【伊達政宗が築いた仙台城】最強といわれた構造と歴史を知る！

東北の戦国武将と聞いて、まず思い浮かべるのは伊達政宗ではないでしょうか。”独眼竜”の異名を持ち、数々の戦いに勝利して戦国時代を戦い抜いた政宗ですが、仙台城を築いたことでも知られています。彼が築いた仙台城と城下町は江戸時代を通じて発展を続け、現在まで東北の中心的都市として栄えてきました。

今回は、伊達政宗が情熱を傾けて築き上げた仙台城の歴史や構造、そして現在の仙台城などについてご紹介していきます。

政宗公が築いた！別名、青葉城とは

仙台城は伊達政宗により安土桃山時代、現在の宮城県仙台市青葉区に築城されました。青葉山に建てられたことから青葉城とも呼ばれています。要害に立つ約2万坪の大型の城は、日本中を探索したスペイン人の探検家ビスカイノから「日本で最も優れた城の一つ」と称されました。伊達政宗以来、代々仙台藩伊達氏の本拠地となります。

仙台城の歴史

現在の宮城県大崎市に本拠地を置いていた伊達政宗は、関ヶ原の戦いの翌年である慶長6年（1601）に徳川家康の許可を得て、現在の宮城県仙台市青葉区に新たな城の建設を開始します。これが仙台城です。城自体も大掛かりなものでしたが、城下町も築城と合わせて整備され、これが現在の仙台市の原型になります。建築当初は本丸を青葉山の中腹においた山城で、防衛力に大変優れていました。太平の世に向かう流れの中でも、常に天下獲りを意識していた政宗の野心が伺えます。

江戸時代に入り太平の世になると、政宗の息子で後継者の伊達忠宗は二の丸を建設し、仙台城を戦いの城から政治の拠点へと変えていきます。山城は平時に市中と行き来するのが不便だったことから、二の丸は平地に建てられました。これ以後、三の丸などの仙台城の設備は平坦な土地に増築されていきます。

天下有数の堅城である仙台城でしたが、築城された安土桃山時代から、結局一度も戦場になることなく明治時代に入ります。しかし、明治15年（1882）に発生した火災によりほとんどの建物が焼失し、わずかに残っていた江戸時代に建てられた建物も太平洋戦争末期の昭和20年（1945）に空襲でほぼ焼失してしまいました。その後一部が再建されたり、補修されたりしながら、現在では二の丸の跡地が東北大学川内キャンパスとして使われているほか、残った遺跡や資料館が観光スポットになっています。

最強の城？その構造について

仙台城は日本で最も優れ、最も堅固な城の一つと称されました。その一番大きなポイントはその立地にあります。仙台城は西側と南側を青葉山に抱かれており、東を広瀬川が流れているので、攻め口が北側しかありません。また青葉山は現在の仙台市内で最も高い山なので、矢や銃を攻守双方が使うことになったときに守勢が圧倒的に有利なのです。城内に櫓が多数建てられ攻め手の陣取りは筒抜けになってしまうため、とても攻めにくい城になっていました。本丸石垣は切込接と呼ばれる積み方で作られています。また、仙台城は政宗を警戒していた家康への配慮から天守閣を持たなかった城としても知られていますが、天守に相当する建造物として本丸北東部に艮櫓（うしとらやぐら）が存在しました。

現在の仙台城は？

日本最強の城、仙台城でしたが、明治時代の火災と第二次世界大戦の空襲でそのほとんどが焼失してしまいました。現在では城跡しか残っていませんが、国の史跡として指定され、仙台観光の人気スポットになっています。夜になるとライトアップされる伊達政宗の騎馬像があるほか、宮城縣護国（みやぎけんごこく）神社や政宗の霊廟である瑞鳳殿（ずいほうでん）など周辺に見どころも多くあります。四季を楽しむこともでき、瑞鳳殿の桜や紅葉、仙台城跡がある仙台市の街路並木が見頃を迎える初夏、仙台市内屈指の夜景を楽しむことができる晩秋など、一年を通して楽しむことができます。また本丸跡や本丸北面の石垣、昭和42年（1967）に再建された大手門脇櫓（大手門隅櫓ともいう）などからは当時の様子をうかがい知ることができます。また、青葉城資料展示館では当時の仙台城や大広間の様子を表現したCG作品を見ることもできます。