ホワイトデーの定番菓子「マシュマロ」、その起源は古代エジプトにあった!【哲舟の「偉人は食から作られる!」 VOL.12】

世界史
ホワイトデーの定番菓子「マシュマロ」、その起源は古代エジプトにあった!【哲舟の「偉人は食から作られる!」 VOL.12】

マシュマロは、卵白や砂糖を混ぜてゼリーで固めたキャンディの一種。あのフワフワした食感をお好みの方も多いのではないだろうか。

 

その歴史は、とても古い。なんと古代エジプトの王族が「マーシュ・マロウ」(Marsh mallow)というアオイ科の植物の根をすりつぶし、喉の薬や鎮痛剤として服用していたそうだ。少なくとも紀元前30年前、2000年以上も前にさかのぼる。

 

これが長く伝わり、19世紀になってフランスなどのヨーロッパの菓子職人が、その植物の根のエキスに砂糖を加え、お菓子として完成させた。ところが次第に植物は使われなくなり、「マーシュ・マロウ」の名前だけが残った。

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明治25年(1892)、日本で初めて「マーシュ・マロウ」を製造・販売したのは、「ゴーフル」で有名な、東京の風月堂(ふうげつどう)だった。当時は、真珠磨(マシュマロ)というネーミングで売り出されたというから面白い。

また、明治32年(1899)には東京赤坂に「森永製菓」(当時は森永西洋菓子製造所)が開業。創業者の森永太一郎氏は、アメリカで西洋菓子の製造の修行を積んで帰国し、最初に作った菓子がマシュマロだった。

 

森永といえば、あのキャラメルの箱の「エンゼルマーク」が有名だが、実は太一郎氏が当時よく作っていたマシュマロが、西洋では「エンゼルフード」と呼ばれることにちなんで、あのマークが作られたのだ。
森永製菓は戦後日本で、2月14日の「バレンタインデー」に女性が男性にチョコレートを贈る習慣を広めたことでも知られる。

 

 しかし、3月14日に男性から女性へお返しの菓子を贈る「ホワイトデー」を仕掛けたのは森永製菓ではなく、福岡県の菓子店「石村萬盛堂」といわれている。

 

 同店はヨーロッパからマシュマロの製法を導入し、これを活かして「鶴乃子」(つるのこ)という菓子を生みだし、人気を集めた。鶴乃子は、マシュマロの中に餡を入れたような菓子で、今も福岡銘菓として有名だ。

昭和52年(1977)、同店は鶴乃子と同じ原料の「マシュマロ」を大量生産。「バレンタインデーのお返しに贈ろう」というキャンペーンを、百貨店と共同で行った。

当初は「マシュマロデー」と呼ばれたが、マシュマロが白いことにちなんでか、次第に「ホワイトデー」と呼ばれるようになったという。

それ以外にも由来は諸説あるが、いずれにしてもお菓子業界がこれを歓迎しないワケはなく、キャンディやクッキーも売られるようになる。ホワイトデーは、やがて日本独自の慣習として広まり定着、最近は中国や韓国にも広まっている。

ヨーロッパにはバレンタインデーはあるが、異性にお菓子を贈るという決まった習慣はない。もちろんホワイトデーもない。しかし両方とも、「西洋チックな日本独自のイベント」として定着したのは興味深いところだ。

古代エジプトを起源とするマシュマロが、約2000年の時を経て、遠い島国の幸せな日を象徴するアイテムになったのは、不思議といえば不思議だ。


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