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【 傑作が一堂に揃う! 】9/26より特別展「運慶」がついに開催!

今までの「仏像」のイメージを一変させ、まるで生きているかのような写実性と躍動感を実現させた仏師・運慶。日本各地にある運慶仏を一堂に集めた展覧会『興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」』が9月26日(火)〜11月26日(日)まで東京国立博物館で開催されます。博物館だからこそ見られる貴重な機会を前に、見どころをたっぷりご紹介します。

運慶の独創性をじっくり堪能する

政権が貴族から武士に引き継がれていった平安〜鎌倉時代。時代の変革期に、運慶は12世紀に流行していた仏像の表現スタイル「定朝様」とはまったく異なる新しい表現を生み出しました。生命力みなぎる国宝「国宝 八大童子立像」(和歌山・金剛峰寺蔵)や、肖像彫刻の最高傑作である国宝「無著菩薩立像・世親菩薩立像」(奈良・興福寺蔵)など、運慶の独創性が最も堪能できる仏像が一堂に会します。

国宝 八大童子立像のうち
制多伽童子
運慶作 鎌倉時代・建久8年(1197)頃
和歌山・金剛峯寺蔵
(写真:高野山霊宝館)
国宝 無著菩薩立像
運慶作 鎌倉時代・
建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵
(写真:六田知弘)
国宝 世親菩薩立像
運慶作 鎌倉時代・
建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺蔵
(写真:六田知弘)

全国にある貴重な仏像と出会う

運慶は、平家の焼き討ちによって灰になった奈良の興福寺や東大寺の復興に尽力するとともに、貴族だけでなく、新興勢力である東国武士からの依頼を受け、仏像を制作したことが知られています。国宝「毘沙門天立像」(静岡・願成就院蔵)は、像内に納められていた五輪塔形の銘札の墨書から、文治2年(1186)に、北条時政の発願により運慶が作った仏像ということがわかりました。

国宝 毘沙門天立像
運慶作 鎌倉時代・
文治2年(1186)頃
静岡・願成就院蔵
(写真:六田知弘)

今回の展覧会では、京都や奈良だけでなく、寺外で初展示となる重要文化財「聖観音菩薩立像」(愛知・瀧山寺蔵)など、各地で大切に守り継がれてきた仏像が結集した、またとない機会でもあるのです。

重要文化財 聖観音菩薩立像
運慶・湛慶作
鎌倉時代・正治3年(1201)頃
愛知・瀧山寺蔵

知られざる運慶の源流を探る

運慶の詳しい生い立ちはわかっていませんが、息子の湛慶(たんけい)が永安3年(1173)生まれであること、処女作と見られる国宝「大日如来坐像」(奈良・円成寺蔵)を安元元年(1175)に着手していることから、おおよそ1150年頃と考えられています。

国宝 大日如来坐像
運慶作 平安時代・安元2年(1176)
奈良・円成寺蔵
(写真・飛鳥園)

国宝「阿弥陀如来坐像」(京都・平等院鳳凰堂蔵)の作者である大仏師・定朝から、仏像集団は院派、円派、奈良仏師という3つの系統に分かれました。院派、円派が保守的な作風であるのに対し、運慶の父・康慶(こうけい)が属する奈良仏師は、新たな造形を開発しようとする気概があったとされます。

今回は、運慶自身の初期から晩年までの作品を通覧できると共に、父・康慶、息子の湛慶や康弁(こうべん)ら、親子三代の作品を見ることで、独創的な造形の誕生とその継承という視点からも、運慶を捉えることができる構成になっています。

博物館ならではの展示で鑑賞する

今回の展示は、東京国立博物館平成館のスケールを生かした空間に、「無著菩薩立像・世親菩薩立像」を守るように、高さ2mを超える堂々とした体躯の国宝「四天王立像」(奈良・興福寺蔵、南円堂安置)が配置されるなど、寺内とは違った、圧巻の光景が楽しめます。普段は見られない後ろ姿を含め、360度全方位から見られるのも魅力です。また、運慶作と伝わる重要文化財「十二神将立像」(京都・浄瑠璃寺伝来)が42年ぶりに勢揃いするなど、見どころは尽きません。

重要文化財
十二神将立像のうち戌神
鎌倉時代・13世紀
東京国立博物館蔵

初めて見る人はもちろん、一度見たことがある人も新たな魅力を発見できる、特別な機会にぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
開催日:2017年9月26日 (火) ~11月26日 (日)
開館時間:午前9時30分~午後5時
(金曜・土曜および11月2日(木)は午後9時まで開館)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 ※ただし、10月9日(月・祝)は開館
開催場所:東京国立博物館 平成館

公式HP:特別展「運慶」公式サイト
http://unkei2017.jp/

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