【 入れ墨≠刺青?! 】世界も注目してきた!日本のいれずみ文化とその歴史

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【 入れ墨≠刺青?! 】世界も注目してきた!日本のいれずみ文化とその歴史

プールや入浴施設でよく見かけるのが、「いれずみ・タトゥーのある人はお断り」という但し書き。
外国ではファッションとしてタトゥーをする人が多く、日本での観光で思わぬ「NO」をもらった・・・なんて話も時々聞きます。タトゥーとゆかりの深い刺青(入れ墨)の歴史背景をたどりつつ、日本の「いれずみ文化」について考えてみましょう。

古くは日本でもいれずみは日常だった

いれずみ状の文様を持った土偶

縄文・弥生時代には、日本でも盛んにいれずみが行われていました。主な目的は身分を表すことだったようで、社会的地位によっていれずみを入れる位置や大きさが違いました。

そんな日本で、いつからいれずみが「ダメ」になったのか。
ひとつには、大陸文化と共に流入した儒教と律令制の影響がありました。

大陸文化の影響で「入れ墨」は刑罰に

『日本書紀』十二巻(国立公文書館デジタルライブラリー)
最終行に「即日黥」という記述が見られる

アジア諸民族はいれずみ文化を持っていましたが、儒教は否定的でした。
「父母から頂いた体に傷をつけるなんて!」というやつでしょうか。
また、大陸王朝では刑罰の一つとして犯罪者に入れ墨を施すというものがありました。有名なのが、前漢時代の武将で楚漢戦争(通称「項羽と劉邦の戦い」)で活躍した英布です。彼は黥布とも呼ばれましたが、「黥」は犯罪者に施す入れ墨の一種のことでした。
日本でも律令制を導入する時に、入れ墨を刑罰の一つとして採用しました。『日本書紀』にも刑罰として入れ墨を使っていたという記述が残っています。以降、ファッションとしてのいれずみは日本文化の主流から外れていきます。

江戸時代はファッションとしての刺青の最盛期

いれずみを施した男性
(フェリーチェ・ベアト撮影 1870年頃)

復活したのは、江戸時代。大工や火消し、魚屋に船頭などの職業は、夏場には褌一丁で働くことが多くありました。そんな人々に、ファッションとしてのいれずみはもてはやされました。
「服が着れないなら、体に服(代わりにデザイン)を描けばいいじゃない」ということだったようで。

ちなみに、ファッションとしてのいれずみは「刺青」、「文身」、「倶利伽羅紋々」などと呼ばれ、刑罰として入れられる入れ墨とは区別されていたようです。

18世紀後半になると、肌を露出する職業の間では刺青をしていない方が恥! というほど、浸透したようです。
遊女が馴染みになったお客の名前を腕に彫る「○○命」という刺青も、この流れの中で生まれた文化でした。

ただ、刑罰として入れられた入れ墨を覆い隠すように刺青を彫る人もいたようで・・・幕府はたびたび刺青の禁止令を出しますが、あまり効果がなかったようです。

明治時代にはいれずみは全面禁止に

刺青を取り巻く環境に大きな変化があったのは、明治時代のこと。入墨刑が廃止されると共に刺青は近代国家にふさわしくない文化として禁止されました。
日本に編入された琉球やアイヌには元々独自の刺青文化がありましたが、この時に合わせて禁止されています。

当初の取り締まりは大変厳しかったらしく、彫師は住居を転々としながら、細々と刺青の技術を継承したようです。依頼主は法を恐れぬアウトローが多かったのでしょうか。こうした環境と刑罰としての入れ墨の記憶が結びついて、いれずみ≒反社会的というイメージが定着したのかもしれませんね。

一方で、刺青を日本文化と考えている外国人もいました。明治24(1891)年、皇太子時代のニコライ2世(後のロシア皇帝)が来日した際、長崎で両腕に龍の刺青を入れたことが知られています。

長崎訪問時のニコライ2世
(1891年上野彦馬撮影)

刺青禁止が解除された現代日本はどうなるか?

ファッションとして入れられるタトゥー

戦後の昭和23(1948)年に施行された軽犯罪法から、刺青の規制はなくなりました。
最近は日本でも若い人を中心にファッションとしてタトゥーやタトゥーシールを楽しむ人も増えているようです。
こうした意識の変化は海外からの影響によるものが大きいのでしょうが、日本の刺青文化は、ちょうどターニングポイントを迎えているのかもしれません。

刺青はOKか?NGか?
過去と現在を眺めながら、改めて自分なりに考えてみても良さそうです。

(Sati)

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