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【源義経の愛妾】実在していなかったかも!?静御前の謎多き生涯

源義経の愛妾として知られる静御前。大河ドラマ「義経」では、石原さとみさんの瑞々しい演技が注目されました。白拍子である彼女は、頼朝の前で舞いながら愛する人を思う歌を詠んだという逸話が有名ですが、最期もわかっていないなど、その生涯は謎に包まれています。ミステリアスだからこそ気になる!静御前について探ってみましょう。

大河ドラマ「義経」で静御前を演じた石原さとみさん。
ⒸNHK

そもそも白拍子って?

静御前を描いた錦絵
(歌川豊国画、国立国会図書館蔵)

南北朝時代から室町時代初期に成立したとされる軍記物語『義経記』には、義経と静御前の出会いはこう書かれています。

神泉苑の池のほとりで雨乞いが行われ、99人の白拍子が舞っても雨が降りませんでした。しかし100人目の静が舞を奉納した後、にわかに空が曇り大雨が降ったのです。この時、静御前は後白河法皇から「日本一」と褒められ、義経も彼女を見初めたといいます。

義経と静御前が出会ったとされる神泉苑(京都市)

そもそも彼女の職業である白拍子とは、どんなものなんでしょう。

平安末期から鎌倉時代にかけて、男装の女性が歌や舞を披露したものが白拍子といいます。遊女である場合もあり、身分は高くありませんでした。

しかし、貴族など高貴な人々の屋敷に出入りすることもあったため、中には高い教養を身に付けている白拍子もおり、静御前のように愛妾となる者もいたんです。静御前の母・磯禅師も白拍子でした。

『吾妻鏡』における静御前の生涯

鎌倉末期に成立した歴史書で、鎌倉幕府初代将軍源頼朝から6代宗尊親王までのことが書かれている『吾妻鏡』には、静御前の生涯の一部が記録されています。

置いていくなら最初から連れて
行かなきゃよかった?源義経
(中尊寺蔵)

源平合戦の後、朝廷から勝手に官位を受けたこともあり、義経と兄・頼朝は不仲になります。そして義経は京を脱出、吉野山(奈良県)へ隠れたのです。この時はわずかな供と静御前が一緒でした。しかし、義経は彼女に「お前は京に戻れ」と言い、ここで2人は今生の別れをすることになります。

文治元年(1185)11月17日、静御前は義経を捜索に来た頼朝配下の者に捕らえられ、母・磯禅師と鎌倉へ送致されました。この時彼女は義経の子を妊娠していたのです。鎌倉で再び取り調べを受けた彼女ですが、義経の行方については「知らない」としか答えません。

その頃、頼朝と北条政子が鶴岡八幡宮に参拝することとなり、その際にぜひ静御前に舞を所望したいと言ってきました。

静御前が頼朝と政子の前で舞を舞ったと伝わる鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)。

そこで静御前は、舞いながら義経を慕う歌を詠みます。有名な「しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな」と「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」という2つの歌ですね。

「しずやしず」を舞う静(石原さとみ)
大河ドラマ「義経」©NHK

頼朝は激怒しましたが、政子の取り成しによって許されました。お腹の子は女子なら助けてやると言われますが、生まれたのは男子だったため、すぐに殺されてしまいます。その後、静御前は母と京へ帰されました。

以上が、『吾妻鏡』における彼女の記録です。

静御前は郷御前のことだった?

実は、『吾妻鏡』以外の歴史書には、静御前についての記録は存在していません。史実では、義経の正室は武蔵国の豪族で河越重頼の娘の郷御前、側室は平時忠の娘の蕨姫といわれています。

『吾妻鏡』は北条氏が編纂したものであり、彼らに敵対した者については良く書かれていません。時には、曲筆と言って、事実をかなり曲げていることもあります。郷御前の母方が北条氏の政敵・比企氏だったこともあり、その影を排除するため曲筆し、郷御前よりも静御前を登場させたのでは、とも考えられています。

静御前の最期

静御前の最期については、入水自殺説や病没など、様々な説があります。

埼玉県久喜市の栗橋駅前にある「静御前之墓」は、義経の叔父が住職を務める高柳寺があったとされる場所です。義経の死を知らされた静御前が、寺を訪ね、出家したものの、慣れぬ旅の疲れから病になり、22才の生涯を閉じたと伝わっています。毎年10月には「静御前まつり」も開催されているんですよ。

栗橋駅前にある「静御前之墓」(埼玉県久喜市)。

また、母の故郷・香川で出家し、母の死の直後に病死したとも伝わっていたり、ほかにも岩手、埼玉、新潟、香川など、全国各地に墓があります。

謎が多く、実在にさえ疑問符が付く静御前。だからこそ、悲劇の名将と美貌の白拍子の悲恋は讃えられ、各地に伝説を残しているのかもしれません。

(xiao)

大河ドラマ「義経」

放送日:2017年11月14日(火)スタート 月-金 午後2:00~
番組ページ:https://www.ch-ginga.jp/feature/yoshitsune/

【ストーリー】
平治元年(1159年)12月。平治の乱で源氏軍が平家に破れ、源義朝の愛妾・常盤は、乳飲み子の牛若(のちの義経)と幼子らを抱えて都を逃れ雪の中をさまよい歩いていた。母が平家に捕らえられたことを知る常盤は、自分の命と引きかえに母と子らの助命を求めて平清盛のもとへ出頭する。清盛は先に捕らえた源氏の嫡男・源頼朝の命とともに思案する。

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