幕末の長州藩・萩を舞台に、吉田松陰を慕い「松下村塾」に集う若き志士たちを支え、運命に翻弄されながらも、兄・松陰の意思を継いで激動の時代を力強く駆け抜けた女性・杉文(すぎ ふみ)の波乱の生涯を描いた大河ドラマ「花燃ゆ」を、チャンネル銀河で2020年6月8日(月)よりCS初放送する。
ストーリー
嘉永3年(1850)萩。下級武士、杉家の四女・文は、若くして兵学師範として長州藩の軍事調練を率いる兄・吉田寅次郎(のちの松陰)を誇らしく思っていた。松陰は11歳にして藩主・毛利敬親に兵学を講義するなど、藩の将来を背負うと期待されていた天才だった。文はある事件をきっかけに儒学者・小田村伊之助(のちの楫取素彦)と松陰を出会わせることになる。心の繊細さから他人とつきあうことができなかった文だったが、常識にとらわれず振る舞う兄の影響を受け、人と関わることの面白さを知り、たくましく成長していく。
嘉永6年(1853)、吉田松陰が脱藩する。脱藩は藩主を裏切る大罪。松陰が犯した罪のせいで苦しめられる文と杉家。しかしその罪の軽減を藩に熱心に求め続けたのが、のちに文の姉・寿の夫となる小田村伊之助だった。文は、兄を救おうとしてくれた小田村に密かに憧れを抱く。
毛利敬親のはからいで学問の自由を得た松陰だったが、嘉永6年(1853)にペリーが来航すると、その翌年今度は国禁を犯して密航を企てる。黒船に乗船して米国行きを訴えるも、その願いは受け入れられず、密航に失敗した松陰は奉行所に自首。結局故郷・萩の野山獄に投獄されてしまう。文と家族は、松陰が犯した前代未聞の罪によってさらにつらい境遇に置かれるが、家族の絆を改めて感じた文は、書物や食べ物などを差し入れて獄中の松陰を支えるのだった。
野山獄から出た松陰は、家から出るのを禁じられたため、家族や近所の若者たちを集めて孟子の講義などを始める。文は兄を元気づけようと人集めに奔走する。すると、初めはペリーや黒船の話聞きたさに集まってきた若者たちだったが、次第に松陰の教える内容にひかれるようになり、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、吉田稔麿、前原一誠ら、その後の日本を動かすことになる若者たちが次々と集まってきたのだった。その松下村塾を幹事のように切り盛りし、塾生たちから妹のように可愛がられた文は、塾生の一人、久坂玄瑞と結婚する。
しかし、二人の結婚生活は長くは続かなかった。時代は幕末の動乱に向かって急速に動き始めていく。兄・松陰は安政の大獄で処刑。長州藩内では幕府への恭順を主張する一派と、幕府を批判する一派の抗争が始まる。高杉、久坂、伊藤ら、ともに過ごした仲間が次々に争いに巻き込まれていく中、文は家族と松下村塾を守るため、女としての戦いを生き抜いていくのであった……。
見どころ
激動の時代に生きた吉田松陰の妹・杉文の知られざる生涯を描く
長州藩を中心に多くの志士たちに影響を与えた思想家・吉田松陰を兄にもち、激動の時代を力強く生き抜いた女性・杉文。松陰の主宰する私塾「松下村塾」を切り盛りし、兄を支える文は、やがて塾生の久坂玄瑞と結婚。しかし松陰が処刑され、夫の玄瑞も禁門の変で命を落としてしまう。その後は毛利家の大奥に入り、さらには姉の夫であった小田村伊之助(楫取素彦)と再婚するなど、波乱に満ちた人生を歩んでいくことに。多くの人と出会いや別れを繰り返し、彼女はどのような成長を遂げていくのだろうか?
杉家の家族愛と受け継がれていく吉田松陰の教え
「日本を守りたい」という一心で脱藩や外国船への密航を企てたたために投獄されてしまう松陰。そのことで家族である杉家も”罪人の家族”として周囲から後ろ指をさされる日々を送ることに。そんな中でも、「せわぁない」と励ましあい、家族の絆を強めていく文たちであったが、やがて松陰の処刑が決定してしまう。最愛の家族の死を前に、文たちがとった行動とは……。松陰の死とともに、どんな時も揺るぎない家族愛に多くの視聴者が涙したシーンは必見だ。
やがて松陰の教え子たちによって明治維新が成し遂げられると、文は群馬県令となった楫取素彦とともに群馬で富岡製糸場を中心とした製糸業などの産業発展に尽くすことに。そこで女工たちが抱える問題に直面した文は、新たに女子教育の普及に奔走していく。松陰の教えは、時代を大きく動かしただけでなく、それを受け継いだ文によって、群馬の地に生きる人々にも影響を与えていったのだ。
※「せわぁない」…長州の言葉で「大丈夫」の意味。
豪華俳優陣が集結!注目は松下村塾の塾生たち
主人公・杉文を演じるのは連続テレビ小説「おひさま」でヒロインを演じた井上真央。文の人生に大きな影響を与える兄・吉田松陰を伊勢谷友介が、後に文と再婚する小田村伊之助を大沢たかおが演じている。注目は「日本の未来を変える!」という志のもとに松下村塾に集まった塾生たち。久坂玄瑞役の東出昌大、高杉晋作役の高良健吾、吉田稔麿役の瀬戸康史といったイケメン俳優が出演する。20代、30代の若者たちが日本の未来を憂い、命を懸けて生き抜いた激動の幕末を描くにふさわしい華やかなキャスティングに注目だ。
さらに、本作の語りを担当したのは機動戦士ガンダムのシャア・アズナブル役など数多くのアニメ作品で活躍する声優の池田秀一。ドラマがスタートするとアニメファンの間で大きな話題を集めた。
時代背景
杉文(楫取美和)
杉百合之助の四女で、吉田松陰の妹。安政4年(1857)、15歳のときに松下村塾の塾生であった久坂玄瑞と結婚するも、元治元年(1864)に禁門の変で久坂が自決。22歳の若さで夫を亡くすと、「美和」と名を改めて長州藩の世子・毛利元徳の正室に奥女中として仕え、嫡子・元昭の守役をつとめた。その後、亡き姉の夫であった群馬県令・楫取素彦と再婚。やがて素彦は群馬の産業や教育の近代化に寄与したことから男爵となり、美和は華族の妻となった。群馬を去った後も貴族院議員などの公務で多忙な素彦を支え続けた美和は、晩年を山口県防府町で過ごし、大正10年(1921)に78歳で死去した。
松下村塾
幕末期に吉田松陰が主宰した私塾。天保13年(1842)に松陰の叔父である玉木文之進が自宅で私塾を開いたのがはじまりで、のちに松陰の外叔父である久保五郎左衛門が継ぎ、安政4年(1857)に28歳の松陰が継承。身分や階級にとらわれず塾生を受け入れ、「松下村塾の双璧」と呼ばれた久坂玄瑞と高杉晋作をはじめ、伊藤博文、山県有朋、品川弥二郎など、わずか1年あまりの間に明治維新で活躍する多くの逸材を輩出した。
大河ドラマ「花燃ゆ」
放送日時:2020年6月8日(月)放送スタート 月-金 朝8:00~
番組ページ:https://www.ch-ginga.jp/feature/hanamoyu/
出演:井上真央、大沢たかお、伊勢谷友介、高良健吾、東出昌大、原田泰造、優香、瀬戸康史、佐藤隆太、檀ふみ、長塚京三、北大路欣也 ほか
制作:2015年/全50話
画像:大河ドラマ「花燃ゆ」©NHK
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