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【 今年も熱かった!三国志祭 】 日本唯一の「三国志」のまち、新長田で三国志と下町グルメを味わい尽くせ!

【 今年も熱かった!三国志祭 】 日本唯一の「三国志」のまち、新長田で三国志と下町グルメを味わい尽くせ!

兵庫県神戸市の新長田(しんながた)。ここは漫画家・横山光輝さんの生誕地であることから、『KOBE鉄人PROJECT』の主導のもと、「鉄人28号」や「三国志」での町おこしが行われている。いわば日本唯一の「三国志のまち」だ。
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「横光三国志」の人物絵が入ったバナー約200枚がアーケードの各所を飾り、街のいたる所に三国志の人物石像が設置されているのも、その一環というわけだ。そして10年にわたって「三国志」をテーマにした祭が毎年、開催されているのもこの町ならでは。
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アニマル、なりきり武将の登場!

10月2日(日)、例年どおり盛大に開催された第10回「三国志祭」。そのメイン会場といっても良いほど活発な催しを行なっていたのが、六間道(ろっけんみち)五丁目商店街だ。まず11時から始まったステージイベントでは、ご当地ゆるキャラの「孔明わん」、「関うーたん」が登場。

なにしろ午前11時開始である。筆者は東京住まいなので、朝7時に発し、ようやく間に合った(笑)。諸葛屋ケーちゃん(檀上、ピンク色の衣裳)による、「CCCで三国シー!」という歌声がアーケードに鳴り響くなか、三国志なりきり武将隊の面々がオープニングを飾る。
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この「三国志祭」のユニークなところは、商店街で行われること。普段は「下町」の風情ただよう新長田のアーケードが年に一度、三国志一色に染まる日。当日も福岡から、岡山から、東京から・・・日本各地の三国志を愛するクリエイターが商店街にて出店。普段はなかなか入手できない、魅力的な三国志グッズが集結。手に持ちきれないほど、様々なものを買い込む参加者の姿がたくさん見られた。単なる「町おこし」ではなく、三国志を愛する人たちが企画し、来場者とともに心から楽しむ日なのだ。
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今年も盛り上がったステージイベント!

ステージでは、「おやこ三国志人形劇」「太極拳演武」「歌と絵のライブコラボ」「西山由華さんの二胡演奏」という具合に、ユニークなイベントが次々に進行。入れ替わり、たちかわりで開催される催しを、来場者も思い思いに楽しんでいた様子だった。
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ステージの最後を飾ったのは、六間道の歌姫・東々(どんどん)さんのライブ。公式には「三国的歌娘」と紹介されているが、あえて「歌姫」と紹介したい。「レッドクリフ」「時の河」といった三国志関連の歌のみならず、「時の流れに身をまかせ」(テレサ・テン)、「シルシ」(LiSA)なども含め9曲披露。あいかわらず張りのある、可愛らしい声で商店街を包んだ。
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そして16時からは、いよいよ「三国志パレード」開始。第8回以来、おなじみとなった高さ4mの巨大な三兄弟(劉備・関羽・張飛)人形が街中を練り歩く。三兄弟はじめ獅子舞や楽隊に扮するのは、地元の神戸市立兵庫商業高校の生徒さんたちだ。
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若さみなぎる男女の高校生たちが操る、黒白の獅子に頭をかじってもらうと、なんだかパワーを分けてもらえるかのようである(笑)。
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獅子舞や楽隊が先導するなか、午後5時ごろに駅前の「鉄人広場」へと到着。「桃園結義」を思わせるかのように三兄弟が立ち並び、参加者がそれを取り囲むようにして拍手喝采し、無事終了とあいなる。今年も素晴らしい祭、十分に堪能させてもらった。

新長田の名物を食べ尽くす!

さて、「三国志祭」がメインであったことはもちろんだが、今回はひそかに「新長田を味わい尽くす!」をテーマに、たくさんの新長田グルメを楽しんだ。それらをご紹介したい。
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まずは六間道にある「かき氷」の店、六花(りっか)。いまどき「かき氷」の専門店というのも珍しいが、それだけに地元の人々に愛され、いまや憩いの場となっている貴重な存在だ。

三国志祭当日にあたるこの日は、特別メニュー「曹操止渇之・梅氷」(700円)を提供。「この丘を越えれば梅の林があるぞ」と言って喉の渇きを訴える兵士を励ました曹操の逸話にちなんだメニュー。氷を丘に見立て、その向こう側に梅の実が見え隠れするという凝りよう。決して梅を、こちらに向けて食べてはいけない(笑)。

氷の中に梅ゼリーが埋め込まれ、シロップ代わりに梅酒がかかっているという大人の味わいに癒された。なにしろ、10月なのに気温30度もあるので、お客さんもひっきりなし、繁盛していた。昨年のメニュー「温州蜜柑でございます」同様、センスと美味しさを兼ね備えた逸品。ぜひとも通年、味わいたいものだ。
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続いては、その2軒左隣にある「下町カレー ヒーハー」へ。今年(2016年)6月にオープンしたばかりのカレー屋さんだが、ほぼ毎日通うという常連さんもいるほどの人気店になっている。
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ここのカレーは、神戸・新長田名物でもある「ぼっかけカレー」(並盛700円)。「ぼっかけ」とは牛すじとコンニャクの煮込み。それにカレーをかけたものだ。4時間じっくり煮込んだブイヨンを1日寝かせ、さらにカレースパイスを加えて4時間。それからさらに1日寝かせて完成するという手の込んだカレーである。

そのままでは辛くないが、「ヒーハー」という名前の通り、特製辛味スパイス(お代わり自由)が付いた「ヒーハーカレー」(並盛750円)がある。いかにも辛そうな、この赤いスパイスを混ぜながら食べることで辛口カレーに早変わりするのだ。これで辛口好みの筆者も文句なし。ヒーハーしながら美味しくいただき、サービスのコーヒー(オリジナルブレンド)を喫して御馳走さま。いつか、特盛(ご飯450g)を食してみたい。
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続いて向かったのは、大正筋商店街の味萬(あじまん)。新長田の名物おじさんがいるお茶の店だ。数年前は、三国志の劉禅に扮した衣裳で接客を行なったり、「美少女三国志」グッズを販売していたことでも(一部)話題になっていたが、今は少し落ち着いてしまったかな?

「いやあ、皇帝の衣裳を着ると動きにくいし、帽子の飾り紐も邪魔でね・・・。今は三国志に頼らず、本業に専念しているんだよ」と、伊東さんは笑顔を見せてくれた。もちろん、三国志ファンは大歓迎だし、写真のように美少女三国志グッズも置いてある。
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カレーで再び渇いた口の中を潤すため、極(きわみ)抹茶アイスもなか(350円)を購入。抹茶のほか、ブルーベリー、マンゴー、バニラなど色々な味がある。甘さ控えめの味で、割とボリュームもあって満足感のある「おやつ」だ。ちなみに、この隣で娘さんが経営する「日本茶カフェ 彩茶」も、お休み処としておすすめしておきたい。
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そうこうしているうちに、三国志祭も終わりを迎え、日も暮れかけてきた。こうなると「夜の店」の出番である。新長田の夜となれば、この町のいちばんの名物である「粉もの」を味わわないわけにはいかないだろう。ということで、本町筋商店街にある「お好み焼き 志ば多」(しばた)へと向かう。昭和21年に創業し、3代70年も続く名店である。
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これぞまさに、関西のお好み焼き店!といった感じでカウンターいっぱいに広がる鉄板。関東と何が違うかといえば、お店の人が焼いてくれるところだ。そう、東では自分で焼かなければいけないから、焼き方を間違えると失敗してしまうのだが、西ではそういう心配がない。ビールでも飲みながら、プロの仕事を眺めつつ待てる。これがたまらない。

随一の老舗で「三国志焼き」を楽しむ!

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この「志ば多」で人気なのが、いか・えび・すじの3つが入った「三国志焼き」(900円)。それぞれ独立したメニューが1枚で楽しめる贅沢なメニューは、新長田グルメ初心者はもちろん、常連さんにも大好評という。焼き上がりを待って、魏・蜀・呉よろしく3つに切って味わうのがベターだ。

ついでに紹介しておくと、この店は「モダン焼き」発祥の店といわれている。モダン焼きとは麺を生地で包んで焼いたもので、広島のお好み焼きに似ているが、少し違う食べ物だ。麺入りのお好み焼きは他の地方では「広島焼き」とも呼ばれるが、広島では麺入りが標準だし、ご当地でもあるので「広島焼き」という呼び方はしない。西日本の粉もの文化の奥深さは、関東の人間が生易しく語ってはいけないような凄みがある(笑)。
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どっぷりと日が暮れたなか、丸五市場(まるごいちば)へ急ぐ。ここは大正11年にできた、食材店や飲食店が並ぶ市場。日曜日ということもあり、ほとんどの店のシャッターが閉まっているが、その奥に魅力的な店がある。
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今は法正のバナーが目印。手作り水餃子の「めいりん」だ。可愛い店名の由来は、もちろん店主の美麗(めいりん)さんのこと。お名前にぴったりな感じのママは山東省出身で、とても愛想がいい。

愛嬌だけではなく、美麗さんがつくる水餃子は本物だ。もちっとした皮は口どけが良く、味付けもしっかりしているので、調味料なしでもいけてしまうほど。足しげく通う常連客も多いのも頷ける。肉・海鮮・野菜の3つが混ざった餡は「三国志餃子」と呼んでも差し支えないだろう(笑)。
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そのうえ安い。7個で350円という、個人経営の飲み屋としては良心的すぎるお値段。これでも物価の関係で値上げしたばかりなのだという。これにチューハイ350円で合計700円、なんだか申し訳ない気持ちに(笑)。もちろん麻婆豆腐、肉まんなど、水餃子以外にも自慢の料理がたくさんある。
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丸五市場には、そば焼、そば飯の「いりちゃん」という名物店もある。写真を見れば、いかに愛されている店だか分かるだろう。この日はちょうど店じまいで味わうことができなかった。いや、もし開いていてもさすがに満腹で食べられなかったと思うが・・・(笑)。この市場、新長田のディープ・スポットとして各商店街ともども、応援していきたいものだ。
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実は今年2016年5月、新長田の定番スポットだった「三国志ガーデン」が閉館してしまったのだが、そこにあった展示物は「三国志ギャラリー」ほか、新長田の各地に移設され、今も健在。それらを見ながら新長田を散策するのも楽しいはずだ。最後に、既設・移設したものも含めた新長田の「三国志オブジェ」の数々をご覧いただきながら記事を締めたいと思う。

【文・写真/上永哲矢(哲舟)】

◆六間道五丁目商店街
http://rokkenmichi5.com/
◆新長田のお店
http://kobe-shinnagata.com/
◆神戸鉄人プロジェクト
http://www.kobe-tetsujin.com/

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※前回(2015年)第9回 三国志祭の記事はこちら
三国志ファンが集う祭典!「六間道三国志祭」に行ってきた

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