質、量ともに大充実の内容になっています。もちろん、どちらから見ても問題なし。さらに、最近の調査で明らかになってきた家臣団の活躍も紹介されるなど、見どころ満載です。
新発見!宗茂が家臣に与えた鎧の袖
見どころは何といっても最近発見された宗茂のものとみられる鎧の袖「金白檀塗色々威壺袖」。朝鮮出兵時の文禄元年(1593)、邪魔な袖を切り落として戦っていた小野成幸という家臣に「袖がない具足は見苦しい」と、宗茂が自らの鎧の袖を与えたといわれています。その袖と思われるものが、2016年に小野成幸の子孫から柳川市に寄贈されました。
大友家の家紋である杏葉紋の金物が付けられていることから、大友宗麟の重臣だった義父の立花道雪または宗茂自身が大友家より与えられたものとみられています。家臣思いの宗茂のエピソードがつまった袖、要チェックです。
加藤清正との関係も?迫力の具足
また、立花家を代表する二つの甲冑も見ものです。「伊予札縫延栗色革包仏丸胴具足」は、むだのないシンプルな形状ながら、栗色の胴や、朱漆の草摺(くさずり)、銀箔の佩楯(はいだて)という大胆な色彩の組み合わせによって華やかさが加味された見事な具足です。
もうひとつは、胴に大きく描かれた輪貫文(立花家の御道具帳では月輪と記す)が、蛇の目紋を使用していた加藤清正との関わりを想像させる「鉄皺革包月輪文最上胴具足」。胴廻りは大ぶりで、地鉄は厚く、重量が12kgと非常に重い甲冑で、宗茂は当時としてはずいぶん体格の良い人物であったことがわかります。
黒田長政から贈られた?火縄銃
刀には銘がついているものもありますが、立花家には火縄銃にも銘があるものが伝わっています。宗茂のものだと伝えられる「火縄銃 銘 黒縄」は、「行やらで 山ぢ暮らしつ時鳥 今一こえのきかまほしさに 墨縄」という和歌が彫られていることから名付けられたとか。また、黒田長政から贈られたという逸話もあり、興味深い逸品です。
【 立花宗茂 VS 黒田長政 】弓と鉄砲の優劣を競った豪華な逸話
貴重な資料が盛りだくさん
他にも、弱冠20歳の宗茂が約4万の島津勢相手に立てこもった立花山城が描かれた「立花山絵図」や、戸次(立花)道雪所用と伝わる「脇指 無銘(雷切丸)」など、貴重な資料がもりだくさん。
宗茂のメモリアルイヤーに、両館をめぐりながら、立花家の軌跡と、宗茂や家臣たちが礎を築いた城下町・柳川を体感してみてはいかがでしょうか。
※①柳川古文書館で展示、②立花家史料館で展示。
記念特別展「立花宗茂と柳川の武士たち」
開催日:2017年12月9日(土)〜2018年2月4日(日)
休館日:会期中無休会場①柳川古文書館
開館時間:午前9時30分〜午後4時30分
入館料:無料会場②立花家史料館
開館時間:午前9時〜午後6時(入館は午後5時30分まで)
入館料:一般前売り券400円、一般当日券500円お問い合わせHP:立花家史料館
http://www.tachibana-museum.jp/
(編集部)
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