2016年から新たに国民の休日となった「山の日」。
この休日は、日本山岳会をはじめとする関係者からの要望のもと、国会で2014年に制定され、今日初めての施行になったそうです。
お盆直前に制定された日なので、夏休みが増えた方もいるのではないでしょうか。
今回、この山の日にちなんで、昨今本格的ブーム到来か!?と思われる「山城」にフォーカス。
そもそも山城とは、その名の通り山に造られた城郭全般を指しますが、山の地形を活かした「縄張り(設計図)」の妙や、石垣の美しさ、眺望の素晴らしさなど、いろいろな見所が異なるのもブームの理由になっているようです。
そこで歴人マガジンでは、初心者の方にもチャレンジしやすいものも含めて独断で選んでみました。
では早速まいりましょう!
1.大ブームの火付け役となった竹田城(兵庫県)
昨今のブームの火付け役として、最も有名な山城といっても過言ではないのが兵庫県朝来市の竹田城。
室町時代に築城されたと伝わり「日本のマチュピチュ」とも言われるこの山城は、建造物こそないものの、ほぼ築城当時の見事な石垣が残されています。
また秋の早朝には、城のある古城山が厚い雲に覆われた雲海ができ、それはまさに「天空の城」のネーミングにふさわしい幻想的な光景が広がります。
日本100名城に選ばれたり、CMや映画で再三登場したことで、広く知られることになり、2005年度は33,000人程度だった来場者が2013年度にはなんと50万人を突破したそうです。
しかしその結果、石垣崩落の危険性や城ちかくの山道も荒れまくってしまうという問題も発生、その管理整備のため2013年より有料化されましたが、今もたくさんの観光客が訪れています。
2.人気の城アプリの人気投票でも1位!備中松山城(岡山県)
さておつぎは岡山県高梁市にある備中松山城。
以前にご紹介した、全国3,000城もの城データを集約した人気の位置ゲームアプリ「発見!ニッポン城めぐり」のユーザによる「戦国世論調査」でも、日本三大山城のなかで高取城(奈良県)岩村城(岐阜県)を抑え堂々の1位に輝きました。
この「戦国世論調査」ページには、選択したユーザーさんのコメントが多数載っています。
そのなかでも「現存天守閣と巨大な自然石の石垣があるのが素晴らしい!」というコメントに代表されるように、江戸時代に建造され、国の重要文化財に指定されている天守、二重櫓、土塀の一部が残っており、それが決め手になっているようです。
このお城は標高430メートルの臥牛山山頂にあり、現存天守を持つ山城としては最も高い所にあるという価値のある城。
さらに備中松山城も、日によって雲海の中に浮かぶ天空の城でもあります。
鎌倉時代の延応二年(1240)に砦が築かれたことに始まる長い歴史をもつ備中松山城、こちらも捨てがたい魅力満載です。
また同じ名で有名なものに伊予(愛媛)松山城があります。
こちらも現存天守12のうちの1つでもある天守を含め、櫓や門の多くが国の重要文化財指定を受けている人気の高い城。こちらも紹介したいところですが、山城しばりなので今回は割愛しました。
3.これぞ山城の面白さ!初心者にも歩きやすい山中城(静岡県)
3つめは静岡県三島市にある山中城。
戦国時代関東の雄として隆盛を誇った後北条氏の祖、北条氏康によって築城されたとされています。
この山中城は、以前にご紹介した「山城歩き 徹底ガイド」(洋泉社MOOK 別冊歴史REAL)でも土の山城ランキングの2位にランクインしており、軍勢を防ぐために造られた畝堀(うねぼり)の美しい姿が魅力。
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豊臣秀吉の小田原攻めに備えて大改修が施されて秀吉軍を迎え撃つのですが、押し寄せる軍勢の前に数時間で落城してしまったとか。
富士山も見える絶景の地に、緑に囲まれ静かに佇む山中城を見ると「兵どもが夢の跡」という言葉が胸に浮かびます。。
4.さすが第六天魔王の居城、眺望もハンパない岐阜城(岐阜県)
さて、山城4つめは第六天魔王 織田信長の居城だった岐阜城。
山城の魅力は前述したように、遺構だけではなく眺望も大変に重要な魅力の一つですね。
桶狭間の戦いで今川義元を退け、一気に天下統一へと近づいた信長が、美濃の斎藤龍興から奪取した金華山(稲葉山)城を壊して建てたのがこの岐阜城です。
私も過去訪れたことがありますが、岐阜市内に立つ急勾配な金華山の上に、昭和31(1956)年に再建された天守からの眺望はまさに息を飲む絶景。
織田信長もこの眺望を眺めながら天下布武の構想を抱いていたと思うと、胸が熱くなります。
5.東京都心から1時間あまりで行ける本格的な城郭 八王子城(東京都)
さて、最後にご紹介するのは、東京郊外の八王子にある八王子城。
都心から1時間ちょっとのベッドタウンである八王子にこんな本格的な山城があるとご存じない方もいるかと思いますが、こちらは前述した小田原の後北条氏の支城として天正15(1587)年ごろに築城されたとされています。
小田原攻めの際、城主北条氏照はじめ守備隊が豊臣軍との1,000名以上の死傷者を出す激戦の末に、女子供含め全員が自害したという悲しい歴史をもつ城ですが、平成2(1990)年の落城400年の節目に整備され、平成18(2006)年には「日本100名城」に選定されました。
戦国時代の山城の状態をよく残していることが選定理由だったとされるように、できるだけ当時の形に忠実に再現された城址が、首都圏からこんなに近いところにあるということでご紹介させていただきました。
あなたの町の近くにもある山城を探してみよう!
さて、山の日にちなんで今日は編集部が独断で5つの山城を選ばせていただきましたが、それこそ日本にはまだ数万とも言われる城跡があるとされています。
山城はいくさがなくなった江戸時代に入り廃城となったものもありますが、近代に入り地元の方々の努力で復活を遂げ、大きな観光資源として活用されているところが多々あるのですね。
中には本格的な登山モードのお城もありますので、最初は身近なところからのスタートがいいかもしれません。
前述の「発見!ニッポン城めぐり」や「山城歩き 徹底ガイド」などの情報も揃ってきたこれからは、本格的な山城ブームが到来する予感をヒシヒシと感じます。
ぜひみなさんもチャレンジされてみてはいかがでしょうか?
参照元:
「発見!ニッポン城めぐり」
「山城歩き 徹底ガイド」
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