上杉家の家臣でありながら豊臣秀吉や徳川家康を魅了し、恐れさせた知将・直江兼続。「愛」の兜を掲げて一途に民と故郷を愛し、「義」を貫いたその姿は、血生臭い欲望が渦巻く戦国の世でひときわ異彩を放っており、現在も多くの歴史ファンから愛されている。
そんな直江兼続の激動の生涯を描いたのが、大河ドラマ「天地人」だ。本作が大河ドラマ初主演となる妻夫木聡を筆頭に、小栗旬や松田龍平といった若手俳優を起用し、平均視聴率21.2%を獲得した人気作を、チャンネル銀河では2017年5月1日(月)より放送する。
「義」と「愛」を貫いた知将・直江兼続
直江兼続(1560-1620年)は、上杉家の家臣として生涯にわたり主君・上杉景勝を支えた名参謀。「愛」の兜を掲げ、その忠臣ぶりは戦国の世でもひときわ目立つ存在であったという。
幼名は与六と言い、その非凡さを見込まれ5歳で景勝の小姓となる。禅寺・雲洞庵で研鑽を積んだのち、景勝とともに上杉謙信の薫陶を受け、「義」の精神と民を愛し民と生きる心を受け継いだ。景勝と上杉景虎による上杉家の家督争い「御館の乱」の戦功により、異例の若さで家老に昇進。景勝の命により、直江景綱の娘・お船の婿となって名門・直江家を継ぐ。 厳しい戦況が続いた織田信長軍との攻防では死力を尽くして上杉軍を支え、信長死後は豊臣秀吉と友好関係を構築。秀吉は兼続の才覚、手腕を高く評価していたという。秀吉の死後、天下を狙う徳川家康に対して真っ向から反論した「直江状」は家康を激怒させ、これが後に関ヶ原の戦いへとつながった。関ヶ原の戦いでは、奥州より石田三成を支持。西軍敗北により窮地に陥るが、巧みな差配により自軍の被害を最小限に食い止めた。
妻夫木版・直江兼続の魅力とは?
上杉謙信の「義」の精神を受け継ぎ、仁愛の「愛」という信念にたどり着いた直江兼続。兜に「愛」の文字を掲げ、豊臣秀吉や徳川家康といった大物たちを魅了し、また恐れられた知将だった。本作では、原作にはない「泣き虫」という設定が加わり、傷ついて、迷って、泣いて、悩みながら成長を遂げていく兼続の姿が、青春期から丁寧に描かれている。
そんな知勇兼備の名将を演じたのは、本作が大河ドラマ初出演となる妻夫木聡。「大河ドラマ出演はデビュー以来の夢だった」という妻夫木が、兼続とともに成長していく姿にも注目だ。
名子役・加藤清史郎にまた会える!
本作を語る上で、兼続の少年時代である与六を演じた、加藤清史郎の名演技を忘れてはいけない。わずか2回の出演にもかかわらず、当時は「あの子役は誰?」と大きな話題となった。5歳で家族と別れ、上杉の家臣となるべく修行を積む「泣き虫・与六」のけなげな演技は、多くの視聴者に感動を与えた。上杉謙信との対面の場で言った「わしはこんなとこ、来とうはなかった!」というセリフは、2009年の『新語・流行語大賞』にもノミネートされている。この演技が評判を呼び、物語の後半では、兼続の長男・竹松役として加藤清史郎が再登場し、注目を集めた。
少年から大人へ・・・2作品で石田三成を演じた小栗旬
石田三成を演じた小栗旬は、1996年の大河ドラマ「秀吉」で三成の少年期・佐吉を演じていた。「まだ子どもだったので、ただ一生懸命やっただけだった」と語る小栗だが、14年ぶりに三成役に再会したときには「自分で勝手に運命とか因縁のようなものを感じてしまった」と、その巡り合わせの妙に感動したという。「天地人」では、石田三成の人となりを紹介するドラマのプロローグで、三成が少年時代から切れ者だったことを物語る“三杯の茶”のエピソードとともに、かつて小栗が演じた佐吉少年の映像が流れ、大きな反響を呼んだ。
戦国武将を演じたフレッシュな若手俳優陣
本作では「戦国時代に生きる若者たちのリアルな姿を見せたい」という狙いから、直江兼続を演じた主演の妻夫木聡をはじめ、多くの若手俳優がキャスティングされている。
兼続の生涯の友となる石田三成を小栗旬、兼続の永遠のライバルである“独眼竜”伊達政宗を松田龍平、天才的な戦術家であり兼続を兄のように慕う真田幸村を城田優が熱演。戦国武将だけでなく、長澤まさみ、相武紗季などの若手女優陣も物語に華を添えている。いまや、映画・ドラマで主役級の俳優が観られることも大河ドラマならではの楽しみだ。
大河ドラマ「天地人」
放送日:2017年5月1日(月)スタート 月-金 午後2:00~ ※リピート:深夜0:00~
番組ページ:http://www.ch-ginga.jp/feature/tenchijin/
【ストーリー】
永禄7年(1564)、越後上田庄の坂戸城主・長尾政景が死に、上杉輝虎(後の謙信)が弔いに現れる。輝虎の実の姉である政景の妻・桃は髪を下ろし仙桃院(せんとういん)となり、政景の子・喜平次(後の景勝)は輝虎の養子になった。仙桃院は、10歳の喜平次とともに成長し腹を割って話せる家臣を望み、長尾家家臣・樋口惣右衛門の長男・与六(後の兼続)に白羽の矢が・・・。与六は5歳で喜平次の家臣になるのであった。
画像:『大河ドラマ「天地人」』©NHK
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