大河ドラマ「おんな城主 直虎」や漫画大ヒットコミック「センゴク外伝 桶狭間戦記」などで今、大注目の武将・今川義元。
お歯黒をつけ、桶狭間では織田信長に討たれた不遇で無能な公家かぶれ・・・というのが従来の評価でしたが、それが近年の研究で大きく変わりつつあります。今川家の5男として生まれ、およそ家督を継げる状況になかった義元がいかにして今川家当主に上り詰め、「東海一の弓取り」と言われるまでの戦国大名になったのか。
5月23、30日(火)に放送のEテレ『先人たちの底力 知恵泉』では、2本にわたり今川義元を大特集。
混迷の時代に生きた義元の生き方から、予測不能な現代を生き抜くヒントを探ります。
義元のたぐいまれな「仲間をつくる極意」とは
23日の放送は「だって仲間だもの 戦国武将 今川義元」と題し、義元の「仲間をつくる知恵」から世渡りの極意を学びます。
守護大名・今川家の5男として生まれた義元は幼くして出家させられます。家臣もない、武力もない、政治力もない。そんな義元が武器としたのが「人脈」でした。
義元は、京都・建仁寺で古典籍や漢詩の教養を身につけると、歌会などの席を通じて積極的に都の公家たちと太いパイプを築いていきます。やがて今川家当主の兄・氏輝が病死すると、義元は満を持して動き出すのです。そこでフル活用したのが、都でつくった仲間たちでした。
今川家の当主となり、領国経営に乗り出した義元が大切にしたのが、力で領民を押さえつけるのではなく、「仲間意識」を芽生えさせること。そのための切り札が、国をひとつの今川ファミリーという「疑似家族」として領民と信頼関係を構築することでした。支配者と被支配者の関係ではなく、お互いに「持ちつ持たれつ」の関係を築くことこそが、戦国の世に秩序をもたらすと考えたのです。
ゲストには漫画「センゴク」で、戦国時代をリアルに描き続ける漫画家・宮下英樹さんを迎え、義元の魅力を語ります。
「戦わずして生き残る」ことを目指した義元
続く30日の放送では「戦わずして生き残る!? 戦国武将 今川義元」と題し、新史料とともに義元の卓越した政治手腕に迫ります。
桶狭間の合戦で2万5千の大軍を擁しながら、わずか2千の織田信長に敗れ、首を取られてしまったイメージが強烈なため、義元の評価は今もすこぶる悪いまま。足利将軍家から「外出のときは輿(こし)に乗ってよい」と特別の許可を与えられて出陣したのにも関わらず、「馬にも乗れなかった」などと揶揄(やゆ)される始末・・・。
しかし実は、桶狭間の戦いの何年も前から義元は周到な準備を重ね、「負けるはずのない」万全の状況をつくり出し、戦に臨んでいました。そこにあったのは義元の「戦わずして生き残る知恵」。
番組では、近年注目を集める新しい史料を交えながら、義元の知られざる野望と、最小限の戦いで最大限の成果を得ることで戦国の世を生き残ろうとした義元の極意に迫ります。
2回にわたって特集される、戦国武将・今川義元の知恵。改めて、その人物像と功績を見直してみてはいかがでしょうか。
Eテレ【先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)】
放送日時:
2017年5月23日(火) 22:00~22:43
「だって仲間だもの 戦国武将 今川義元」2017年5月30日(火) 22:00~22:43
「戦わずして生き残る!? 戦国武将 今川義元」公式HP:Eテレ「先人たちの底力 知恵泉」
http://www4.nhk.or.jp/chieizu/
(編集部)
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