「今年は三国志記念イヤー! 12月10日は三國志の日!」

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「偉人は食から作られる」「歴史ドラマ一騎語り!」など、歴人マガジンで人気連載中の歴史コラムニスト哲舟さんが、コーエーテクモゲームスの看板タイトル「三國志」30周年記念事業発表会を、昨日緊急取材!
「三國志」の歴史を振り返り、これからを展望できる大変貴重なレポート、どうぞご覧ください!(編集部)
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歴史にハマったきっかけが「シミュレーションゲーム」という人は、結構多い。筆者もご多分に漏れず、「信長の野望」「三國志」両シリーズは、より深く歴史の世界へとのめり込ませてくれた、きっかけのひとつ。強い思い入れがある。

2013年に30周年を迎えた「信長の野望」シリーズに続き、今年2015年は「三國志」シリーズが30周年。そんなメモリアルイヤーの5月19日、コーエーテクモゲームスが、30周年記念事業の発表会を行ない、シリーズ最新作『三國志13』の発売日を「三國志の日」の12月10日と発表した。「三國志の日」とは1985年12月10日に初代『三國志』が発売された日だ。(編集部注:その後、コーエーテクモゲームスより2016年1月に発売延期と発表されました

すでに各種サイトで情報をご覧になった方も多いと思うので、こちらでは会場内のちょっとした様子を紹介するとともに、シリーズの生みの親であるシブサワ・コウさん、鈴木亮浩(あきひろ)新プロデューサーの声にじっくりと耳を傾け、改めて『三國志13』がどんな作品になるのか、に迫ってみたい。

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発表会の会場には、上に掲載した2枚の写真のように魏・呉・蜀の旗が翻り、銅鑼(どら)が用意されていた。イベント中の節目節目で「ジャーン、ジャーン!」と高らかな音が打ち鳴らされたのだ。

【川本喜八郎さんの孔明人形も登場!】

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前方に目をやると、川本喜八郎さんの諸葛亮人形が出張していた。『三國志13 GAMECITY 限定セット』には、この1/3サイズの人形が同梱されるとのことだ。SNSでは「うわー、ちょっと高いけど欲しいな~」という反応も多かった。なんとも心憎い特典ではないか。(会場には、人形の所蔵元である川本プロダクションの方々も臨席されており、しっかりと監修していることが分かる)

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初公開された、新作『三國志13』のメインビジュアル。最上部で目を光らせているのが曹操、左中央に孫権と周瑜、右中央には諸葛亮と貂蝉。下部には劉備、関羽、張飛の3人が並ぶ。『信長の野望・創造』でもメインビジュアルを手がけた内田パブロ氏の筆という。繊細かつ大胆なビジュアルにそそられる。

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発表会に登壇されたお三方を接写。右から代表取締役社長の鯉沼久史さん、シブサワ・コウさん、そして『三國志13』のプロデューサーに抜擢された鈴木亮浩さん。

【制作者シブサワ・コウ、鈴木亮浩 両氏が想いを語る】

「三国志好きが高じて当社に入社したほどで、『三國志を作りたい』という思いをずっと強く抱いていた」と、シブサワさんが鈴木さん抜擢の理由を明かせば、鈴木さん本人は「高校生の時、兄のパソコンで初代『三國志』を遊んで徹夜するほどハマり、そこから三国志にのめり込んだ」と三国志好きになった動機を話した。

鈴木さんといえば、「真・三國無双」シリーズ創世記から、15年間にわたって開発に携わっており、ファンの間では「無双のプロデューサー」として有名な方だ。長くアクションゲームの制作を手掛けてきた人がシミュレーションを制作する、そのあたりの位置付けはどうなのだろうか。

「アクションゲームである「無双」シリーズと、シミュレーションである「三國志」シリーズとは切り離して考え差別化をはかっています。「三國志」シリーズはどちらかといえば硬派な描き方を意識していますので、「無双」シリーズのような大胆なアレンジが入ることはありません。シミュレーションのファンの方には安心していただけると思います」(鈴木さん)

筆者は「真・三國無双」シリーズも好きで全作プレイしているが、やはり三国志の歴史や世界観に浸り、それをじっくり体感できるのはアクションではなく、シミュレーション「三國志」シリーズではないかと思う。

三国志をポピュラーにした「無双」シリーズの功績は素晴らしいが、歴史シミュレーション本来の落ち着きある作りは、やはり維持してほしいと思っていたので、この答えを聞いて安心した。

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三國志13のゲーム画面。非常に描写が細かく、洗練されている。

 

鈴木さんはトークの中で、「初代『三國志』では、軍師が『よいおかんがえです』とか『ほかに することはないのですか?』などと助言してくれた。最新作でも、軍師がプレイヤーに助言し、進行の手助けをしてくれます」とも語った。初代にあった独特の懐かしいフレーズ。また、そんな名台詞が登場するのだろうか?!  

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三國志13の曹操、孫権、劉備のグラフィック。新調された武将のグラフィックや能力値をチェックするのも毎回の楽しみだ。

 

【11年ぶりとなる「全武将プレイ制」の採用】

そして、シブサワさんによれば、今回のゲームシステムは、初代『三國志』のコンセプトに立ち帰る形で「人間ドラマの再現」を重視しているという。その結果が、過去の7作目、8作目、10作目のシステムを踏襲した「全武将プレイ制」の採用。武将個人に成り代わってプレイし、軍団の中で出世していったり、結婚したりという個々の人生が体感できるというものだ。

シリーズの伝統は、いわば軍団の長となってすべてを統括する「君主プレイ制」が基本システムだが「全武将プレイ制」は、また違った楽しみ方ができる。最初に搭載された『Ⅶ』では、まだシステム的に成熟していない感があったが、『Ⅹ』ではかなりの進化を遂げていた。『Ⅹ』は2004年発売だから実に11年ぶり。『13』では、どれほどの進化を遂げるのかに注目したい。

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シブサワさんの言葉で印象的だったのが、「初代『三國志』を楽しんでいただいていた方が当時30歳であれば、今は60歳になられているわけですから操作性や、プレイしやすさにも配慮をしています」というところ。シブサワさん自身も同様だが、初代の青年ユーザーが、すでに孫もいるような年齢になっている。「三國志」シリーズが紡いできた30年という歳月をしみじみと感じた。

「前々作『11』、前作『12』では、ユーザーから本当にたくさんのご意見をいただいたんです。そのご意見を制作チーム全員で一つひとつ丁寧に受け止め、しっかりと反映、昇華する形で制作しています」と鈴木さん。そう聞けば、前々作や前作が今ひとつに感じた人や、もう何年もプレイしていないという人も「手に取ってみようかな」という気になるのではなかろうか。

ユーザーに向けてのメッセージでは「30周年という節目にふさわしい集大成、『これぞ三国志』と感じていただけるような最高のタイトルにしたい。ご期待ください」と、両氏は口を揃えた。

いまや、ゲームが「アプリ」と呼ばれる時代。スマホで楽しめる数多の三国志ゲームが稼働しており、まさに群雄割拠状態にあるが、コーエーテクモゲームスは老舗というより家元だ。

歴史ゲームの本家たる自負、そんな思いを制作側も強く持ち、邁進している様がひしひしと伝わってくるひと時だった。早くプレイしてみたいが、まずは続報に注目だ。

 

【横光や講談社、交通機関とのコラボにも注目】

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その他、三国志ファンにとって嬉しい情報も簡単に紹介しよう。まずは横山光輝「三国志」とのタイアップ企画や、講談社が今秋に発売する「隔週刊 DVD&データファイル」をはじめとする、三国志フェアとのコラボ。これは盛り上がりそうだ。

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また、横浜市交通局とのタイアップもあるとか。あの「レッドクリフ」の時のように、駅構内や地下鉄、バスが三国志で彩られるのかも?!非常に楽しみだ。

また、イベントとして、『三國志』ファンを無料で招待するオーケストラコンサート(日付未定)、“真・三國無双 声優乱舞 2015夏”(8月15日)の開催が決定。

ゲームでは『三國志曹操伝ONLINE』、『三國志レギオン』といった新作スマホタイトル、『三國志』と『妖怪ウォッチ』のコラボタイトル『妖怪三国志』、そして『真・三國無双』シリーズにも新展開があることが発表された。

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記念商品も発売。個人的には、この曹操にちなんだ白酒に惹かれる・・・。38度と、白酒にしては度数が低くて胃腸にも優しめ。

三國志30周年記念の今年は、まさに「三国志イヤー」。『三國志13』の発売まであと7ヶ月あるが、それまでにも色々な楽しみが待っている。三国志ファンは幸せな1年を過ごせそうだ。

 

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■三國志30周年記念のキャンペーンや、『三國志13』ほか、商品詳細は公式サイトにて

https://www.gamecity.ne.jp/sangokushi30th/

https://www.gamecity.ne.jp/sangokushi13/

https://www.gamecity.ne.jp/shop/campaign/2015/05/san30th/

(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

※本記事は2015年5月19日に行なわれた記者発表の情報をもとにしたものです。
『三國志13』は、コーエーテクモゲームスより2016年1月に発売延期と発表されました。

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tesshu

上永哲矢(うえなが てつや) 通称:哲舟。歴史コラムニスト、フリーライター。

『時空旅人』『歴史人』などの雑誌・ムックに、歴史や旅の記事・コラムを連載。

三国志のほか、日本の戦国時代や幕末などを得意分野とする。

イベント・講演にも出演多数。神奈川県横浜市出身。

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