歴史作家・泉秀樹が歴史の現場を探訪取材し、独自の視線で人と事件を解析して真実に迫る「泉秀樹の歴史を歩く」(J:COMテレビで好評放送中)。
今回のテーマは、「明智光秀 最後の十一日」。
「本能寺の変」で信長を倒したあと、光秀はなにを考え、なにをしていたのか。
秀吉と家康天下の一大事をどう受け止め、どう判断し、どのように行動したか。
決着がつくまで、最後の一瞬に至るまでの運命の足跡をたどる。
第1章 信長最後の日々
信長は蒲生賢秀(がもうかたひで)を安土城留守衆(るすいしゅう)に決めて二の丸に入れ、この日の早朝、安土を発った。
京都へ向かう途中、信長は、瀬田の唐橋の東南の畔(ほとり)にある瀬田城(滋賀県大津市瀬田)に寄り、城主・山岡景隆(やまおかかげたか)と歓談した。
吉田兼見(よしだかねみ)が山科まで迎えに出たが、迎え衆は帰るようにといわれ、自邸へ帰った。
日暮れ前には本能寺に着いた。
第2章 本能寺の変
フロイスの『日本史』にいう。
「この件で特別な任務を帯びた者が、兵士とともに内部に入り、ちょうど手を洗い終え、手拭(てぬぐい)で身体をふいている信長を見つけたので、ただちにその背中に矢を放ったところ、信長はその矢を引き抜き、鎌(かま)のような形をした長鎗(ちょうそう)である長刀(なぎなた)という武器を手にして出て来た。そしてしばらく戦ったが、腕に銃弾を受けると、自らの部屋に入り、戸を閉じ、そこで切腹したと言われ、また他の者は、彼はただちに御殿(ごてん)に放火し、生きながら焼死したと言った」
第3章 山崎の戦い以前
秀吉は船坂峠を船で迂回して、この日の早暁に姫路に着いた。
備中高松から姫路まで、約百Kmを四十八時間で走破したのである。
秀吉は続々と姫路に到着してくる兵たちを休ませ、蔵奉行に姫路城内の蔵に貯えてあった金銀や銭や蔵米を調べさせ、それらをすべて、なにもかもすっからかんになるまで将兵の身分に応じて惜しみなく分けあたえた。
秀吉は、ありったけの金をバラ撒いたのだ。
この豪気さによって、士気はいやがうえでも高まった。
秀吉の、人心の掌握の絶妙なうまさである。
第4章 山崎の戦い
光秀は退却し、勝竜寺城(しょうりゅうじじょう/京都府長岡京市)に入った。
この城は、かつて娘の玉(たま/ガラシャ)と細川忠興(ほそかわただおき)が婚礼の式を挙げた明智一族にはかかわりの深い城である。光秀の脳裏にはその婚礼の日のことがよみがえったに違いない。
光秀に従う将兵は七百余であったという。勝竜寺城に向かう途中、逃げ散る兵も少なくなかった。
丹波亀岡(たんばかめおか)へ敗走する将兵を高山右近(たかやまうこん)と中川清秀(なかがわきよひで)が追撃し、翌十四日には亀岡城を取った。
『大かうさまくんきのうち』(太田牛一)によれば、光秀は、秀吉軍に包囲されていた勝竜寺城から深田(ふかだ)を這って出て、なんとか包囲網を突破して淀川沿いに久我縄手(こがなわて)に逃れた。
斎藤利三(さいとうとしみつ)もなんとか逃亡できた。
光秀は坂本城を目ざした。坂本城に籠城するつもりだった。
勝竜寺城から久我縄手を経由し、西ヶ岡、桂川を渡り、下鳥羽、大亀谷(だいかめだに)から桃山の北の鞍部(あんぶ)を東に越えて小栗栖(おぐるす/京都市伏見区)まで逃げのびた。
が、ここで光秀は落ち武者狩りの土民(どみん)が竹藪のなかから斜め上に突きあげた槍に脇を刺された。
番組ナビゲーター:泉秀樹(いずみ ひでき)
作家・写真家 昭和18年(1943)静岡県浜松市生まれ。昭和40年(1965)慶應義塾大学文学部卒業。産経新聞社記者・編集者などを経て作家として独立。写真家としてもヤマハ横浜・藤沢で『モーツアルトのいる風景展』、藤沢市民ギャラリーで『四季の藤沢-人と海と街展』を開催するなどの活動をつづけている。昭和48年(1973)小説『剥製博物館』で第5回「新潮新人賞」受賞。日本文芸家協会会員。
「泉秀樹の歴史を歩く」
番組ページ:https://www2.myjcom.jp/special/jtele/rekishi-wo-aruku/
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