【 小野篁も登場 】 7月16日(土)から国立公文書館で「ようこそ地獄、たのしい地獄」展が開催

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お盆になると亡者が地獄から帰ってくる・・・なんていいますね。
国立公文書館(東京都千代田区)で、この「地獄」のイメージを所蔵の古典籍でたどる企画展ようこそ地獄、たのしい地獄2016年7月16日(土)から8月27日(土)まで開催されます。
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そこで今回は、地獄についてのプチ予習と、同展で抑えておきたい展示品をご紹介します。

日本の「地獄」のイメージはどこから?

「地獄草紙」
地獄と言えばこんなイメージ?「地獄草紙」

漫画『鬼灯の冷徹』などの影響で閻魔様も最近人気者ですが、この閻魔様や鬼の居る地獄のイメージはどこから来たのでしょうか。

答えはひとことでは言い表しにくいのですが、ざっくり言うと・・・

まず古代インドの死後の世界に関わる信仰が、インド生まれの仏教や中国の道教の思想と混じり、その状態で日本に伝わってきました。これがさらに日本土着の信仰とごっちゃになって、「日本の地獄」のイメージが誕生したのだそうです。

たとえば、閻魔様はインドでは死後世界の神であったものが、中国では罪人を裁く最高裁判官になり、着ている服も中国の官僚の服になります。日本では中国と同じように裁判官の扱いですが、地蔵菩薩と同一視されるなど新たな属性が加えられているんです。

次に、「ようこそ地獄、たのしい地獄」展から展示品を2つご紹介しましょう。

平安時代のバイト君、小野篁と『今昔物語集』

今昔物語集(公式HPより)
今昔物語集(国立公文書館所蔵)

まずは今昔物語集です。
平安時代末期に成立したと言われている説話集で、インド・中国・日本の3カ国の、特に日本の不思議な話・怖い話が数多く収録されています。

芥川龍之介が『羅生門』『藪の中』などの作品を、今昔物語集を元ネタとして書いたことは有名ですね。

展示されているのは、平安時代初期の官人、歌人でもある小野篁(おののたかむら)が、地獄で知人を助けてよみがえらせた・・・という場面です。

小倉百人一首では参議篁(さんぎたかむら)こと、小野篁
小倉百人一首では参議篁(さんぎたかむら)こと、小野篁

『鬼灯の冷徹』でも天然パーマの好青年として登場する小野篁ですが、彼は生前から「昼間は朝廷に仕え、夜は地獄で閻魔王に仕えている」という噂を立てられていた不思議な人です。
今風に言えば「地獄でバイトしていた」ということになりますね。ちなみに彼の地獄への通勤ルートは、伝承によると都のとある井戸だそうです。

迫力の地獄絵、『暁斎画談』

暁斎画談
暁斎画談(国立公文書館所蔵)

2点目は暁斎画談です。こちらは明治20(1887)年に出版された、浮世絵師・河鍋暁斎の画譜(画を種類別にわけたもの)です。
作者の河鍋暁斎(かわなべきょうさい)は幕末から明治の江戸で活躍した絵師です。反骨精神にあふれていて、妖怪や閻魔王、骸骨や地獄の絵を描くことを好み、たくさんの鬼気迫る地獄絵を描きました。

展示されているシーンでは、裸の亡者を追いたてる牛頭・馬頭に大きな赤鬼、罪人を容赦なく臼でつく獄卒たち、何か大きな鉄板のようなものでプレスされる亡者たち・・・と迫力満点の「地獄絵図」が展開されています。

鬼たちの表情はよく観ると1人ずつ違っていて、ユーモラス。
でもずっと絵を観ていると、責め苦の細かい描写になんだかヒュッと背筋が寒くなってきます。

このほかに「源氏物語を書いた罪で地獄に落ちた」とされていた紫式部を供養する『源氏供養表白』など、ちょっと変わった品々も展示されるようです。

なお嬉しいことに、入館料は無料です。
地獄が少し身近になる夏。お盆を前に、あの世のことをじっくりと学んでみませんか?

「ようこそ地獄、たのしい地獄」
国立公文書館 公式サイト

【企画展概要】
・会期:7月16日(土)~8月27日(土)
・開館時間:9:15~17:00
・休館日:日曜、祝日(ただし、8月11日(木・祝)、14日(日)は開催)
※入場無料

ギャラリートーク:企画者による解説が期間中2回行われます。

・第1回 7月27日(水)14時~
・第2回 8月24日(水)14時~
※所要時間30分程度、参加無料、事前申込は不要

参照元
国立公文書館

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