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【NHK朝ドラ「エール」のモデル】名曲を生み出した作曲家・古関裕而

戦意高揚歌の後悔が戦後の大ヒットへとつながった?

日本が戦争に突入すると、古関メロディーのベースであったクラシックと歌謡曲のメロディーが融合した戦時歌謡を数多くつくります。これは、軍歌ではありませんが、戦意を高揚させる曲でした。もっとも、古関の戦時歌謡はただ勇ましいだけではなく、切なさを感じさせる曲調のものも多かったのです。古関自身も出征しており、当時の経験が「暁に祈る」や「露営の歌」に結びついたとのちに証言しています。

「露営の歌」は戦時歌謡としては空前の大ヒットとなりました。当時の人々はこの歌をとても好みましたし、この歌には古関メロディーの真髄があるように思います。しかし、古関は当時の多くの文化人と同様、戦意を高揚させるものをつくったことを、戦後になって後悔することになるのでした。

1945(昭和20)年8月、長くつらかった戦争がおわりました。戦後の日本は傷つき、貧しく、暗い世の中でした。そんな世の中を古関は明るくしたいと思い立ちます。音楽ならばそのことが可能だと信じていたのです。古関は音楽によって日本を明るくしようと立ち上がります。そして、どんどん人の心に響く歌を発表します。原爆投下をテーマにした映画「長崎の鐘」の主題歌や、戦災孤児をテーマとしたNHKのラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌「とんがり帽子」は多くの人々に愛され、みんなが口ずさみました。

「鐘の鳴る丘」でコンビを組んだ劇作家・菊田一夫とは、それ以降もたくさんの仕事を共にしました。「さくらんぼ大将」「君の名は」等の主題歌は空前の大ヒット。こうした数々の放送関係における業績により、1953(昭和28)年にはNHK放送文化賞を受賞しました。古関は日本を代表する歌手・藤山一郎ら、自分の音楽を表現してくれる人たちにも恵まれました。藤山一郎の歌唱による「長崎の鐘」の壮大さ、「夢淡き東京」の軽やかさはこのコンビならではといえるでしょう。音楽に賭ける古関と藤山の起こした奇跡的な化学反応でもあるのかもしれません。

スポーツとかかわりの深い作曲家として

1964年開催の東京オリンピックの開会式で選手入場行進曲に使われた「オリンピック・マーチ」や、いまでも使われている高校野球大会のテーマソング「栄冠は君に輝く」なども古関がつくりました。また、東京ドームの最寄り駅である水道橋駅のホームの発車メロディーは古関作曲の「巨人軍の歌(闘魂込めて)」。ほかにも「六甲おろし」として知られる「阪神タイガースの歌」も彼の作品です。これらの曲は、古関がスポーツとゆかりの深い作曲家だと言われるゆえんです。

「栄冠は君に輝く」制定30周年となった1977(昭和52)年、古関の母校である福島商業高校が甲子園初勝利を挙げ、甲子園に招待されていた古関は、自らの作曲した校歌も聴くことができました。これは、作曲家としてこのうえない喜びであったことでしょう。

古関裕而は、1989(平成元)年8月18日に88 歳で逝去。音楽葬では応援歌を作曲した早稲田大学、慶應義塾大学の応援団がそれぞれの応援歌である「紺碧の空」と「我ぞ覇者」を歌って送りました。そして、しばらくはテレビやラジオでなつかしい古関メロディーが聴こえてくる日が続きました。

古関メロディーは永遠に

JR福島駅にある古関裕而のモニュメント

現在、JR福島駅で列車が発着する際、ホームに古関メロディーが流れます。在来線ホームが「高原列車は行く」、新幹線ホームが「栄冠は君に輝く」。福島駅東口駅前広場に設置されたモニュメントは古関がオルガンを奏でる姿をかたどったデザインで、午前8時から午後8時までの1時間おきに、「栄冠は君に輝く」「長崎の鐘」などのメロディーが流れる仕組みになっています。

古関は映画「ゴジラ対モスラ」でザ・ピーナッツが歌った「モスラの歌」や、「大根踊り」として知られる「東京農業大学応援歌」の作曲もしています。さらに、交響曲や校歌、社歌まで実にさまざまな曲を数多く作曲しており、昭和音楽会の伝説的人物といっても過言ではないでしょう。

2019年12月から2020年2月にかけて、古関の生誕110周年を記念した「あなたが選ぶ古関メロディーベスト30」(福島民報社主催、中日新聞・東京新聞など協力)の投票が行われました。投票結果の上位10曲は下記のとおりです。

1位 高原列車は行く / 岡本敦郎
2位 栄冠は君に輝く 〜全国高等学校野球大会の歌 / コロムビア合唱団
3位 長崎の鐘 / 藤山一郎
4位 オリンピック・マーチ / 陸上自衛隊中央音楽隊
5位 紺碧の空 〜早稲田大学応援歌 / 早稲田大学グリー・クラブ
6位 六甲おろし 〜阪神タイガースの歌 / 若山彰
7位 イヨマンテの夜 / 伊藤久男
8位 モスラの歌 / ザ・ピーナッツ
9位 君の名は / 織井茂子
10位 とんがり帽子 / 川田正子、ゆりかご会

もし曲名を聞いてピンと来なくても、聴けば「この曲知ってる!」と思う曲ばかりのはずです。

まもなく始まる朝の連続テレビ小説「エール」では古関メロディーはどんなふうに登場するのでしょうか。明るく軽快な中にも切なさをたたえる素晴らしい曲の数々を、楽しみに待ちたいと思います。

<参考サイト>
福島市古関裕而記念館
古関裕而さん生誕110周年記念「あなたが選ぶ古関メロディー ベスト30」

 

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