茨城県の最西端に位置し、栃木・埼玉に接している古河市(こがし)。
渡良瀬川と利根川という大きな河川が流れ、歴史ある町並みが残るこの美しい町には、明治と昭和の河川工事で消えた幻の城「古河城」があったことをご存知でしょうか?
歴史ファンでも知らない人がいるこの幻の城が、ふるさと古河を愛する地元有志の力で蘇ったというニュースをお知らせします。
戦国大名がこぞって争う「関東の要所」江戸幕府の重職を多数輩出
古河城が築かれたのは平安時代。源頼朝の家臣 下河辺行平が築城したといわれています。
南北に1800メートル、東西550メートルもあり、渡良瀬川を脇に控え、川を堀にした巨城でした。
室町時代になり、1455(享徳4)年に足利成氏が本拠を古河に移し、古河公方という官位のもと古河市を支配。
その後応仁の乱をきっかけとしてはじまった戦国時代には、足利氏、関東管領(関東地方の統治)上杉氏と足利氏、北条氏による争乱のなかに巻き込まれていきます。
そしてNHK大河ドラマ「真田丸」でもあった北条氏滅亡以降は、関東を支配することになった徳川家康の所領に。
土井家をはじめとして譜代大名が何人も藩主をつとめ、二大老七老中という幕府の要職を多数輩出した、歴史ある古河藩の藩庁として幕末を迎えます。
江戸時代に古河藩主だった土井利位(としつら)も、幕府老中首座(将軍直属の官僚最高位)をつとめながら、雪の結晶を研究し「雪の殿様」と呼ばれたという魅力ある偉人。
古河市の非公認ご当地キャラ「こがにゃんこ」は、この土井利位と、家老であった鷹見泉石(たかみせんせき)をモデルにしているのだそうです。
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このように幕府の重職を務める譜代大名の居城として幕末を迎えた古河城。
しかし渡良瀬川の度重なる氾濫を抑えるために明治末期、超大規模な治水工事が実施されます。
曲輪は削られ、堀は埋められ、3階建ての天守など建造物などは完全に廃却。
残った部分も市街地になり、出城として作られた諏訪曲輪が現在古河歴史博物館としてわずかに残っているのみ。
古河城は全国でも珍しい、城跡すらない「幻の城」となってしまったのです。なんとももったいない話。。。
地元有志「古河史楽会」が少ない史料をもとに古河城をCGで再現!!
しかし、そんなふうに消えてしまった古河城を現代に蘇らせよう!と地元で歴史研究を行う市民団体「古河史楽会(こが しがくかい)」が独自の検証で古河城の再現にトライ。
CG技術とグーグルアースを駆使し、古河城を現代に蘇らせることに成功したのです。
このCGは国交省利根川上流河川事務所が所蔵の、明治期の古河城跡の地図(現在非公開)を参考に、日本各地で所蔵されている古河城絵図の情報をもとに再現したものだそうで、歴史的にも検証された大変貴重な史料となります。
この見事なCGを製作した古河史楽会は、古河市と歴史背景を同じくする下河辺庄、古河藩領、渡良瀬文化圏の歴史をもっと楽しく知ってもらおう! と、現在18人で活動している市民団体。
本丸跡に国交省の許可をとって説明板を設置したり、各地の戦国イベントで古河城のPRをしたりと大活躍。
古河の歴史を自主的にPRするという素晴らしい活動を行っているのですね。
注目!8月に歴史展示イベント「大人の自由研究」を1ヶ月間開催
このように古河市のために精力的な活動を行っている古河史楽会ですが、8/1(月)〜31日(水)の1ヶ月間、市内にあるステキな古民家レストラン サンローゼにて開催される主催イベント「大人の自由研究」に出展。
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その他にも古河市には寺社仏閣も多く、いまだに残る古い町並みを活用したカフェなどもあるとか。
歴史ファンにとってはイベントがてら市内や、もとは古河城だった渡良瀬川の堤防を、思いを馳せながら散策するのも楽しいはず。
関連サイト:こがナビ http://www.kogakanko.jp/index.php
これまでの歴史のなかで、政治や文化の中心は京都と江戸ですよね。
しかしその他にも日本には歴史ある町がたくさんあります。
そしてそこには古河史楽会のみなさんや、こがにゃんこの作者小太刀御禄さんのように、自分のまちに誇りをもち、まちに伝わる歴史をしっかりと受け継いでいる方々が必ずいます。
歴人マガジンでもそのような方々の地道な活動を応援し、ご紹介していくことで、歴史ファンの楽しみが増し、そのような人達の交流をお手伝いできればと思っています。
古河史楽会のみなさん、これからも古河市のためにがんばってください!
参照元:
「古河史楽会」オフィシャルサイト
編集長Y
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