このお仕事を通じて出会う、素晴らしい歴史クリエイターにフォーカスした「歴史クリエイター企画」。
第1回のいずみ朔庵さん、前回永井秀樹さんから大変お待たせしまいましたが、ようやく3人目、グラフィックデザイナー/イラストレーターの照紗(テレサ)さんをご紹介できることになりました。
着物をカッコよく着こなす美女で、以前にも歴人マガジンで一緒に同行取材をさせていただいた際に、その才色兼備さにタジタジなYでした(笑)
しかしトップのvividでかつなんともかわいらしい3匹の魚・・・ではなく「郷土玩具怪獣キブナドン」です。
このキャラクターがなぜ登場したのか。
実は彼女、このキブナドンの生みの親のキャラクターデザイナー兼プロデューサーでもあるのです。
キブナドンは2013年にアメリカのトイメーカーMAXTOY が企画した女性クリエイターによる「怪獣デザインコンテスト」に登場、シンガポールの有名トイブログTOYSREVEL発信で、世界に向けてコンテストを行い勝ち抜いた大人気キャラ。
今では出すたびに毎回売り切れ御礼が続出、LINEスタンプも出ているほどの人気なんですよ!
と思いきや、歌舞伎を元にした乙女画シリーズ「傾乙女(かぶきおとめ)」をライフワークに描くイラストレーター&プロデューサーでもあるのです。この一見両極に見える世界観を生み出すその溢れ出るクリエイティビティにまず驚かされました。
今回は、海外の個展なども開催しながら飛び回る彼女の溢れでるクリエイティビティの源に迫りました。
照紗さんは父がドキュメンタリー映像作家、母はそのプロデュース業やライターというクリエイティブ一家。
家庭の中に、表現をして生きて行くことや、自分独自のコンテンツを持つという事が必要であるという考え方が元々あり、幼少の頃に見た宮﨑駿監督「風の谷のナウシカ」などメッセージ性の強いアニメ映画をはじめ、いろいろなクリエイターの刺激を受けながら「モノをつくる人」に自分は絶対なるだろうと物心ついた頃から思っていた、というのだからなんとも素晴らしい環境です。
高校時代からオーストラリアのシドニーに留学、グラフィックデザインのアートカレッジで6年間勉強後に帰国したというバリバリの海外派でもあります。
歴史については留学当初日本の文化や歴史について答えられなかった悔しい経験から、しっかりと勉強しようと決意したのだそうです。
なるほど・・・このキブナドンのなんとも言えないミクスチャー感はその経験が元になっているのだと納得しました。
帰国後にひとつ日本の伝統文化を勉強しようとおもった彼女が出会った「歌舞伎」。
歌舞伎には、物語の世界を構成する舞台や芝居、衣裳・キャラクターなど、江戸時代から今の世の中まで変わらない日本人の姿と、時代を経て新しく進化したものなどが織り込まれたいた、と感じたそうです。
そこには、その当時彼女が知りたかった「日本」がぎゅぎゅっと詰まっていたこと、もともと好きだったマンガやアニメカルチャーが見事に融合されていました。
そこで江戸から平成へ、時代を越えても変わらない、恋する乙女の一途な熱量や傾く心を「傾乙女(かぶきおとめ)」の世界観としてイラストやグラフィックデザインといった平面作品を始め、写真や和装デザインなど多岐に展開を開始。
現代では伝統芸能といわれる歌舞伎もその実、たった一人の乙女「出雲阿国」が起した前衛芸能だったという事実に、インスパイアと敬意をもって、燃えるようなスピリットや煌めきを忘れないための作品がこの「傾乙女(かぶきおとめ)」なのだそうです。
くわーカッコいい!!
では彼女のライフワークであるその他の作品をご紹介しましょう。
前半の「キブナドン」と後半の「傾乙女」、二つの世界観の大きな違いと、そしてそれをうまくマッチングさせる絶妙のクリエイティブワーク。ホント凄いね。。。
このクオリティの高さが、ヨーロッパやアジア各国の高い評価を得ている理由なのですね。
そんな世界を股にかけた大活躍をしながらも「やっぱり作品を見て下さった方からのリアクションが嬉しいですね!」と語る彼女。
「私は平面作品以外にも、浴衣や和雑貨からソフビトイなど実用?的なものが多い事もあり、私の作品を身につけて下さる方をお見受けする事がとても多いので、その都度凄く嬉しいです。」とあくまでも素直に喜ばれているのが印象的でした。
最後に彼女にこれからの抱負を聞いたところ、
「日本に帰って15年たった今、自分なりに勉強してきた事で出来た「日本」を海外にももっと配信していきたいと思ってます。
堅苦しい事はあんまり考えないで、なんでも楽しく勉強して吸収して配信していきたいです。」と話してくれました。
クリエイティビティのみならず、高い語学力と明るいバイタリティをもっている彼女に、これからの日本を背負って立つ歴史クリエイターとして、活躍を期待しています。
ちょっとハードル高すぎかとも思いますが、いや、彼女なら楽しみながら知らないうちにやってくれる、そんな気がします!
照紗さん、今回はありがとうございました。ますますのご活躍を!
副編集長Y
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キブナドンLineスタンプ
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