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【レキシズル流 幕末のいろは③】
「考え」を知り、人物に当てはめてみる
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まず①と②を読んでからこちらに進んでほしい。意味わかんなくなっちゃうよ。
【レキシズル流 幕末のいろは①】短いけど濃い!16年間を理解する方法
「倒幕」「佐幕」「大政奉還」。
この3つの「思想」が分かったら、幕末理解のゴールはすぐそこだ。さらに今回は「考え」を知ってみよう。どう使うかというとー
江戸時代、200年以上日本は鎖国をしてきた。唯一、長崎の出島でオランダと中国(当時は清)だけ細々と交流していたのみ。
これを一気に解禁して、西洋に追いつこうとするのが「開国」という考えだ。いまでこそ至極当然のことなのだが、幕末当時は違う。
ほとんどのひとが日本は大昔から鎖国を守ってきたと思い込んでいた。つまりとてつもなく危険で、新しすぎる「考え」だった。
これを踏まえた上で、もうひとつがー
最初に説明した「尊王攘夷」の「攘夷」と同じ意味だ。現状維持!外国人は皆殺し!俺たちの日本は刀で守る!いいね、この古さ。でも幕末の日本人にとってはこっちが当たり前。
そして「幕末の理解」という美味しい料理を完成させる時がきた。
この「思想」と「考え」を幕末の人物に当てはめることで、「なんでこいつとこいつは仲が悪いの?」とか「あれ前までこのふたり仲良かったのに、結局ケンカしてる」の理由が浮き彫りになる。
つまり「思想」か「考え」がズレているのだ。
注意しなければならないのが、同じ「倒幕」の思想を持っているふたりがいたとする。
でも考えが「開国」と「攘夷」で合わない場合、血みどろの殺し合いをしたりする。これが幕末の肝であり、難しく感じる要因だと思う。しかも時を経ることで、思想と考えが変わったりもする。
ではどうすれば理解が進むのか?ここでオススメしたいのが、まずはひとり、幕末で気になる人物をフォーカスしてみよう。
ここで仮に幕末に興味を持った17歳の女子高生がいたとしよう。気になった人物は、高杉晋作。彼女はこの「幕末のいろは」を基に調べてみた。まずー
幕末のスタートは高杉だけでなく、みんな尊王攘夷から。ふむふむ。
そして彼の出身は長州藩。関ヶ原の戦い以来、江戸幕府にはムカつく感情がある。ペリーが来て幕府もテンパってるし、チャンスなんじゃないか?ということでー
考えはずっと「攘夷」だった高杉。しかし彼は藩のお役目で上海に行って、欧米列強の強さを知る。当時の中国はアヘン戦争に敗れ、上海を事実上支配されていた。そこで見る黒船などの先進的な兵器、そして虐げられる中国の民。衝撃を受けた高杉はー
この「考え」については、「攘夷」から「開国」に変わる流れが普通だ。みんな最初は「攘夷」だからね。やはり幕末史に残る人物たちは先進的で理解が早い。ただ重ね重ねこの「開国」という考えは危険。「攘夷」のひとたちに命を狙われる。高杉も帰国後、同じ「倒幕」の思想を持った元仲間たちに追い回されたりしている。
この女子高生は理解した。高杉晋作はー
このように整理していくと幕末の理解は深まると思う。参考にして頂けたら本望である。次回は違う人物を「いろは」を使って紹介したい。
【プロフィール】
渡部麗(わたなべりょう)
歴史クリエイター。
東京・御茶ノ水で歴史コミュニケーションメディア「レキシズル」を主宰。所有しているショットバーの水曜日を「レキシズルバー」として開放。歴史好きの交流を活性化しながら、畳敷きのイベントスペース「レキシズルスペース」で歴史をポップにわかりやすくプレゼンする「TERAKOYA」などを開催。
「レキシズル」 オフィシャルサイト
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