若き天才・藤井四段の登場や、漫画「3月のライオン」の映画化など、近年注目されている「将棋」。
日本人の生活に密着してきた将棋ですが、実はその歴史はまだまだ謎が多いようです。
注目が高まっている今こそ知りたい将棋の歴史、そして、あの歴史上の人物の将棋にまつわるエピソードをご紹介しましょう。
将棋の起源は古代インドから
日本で行われている将棋は、西洋のチェスなどと同様、一般的には古代インドの戦争ゲーム・チャトランガが起源と考えられています。
では日本にはいつ頃伝わったのでしょうか。
早くて6世紀ごろではないか、中国を経由して伝来したのでは・・・など言われますが、その時期やルートについては諸説あり、実ははっきりしていないのだとか。
現存最古の将棋の駒は平安時代のもの?
日本で最も古い将棋に関する記述は、平安時代中期の学者・藤原明衡が記した『新猿楽記』にみられます。
また、現存する最古の将棋の駒は、現在の奈良県にある興福寺境内から発掘されています。「天喜6年」(1058年)と記された木簡と共に見つかったことから、同じ年代の駒と考えられています。
起源については不明な点が多いものの、何にせよ将棋は現代まで日本人に愛され、様々なバリエーションを育んできました。
中には歴史上の有名な人物にまつわるものもあります。
朝倉氏由来の朝倉象棋
朝倉象棋は、一乗谷朝倉氏遺跡から発掘された駒をベースに復元された将棋の変形ルールのひとつ。
「醉象(すいぞう)」という特殊な駒を使うことが特徴です。醉象とは「発情して(もしくは酒に酔って)凶暴になった雄の象」という意味なのだそう。
2016年の大河ドラマ「真田丸」の第1回放送で真田兄弟が対局するシーンがあり、そこで醉象の駒が映り話題になったので、ご存じの方もいるかもしれませんね。
朝倉氏のお膝元である福井県内では、朝倉象棋のイベントも行われていて、実際にその様子を見ることもできます。
越前朝倉万灯夜
2017年8月19~20日に開催される朝倉氏遺跡でライトアップのイベント。21日9時から「越前朝倉象棋大会」も開催。
http://mantouya.jp/mantouya.html
秀吉考案(?)の太閤将棋
天下人・豊臣秀吉も将棋を愛した武将のひとりです。
ですが腕前はあまり良くなく、負けてばかりだったとか。
そこで秀吉が考案したとされるのが、太閤将棋です。上手がとんでもなく有利な将棋で、これなら将棋が苦手でも負けることはまずありません。
天下人気分に浸りたい人は、太閤将棋を上手で指してみてはいかがでしょうか。
また、家康も碁、将棋を愛好しており、多くの大名や公家を呼んで囲碁会や将棋会を催しています。
その講師として招かれたのが将棋の名手・初代宗桂と、囲碁の名人・本因坊算砂。家康が天下を取った際、宗桂と算砂には俸禄が与えられ、それが囲碁家元、将棋家元の誕生へとつながっていきます。
この初代宗桂は家康や信長、秀吉にも仕えていたといわれ、現存する最古の詰将棋集「象戯造物」の作者でもあります。
8代・吉宗の時代から!「将棋の日」が定められた御城将棋
江戸時代になると将棋は庶民にも広く親しまれ、日本人の日常には欠かせないものになっていきました。
寛永年間(1630年頃)になると、将軍の御前で指す「御城将棋」が行われるようになります。
そして8代将軍・吉宗のころ、毎年11月17日(旧暦)に御城将棋を行うことが制度化され、それに由来して1975年には日本将棋連盟が11月17日を「将棋の日」と制定しました。
昔から日本人に愛されてきた将棋。
この機会に将棋を始めてみるのもよさそうですね。
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