8月26日(土)に公開となった、司馬遼太郎原作の映画「関ヶ原」。
公開後2週連続国内映画ランキング1位を達成し、9月4日時点での観客動員数はなんと100万人目前&興行収入11億8千万という大ヒットスタートを切りました。この大ヒットを記念し、9月5日(火)都内で記念イベントが行われ、石田三成役の岡田准一さんはもちろん、小早川秀秋役の東出昌大さん、原田監督が登壇。そしてスペシャルゲストとして、石田家15代目当主・石田秀雄氏も登場。岡田三成から石田家へ、本作の「勝利」が直々に報告されました。
鬼ヒット、そして修羅ヒットへ!?
岡田「鬼ヒットということで、この場に立てることを嬉しく思います。平日でも幅広い年齢層の方や、好きな方は何回も見ていただいているそうなので、鬼ヒットの上の、『修羅ヒット』まで行けたらなと思います。」
東出「僕も歴史好きですが、歴史好きの友達が何回も見て『関ヶ原』を映画化してくれて良かったと言ってくれるので、出演者としてもすごく嬉しいです。関ヶ原の戦いを題材にしているので、言葉の難しさや登場人物の多さなどは他の映画とは類を見ない感じですけど、歴史好きなら何回見ても面白い。今回の多くの人に見ていただき、歴史に興味を持ってもらえたと思うので、今後も歴史(を描いた)時代劇の超大作がどんどん作られて、お客様に興味を持ってもらえたらと思います。僕もあわよくばそこに写っていたいですね。」
原田「この先5年ぐらいは仕事が続きそうだなと(笑)こんなに女性観客がいるということは心強いです。これからも何回も劇場に足を運んで、岡田三成と東出秀秋を楽しんでください。」
石田家15代当主が登場!石田家子孫に伝わる三成エピソード
また、この日はスペシャルゲストとして石田家15代当主の石田秀雄氏も登場。
子孫から見た映画「関ヶ原」での三成像、そして石田家に伝わる三成像について、石田氏からしか聞けないエピソードもたくさん伺うことができました。
石田「今まで三成は冷徹な官僚タイプ、秀秋は凡庸な裏切り者と、マイナスのイメージで描かれることが多かった。今回見事に払拭され、三成は人間的魅力を兼ね備えた幅広い人間、秀秋は非常に利発な人間として描かれていて安心しました。これを機に2人の再評価が始まると思います。私もこれで、死んでも死に切れます(笑)」
岡田「ご子孫の方に喜んでもらえて嬉しいです。いい意味でイメージが変わればと、人間らしい三成を表現するためにお腹を痛がったり、ギリギリな三成を演じていました。」
ここで出演者から、子孫の方にしか聞けない質問も。
東出「子々孫々と伝わっている三成像はありますか?」
石田「DNAが非常に濃い。三成の血のせいか、正義感が強く出てしまう場面が多いかも。また、過敏性胃腸炎が15代続いていて、石田家では三成腹と言うんですけど、私も昨日まで痛かったです。きっと三成も戦いの時に力が出なかったでしょうね(笑)」
岡田「一族皆さんお腹が弱いという噂は本当だったんですね。台本にはなかったけど、僕もたまに心の中でお腹が痛いと思って演じていました。」
原田「全然気づかなかった(笑)」
岡田「誰も気づかないだろうなと思いながら、刑部と話している時にお腹に手をあてたりして『俺、このプレッシャーに耐えられない』という演技を密かにしていました。」
石田「感じましたよ」
岡田「感じてくれましたか?(←嬉しそう)島津と話しているとき、ずっと目をつぶっているんですけど、あれお腹痛いんですよ。みんな色々話しているけど、お腹痛えなって(笑)伝わってないと思っていたので嬉しいです」
岡田「代々石田家に残されているものはありますか?」
石田「リストはあるのですが、空襲の時に焼けてしまった。その中には前田家からいただいた刀などもあったようです。ただ、血だけは燃えません(絶えません)でした。私の家系は三成の長男・重家から来ていますが、家康公は重家たちを生かしてくれています。ちなみに重家は秀秋と歳が近かったようです。」
岡田「秀秋さんはのちに、おかしくなっちゃったと言われていますけど。」
東出「秀秋は岡山に帰ってちょっとだけいい政治とかやっていたようですけど、最期は大谷刑部の呪いとかアルコール依存症とか、毒殺とか諸説ありますね」
実はあのシーンも撮っていた!好きな三成のエピソードは?
また、話題は三成の好きなエピソードに。本編ではカットされてしまったようですが実はあのエピソードも撮影されていたのだそう。
岡田「柿は痰の毒だと言うシーンを一応撮っていたんです。最期、三成が連れて行かれる時に、水はないか?と聞くんですね。すると柿ならあるぞと言われるんですが、三成は『柿は痰の毒だから食べない』と。これから死のうとする人間が、と言われた三成は『大義を思うものは、首をはねられる瞬間まで命を大事にして、本望を達そうとするものだ』という逸話が残っていて、すごく好きなエピソードです。」
石田「岡田さんがおっしゃった柿の話は、三成の考えがよく表れています。処刑場に連れて行かれても、自分の志を達成するまで、最後まで命を大事にした。それが三成の生存哲学ですね。」
東出「太閤検地で大きな実績を残した三成は、秀吉から九州でいい暮らししてこいって言われたのに『自分が九州に行ったら大阪で誰が仕事するんすか』って大阪に残る方を選んだんです。当時は城やるからって言われたらみんな喜んでいくのに、ここで上司のお世話しますよって残ったところが、官僚っぽくはあるけど、義の人だなって思いました。」
原田「僕は朝鮮から撤退する際に三成が行った、船の手配ですね。何往復すればどれだけの人数運べるかなど、戦後処理でその手腕をみせた。本当は三成のそういった部分も描きたがったんですけど、お金がかかるんで・・・(残念そう)」
もし、三成が勝っていたら…?
歴史の話になると必ず出る「もし○○だったら?」という話題。関ヶ原の戦いで、もし西軍が勝っていたら?というテーマで盛り上がる一面も。
東出「もし関ヶ原で家康が討ち死にしたのであれば、東軍についた側がだいぶ改易させられて、毛利や宇喜多などが中心になっていたのかも。上杉が伊達を侵略したり、群雄割拠の時代が100年ぐらい続いたんじゃないでしょうか。」
岡田「(東出さんの意見に)さすがですね。多分、揉めますよね。毛利は降りてきてくれなかったし(笑)三成が勝ってもおそらくトップにはならなかっただろうし、また「イーっ」って怒ってるんじゃないでしょうか。家康公だったからまとまったんでしょうね。」
原田「三成が勝っていたら、日本人の考え方は合理的になっていたでしょうね。理にかなうことを第一に考えていた人なので、家康型の腹芸っていうのは日本人の中から消えていたでしょうし。早くに開国して、明治維新の形は違っていたのではないでしょうか。非常に興味があります。」
『関ヶ原』への思い入れはもちろん、三成のエピソードなどからも、歴史好きによってつくられた作品だと強く感じる本作。
岡田「『関ヶ原』のように歴史をテーマにした作品が作られるのは意義があると思うので、どんどん作られるよう、たくさんの方に見ていただきたい。ここが良かった、ここが好き、ここはこうなんじゃないかと、色々語れるのが歴史や映画のいいところだと思いますので、皆さんも色々語ってください。」
大一大万大ヒット!
映画「関ヶ原」
8月26日(土)より全国ロードショー
配給:東宝=アスミック・エース
監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一 有村架純 平岳大 東出昌大/役所広司
公式サイト:http://sekigahara-movie.com/
©2017「関ヶ原」製作委員会
【ストーリー】
1600年9月15日 関ヶ原。時代が、動き出す。
関ヶ原の戦い――それは、戦乱の世に終止符を打ち、後の日本のありようを決定づけた。秀吉亡き後、豊臣家への忠義から立ちあがる石田三成(岡田准一)と、天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)。三成と家康は、いかにして世紀の合戦に向かうのか?そして、命を懸けて三成を守る忍び・初芽(有村架純)との、密やかな“愛”の行方は……。権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通した“純粋すぎる武将”三成を中心に、三成へ忠誠を誓う島左近、忠義に揺れる小早川秀秋など名だたる武将たち、そして彼らを取り巻く女たちの“未来に向けた”戦いが、今、幕を開ける!!
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