歴人マガジンの「キュレーター」として人気連載中の歴史コラムニスト 哲舟さんが、こちらも人気連載中の渡部麗さんが運営する「レキシズル」の創立7周年記念パーティーに取材参加!歴史業界のプロが同じくプロを取材するというなんとも贅沢な特別取材企画です。
私も実はこの会に参加していたのですが、哲舟さんに取材していただけるのをいいことに、お客さんとして堪能してしまいました・・・
全国各地でこんなスペースやネットワークができたら最高だし、歴史好きをつなげるお手伝いができたらいいなと心から思います。
さて、歴人マガジンでもおなじみのお二人の素顔が垣間見れる取材レポート、スタートです!
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この「歴人マガジン」をご覧の方で「レキシズルバー」をご存じない方、いらっしゃるだろうか?
いや、知らなくてもまったく恥じることはない。
説明すると、東京・お茶ノ水にある「ショットバー渡部商店」(平日18:30~23:30)が、毎週水曜だけ歴史好きが集まる飲み屋「レキシズルバー」になるのだ。
バーなのであらゆるアルコールが楽しめるのはもちろん、うまい日本酒が飲めることで酒豪も満足、飲めない人のためにソフトドリンクやノンアルのカクテルも揃っている。
「信長デアルカ」「風は新選組」など、歴史上の人名や出来事にちなんだカクテルも注文できるのも特徴だ。
ビールサーバー横の黒電話は現役で、時々「ジリン!ジリン!」と鳴る。さりげなく和洋入り乱れているところがポイント高い。
話によると、このバー、今でも毎週のように「新規のお客さん」が訪れるのだとか。実際、この日も初めてのお客さんが数名。
常連さんが優しく新規客を迎えてくれるので、ご新規さんもいつの間にか馴染みのように溶け込んでしまう。
さて、バーが入っている「イブビル」の3階は、「レキシズルスペース」というイベント用の空間がある。大体、月に1~2度のペース(第4水曜&土曜が多い)で歴史イベントが行なわれており、ここも知る人ぞ知る歴史好きの憩い空間だ。イベントの内容も、年代別だけで戦国や室町時代・江戸時代・幕末・三国志などなど、もちろん多岐にわたる。
畳敷きの空間になっていて、リラックスしながらお酒が飲めるほか、気の利いたツマミやお腹にたまるフードも注目できる。
粋な酒杯や足袋(たび)なんかも販売している。特に足袋は品質も良くておすすめ。ここですぐに履けるし、日本人なら一足ぐらい持っていても損はなさそうだ。
さて、ここで先日行なわれたのが、「レキシズルバー7周年」イベント。
まずは、レキシズル首脳(代表)の渡部麗さんが登場し、挨拶の後、軽妙な語り口で、これまでの「レキシズルバー」のあゆみを簡単に振り返った。
その内容を紹介しておこう。
2008年6月4日
レキシズルバーOPEN。
最初はコアな方、というよりバーの女将をしていらした、六龍堂さんのファンが中心だったそう。
2009年
歴女ブーム到来。メディアが毎週のように取材に来る。取材が取材を呼んで、大変な騒ぎだったようだ。ちなみに、「歴女」という言葉ができる前からレキシズルバーは、あった。
2010年
龍馬伝(大河ドラマ)放映に合わせ、歴史イベント「TERAKOYA」を立ち上げ、実施する。当時は「レキシズルスペース」が無かったため、浅草「アミューズミュージアム」などで開催されていた。その時に来たお客さんの多くが、今も常連客として定着しているとか。(筆者も、初めてレキシズルにお邪魔したのはこの年だったと記憶してます)
2012年7月3日
「レキシズルスペース」オープン。普通にオフィスだったフロアを現在のようなスペースに改装。イベント活動の新しい拠点が完成。
と、こうして7年間の歴史を振り返ったあとは、「新しいユーザーが語る、レキシズルバーとは?」と題して、最近レキシズルバーに来られるようになったお客さんたちが、バーについて感じたことを発表。
「いろんな『史観』を味わうところ」
「歴史好きが呼吸する場所」
いずれも深い想いが伝わってくるような、いい言葉だと感じたが、次の女性のひと言もバーの印象をよく捉えている感じがした。
「ほっとする」
ゆうこさんは、まだバーを訪れるのは3回目。「初めて来た時はドキドキしたけど、2回目に一人で来てみたら、なんだかほっとした」のだとか。「会社には歴史の話ができる人がいないけど、ここは誰とでも気楽に話ができる」という。
イベント後半は、何度もこの場で歴史の名プレゼンを行なっている、チャンプさんとキチエモンさんを交えての「歴史プレゼン、こうやればウケる」というレクチャーを開始。
知り合いに歴史を語りたい時に、物凄く参考になりそうな話し方のコツを、これまでのプレゼンの中から拾い上げて惜しみなく披露するというものだった。肩の力を抜きながらタメになる話が聴けるという、この感覚はなかなか味わえない。
最後に、渡部首脳に7年間続けて来られた秘訣と、お客さんへのメッセージを聞いてみた。
「内輪だけで盛り上がることを極力、避けてきたことですかね。ホント、皆さんいつもありがとうございます。今日はボクもパワーをもらいましたので、8周年に向けて頑張れそうです。初めての方、いつでもお待ちしてます」
なるほど。このユルさと真面目さが混同した匙加減、なかなか真似できない感じがする。レキシズルスペースが「水」とすれば、お客さんは「魚」のような、そんな関係なのかもしれない。
「ものすごく詳しい人が一杯集まるんでしょ?なんか怖いな」
レキシズルバーの話をすると、そうやって身構えてしまう人がいるが、それは全く当てはまらない。皆さんフツーの人、というのが筆者の印象だ。嘘だと思う方は、ちょっと勇気を出して一度行ってみてはいかがだろうか。特に3階「レキシズルスペース」のイベント開催日、お勧めである。
※最新のイベントスケジュールはこちら!
レキシズルスペース
レキシズルバー
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上永哲矢(うえなが てつや) 通称:哲舟。歴史コラムニスト、フリーライター。
『時空旅人』『歴史人』などの雑誌・ムックに、歴史や旅の記事・コラムを連載。
三国志のほか、日本の戦国時代や幕末などを得意分野とする。
イベント・講演にも出演多数。神奈川県横浜市出身。
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