京都三大祭りの一つ、葵祭。
天皇からの使者である「勅使(ちょくし)」が派遣される「勅祭」です。
毎年5月15日に開催される葵祭は、国内外から多くの観光客が訪れる日本有数のお祭りです。
そもそも葵祭とはどのようなお祭りなのか、皆さんご存知でしょうか?
雅の世界を現代に映し出す葵祭の歴史
天候に恵まれず五穀が不作だった567年。占いの結果、不作の原因は「賀茂の神々の祟り」である、とされました。そこで欽明天皇の勅命で祭礼を行ったところ、五穀豊穣となり国民も安堵したことが葵祭の起源とされています。
弘仁10(819)年、朝廷の重要な祭祀として国家的行事になりました。
平安時代の雅な生活が描かれた「源氏物語」の中でも、主人公・光源氏の妻である葵の上と、嫉妬深いキャラクターの六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)が、葵祭の斎王列を見物するために車争いをしたり、その10年後に光源氏と葵の上が桟敷席から葵祭を見物する様子などが描かれています。
そんな平安の世界観を現代へ蘇らせたのが、この葵祭。鮮やかな平安絵巻を実体験できることでしょう。
葵祭の見どころは華やかな「斎王」
葵祭のもっとも注目を浴びる美しい存在が「斎王(さいおう)」です。
斎王とは、賀茂神社もしくは伊勢神社で巫女として奉仕をした内親王や女王のことを指し、「日本書紀」にも記されていたほど歴史ある存在なのです。
しかし、鎌倉時代頃から衰退していき、建武の新政後に武士の力が台頭すると共に断絶していきました。
そんな斎王ですが、昭和31(1956)年には、一般女性から選ばれるようになります。(現在は未婚の市民女性から選ばれるため、「斎王代」と称されています)
ただし一般的なオーディションなどで選ばれるのではなく、京都に縁があることはもちろん、多額の費用を負担しなければならないため、主に政財界の令嬢から選ばれる傾向があるとのこと。
斎王は事前にメディアで紹介され、「斎王代禊の儀」を5月4日に執り行った後に葵祭へ取り組むのです。
2016年葵祭は?
今年の5月15日は日曜日ということで、混雑が予想されます。
沿道に多くの人々が並ぶ葵祭の行列コースと時間は以下の通りです。
京都御所 出発(午前10時30分)堺町御門 → 丸太町通 → 河原町通 → 下鴨神社到着(11:40)
路頭の儀・出発(14:20)→下鴨本通 → 洛北高校前(14:40) → 北大路通 → 北大路橋(14:55) → 賀茂川堤 → 上賀茂神社到着(15:30)
500名を超える平安時代の装束を着た人々の行列は圧巻です。
行列を先導する騎馬の「乗尻(のりじり)」から始まり、平安時代の警察「検非違使志(けびいしのさかん)」の次に「検非違使志」の上役「使検非違使尉(けびいしのじょう)」が続きます。
それぞれに役割と意味をもった行列であるため、事前に知識を得た上で一つ一つを観察するのも楽しみ方の一つでしょう。
当日が雨天の場合は翌日に順延、両日とも雨天の場合は中止となりますが、小雨の場合は行われることも多いです。
葵祭の関連行事は事前・事後共に多く存在します。
葵祭後では、5月28日に下賀茂神社で小川流煎茶献茶祭(おがわりゅうせんちゃけんちゃさい)」が行われ、雅楽の演奏と献茶後に一般の方でもお茶席にて本格的なお茶が楽しめます。
ぜひ今年の葵祭は、歴史を感じながら楽しんでみてはいかがでしょうか。
参照元:
「葵祭」京都市観光協会
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