最初に二人の関係を知ったのは歴史小説の巨匠 司馬遼太郎氏の「国盗り物語」です。
おもしろくておもしろくて、夢中で読んだのはかれこれ15年以上前でしょうか。
美濃、つまり現在の岐阜県に流れ着いた流浪の僧侶が、その巧みな頭脳と胆力で周りの人間を取り込み、当時油屋の豪商 奈良屋の娘をめとり財力を手に入れ、油商人へ。
その後さらに武芸を積み、縁を辿って武士となり、美濃土岐家の権力抗争をきっかけにどんどん出世していきます。
この男が後に美濃一国の支配者となる斉藤道三。まさに戦国時代の「下克上」を絵に描いたような人生絵巻。
また一方、尾張(現愛知県名古屋近辺)の戦国大名だった織田家の嫡男として生まれ、その奇妙と言われた言動から「大うつけ(大バカ)者」と影でバカにされながらも、強大な勢力を誇り、天下統一を目指して京都へ進軍中の今川義元の軍勢を桶狭間の戦いで奇跡的に破り、新興勢力として急激に成長してきた男 織田信長。
この数奇な運命を辿った二人が、道山の愛娘 帰蝶(濃姫)が信長に嫁いだことにより義理の親子関係になったというのも、戦国ロマンをかき立てるストーリー展開です。
中でもおもしろいのは、道三と信長の初の会見の場面。
「うつけ者」と言われた信長が多数の鉄砲隊を従え美濃へ向かう道中、手下を変装させ軍勢を偵察させた時の格好と、道三の前に拝謁する際にはバリッと正装に着替えさせたことで、道三にして「我が一族はあのうつけの門前に馬をつなぐことだろう」と言わせるシーンが大好きです。
あんまり話してしまうとネタバレしてしまうのですが、とにかく個人的な歴史小説ランキングではベスト3に入れたい最高傑作がこれなのです。
さらにこの原作、既に何回かテレビドラマになっているのですが、今や映画「海猿」シリーズで押しも押されぬ人気俳優となった伊藤英明さんと、歴史ドラマの超大御所 北大路欣也さんとが演じたテレビ東京制作バージョンのものがチャンネル銀河で1月17日から放送もされるとのこと。
2004年に放送されたものなので、11年前の伊藤さんが若い!
個人的にはもう少しワイルドな信長のイメージですが、北大路さんの道三はさすがに貫禄。
戦国を舞台にした数奇な生き様を二人がどう演じるのか、これはまた見ものです。
この二人がずっと生き残っていたら、かなり歴史が変わっていただろうと思われますが、時代が信長を受け入れるには早すぎたと私は思っています。
その変わろうとしない、破壊者を恐れる気質は今でも日本に残っている、そんなことも感じます。
いずれにしても現代に生きる私達にとって、戦国時代の生々しい人間同士のやりとりを感じることができる最高傑作、久しぶりにもう一度読み直してみようかなあ・・
なお今年は道三の死後、信長が岐阜の町に入って450年だそうです。
岐阜も盛り上がってきています!こちらも今後レポートしていきますので、楽しみにお待ちください!
(副編集長Y)
参照元:
「斉藤道三」「織田信長」wikipedia
「国盗り物語」放送スケジュール チャンネル銀河
コメント