みなさんは中国の歴史を題材にした作品は?と訊かれたらどんな作品を思い浮かべるでしょうか。
最も有名な作品と言えばやはり『三国志』。横山光輝氏の漫画から始まり、小説、ゲームなど様々な形でこの作品を知った方も多いと思います。
最近ですと人気漫画『キングダム』をあげる方も多いかもしれませんね。熱いストーリー展開はもちろん、春秋戦国時代というこれまであまり描かれなかった時代という点も新鮮でした。ほかにも『項羽と劉邦』『水滸伝』『岳飛伝』『封神演義』などなど、数え上げたらきりがありません。
しかしながら、これらの作品がいつの時代でどういった流れを経ているのかをきちんと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?ということで今回は、最近『キングダム』にハマった!という中国歴史ビギナー向けに、いっきに中国歴史をまとめてみたいと思います。
最古の王朝・殷~周の成立と滅亡
中国の歴史上で考古学的に確認されている最も古い王朝が『殷(いん)』です。(文献では『夏(か)』を滅ぼしたとされていますが、証明はされていません)
紀元前17世紀頃に成立し600年にわたって統治を行いますが、最後の王である帝辛が寵愛した妲己(だっき)という悪女によって国が荒れ、滅亡してしまいます。この時代を描いた小説が『封神演義』です。
その後『周(しゅう)』という国が成立しますが、紀元前7世紀になると周王朝は東西に分かれて分裂。周王朝の威光は失われ、次の覇権を狙う諸侯が乱立する時代=“春秋・戦国時代”へと突入していきます。
春秋戦国時代~秦の中華統一(漫画『キングダム』の舞台)
ここでいよいよ漫画『キングダム』の舞台となる春秋戦国時代が登場です。(こんなに古い時代だったの!と思った方もいるのでは?)
春秋戦国時代は、紀元前770年から紀元前221年まで500年間も続いた戦乱の時代。隣国の日本では縄文時代が終わり、弥生時代が始まったような頃です。
数多くの国が覇権を争っていた春秋戦国時代でしたが、後半に入ると次第に勢力図もはっきりとしてきます。弱小国は強国に併合されていき、最終的に中国は戦国七雄と呼ばれる『秦』『楚』『斉』『燕』『趙』『魏』『韓』の大国に分裂します。
その中で強国として成り上がってきたのが『秦(しん)』という国でした。
漫画『キングダム』は、紀元前221年に中国史上初の中華統一を果たした秦の始皇帝=“政”の時代を、大将軍になることを夢見る主人公・信を中心に描いた作品です。
漫画では民を想いながらも中華統一という強い信念を持った青年として描かれる政ですが、みなさんが思い描く始皇帝のイメージはかなり違うのではないでしょうか。
初めて中華を統一した始皇帝は、郡県制による中央集権の政策を推進するとともに、「万里の長城」や皇帝の宮殿である「阿房宮(あぼうきゅう)」の建設などで民を酷使。最後は不老不死を求めた始皇帝でしたが、紀元前210年に死去。秦の支配に耐えかねた諸国は反乱を起こし、秦はわずか15年で滅びることになります。
<ピックアップ!オススメドラマ>
『鬼谷子-聖なる謀-』
謀略家・縦横家の祖とされる伝説の賢者・鬼谷子(王禅)が、その類まれなる智謀で強大な敵に立ち向かう姿をスリリングに描く本格歴史大作。<ピックアップ!オススメ漫画>
『キングダム』原泰久(集英社)
時は紀元前。いまだ一度も統一されたことのない中国大陸は、500年の大戦争時代。苛烈な戦乱の世に生きる少年・信は、自らの腕で天下に名を成すことを目指す。2013年、第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
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楚漢戦争~漢王朝の誕生
秦王朝滅亡後の紀元前206年から約5年間にわたり、中国の覇権を巡って西楚の覇王・項羽と漢王・劉邦との間で『楚漢戦争(そかんせんそう)』が繰り広げられます。
故事“四面楚歌”で有名な「垓下の戦い」で項羽を破った劉邦により、新たな統一王朝『漢(かん、=前漢)』が誕生しました。
7代皇帝・武帝の時代に最盛期を迎えた漢でしたが、14代孺子嬰(じゅしえい)が、重臣・王莽(おうもう)によって帝位を簒奪され、滅亡してしまいます。
その後、王莽が『新(しん)』を建国するも、暴政から国内は混乱。各地で反乱が起こる中、漢王朝の復興を目指して挙兵した劉秀ら反乱軍の勝利により、新は一代限りで滅亡。劉秀は光武帝として即位し、『後漢(ごかん)』を建国します。一度は滅んだ漢王朝でしたが、最終的には前漢の時代を含めて約400年にわたり中国全土を支配し続けました。