滋賀県在住の作家・松本匡代さんが、石田三成と大谷吉継の少年時代から続く友情などを描いた小説「石田三成の青春」。先日、同作品の漫画化が発表され、Twitterなどで多くの反響を呼んでいます。
本作は2015年2月から2016年1月までTwitterに連載され、フォロワーからの書籍化を望む声を受けて2016年2月にサンライズ出版から発行されました。発行後3週間で増刷が決まり、漫画家・もとむらえりさんによるカバーイラストは、滋賀県の長浜・米原・彦根3市による観光情報誌「MEET 三成」や同名の展覧会のポスターに採用されるなど、人気を集めていました。
漫画化は小説の発行1周年を記念して企画されたもので、書籍のカバーイラスト同様にもとむらえりさんが手掛けます。もとむらさんはこれまで、戦国時代を題材とした作品を数多く執筆しており、小説を漫画化するのは2作目。
「原作の世界観を大切にしながら、その魅力がさらに伝わるよう努め、私自身も楽しみながら描いていきたい」と意気込みをみせています。
漫画に登場する佐吉(元服前の三成)のキャラクターは、以前「MEET 三成」に掲載されて人気を博したイラストに準じており、紀之介(大谷吉継)は佐吉の少し兄貴分として新たにデザインされます。
三成ゆかりの史跡を取材、独自の内面描写で人間・石田三成のプライベートも
著者である松本さんは過去に新選組を題材にした作品で注目され、本作で初めて戦国時代を取り上げたとのこと。
主な出来事は史実に沿いながら、家族や恋人・妻子も登場させ、三成のプライベートを女性目線で描いているのが特徴。三成の内面描写には大胆に独自性を出しています。
執筆にあたって三成ゆかりの史跡へ取材を重ねただけに、作品に対する思い入れは強く、「この本で『私の三成像』といえるものが完成しました。今までにない、かわいげのある人間・石田三成が私なりに描けたかな」と話しています。自作品初の漫画化には「思ってもみませんでしたが、本の見返しに素晴らしいシーンを描いてくださった、もとむらさんなら」と信頼を寄せているそうです。
少年時代からの石田三成と大谷吉継の友情!「三献茶」に隠された秘密も?
ちなみに小説の序盤では、三成(佐吉)が観音寺で修業中、寺に立ち寄った秀吉に3杯の茶をふるまい、その気働きに感心した秀吉が三成を召し抱えるという有名な「三献茶」のエピソード描かれているのですが、ここでは通説と違うポイントも盛り込まれています。
長浜市余呉町小谷(おおたに)生まれともいう大谷吉継(紀之介)をこのシーンから登場させており、三献茶についての秘密を共有するという新解釈を加えているのです。
最終章は、歴史学者の笠谷和比古帝塚山大学教授が「美しさに息を呑んだ」と評し、小説の解説を担当した佐和山城研究会の田附清子代表(滋賀県彦根市在住)も号泣したとのこと。漫画ではどう描かれるのか、楽しみですね!
企画したサンライズ出版では「早く読みたい、次はアニメ化も、など数多くの要望をいただいた。みなさんの期待に応えるべく、2017年の夏までに漫画を発表できるよう調整を進めたい」としています。
今年の夏は、映画「関ヶ原」公開も控えており、再び三成ブーム再燃の予感。
映画で、ドラマで、そして漫画で!様々に描かれる「石田三成」を楽しんでみませんか?
「石田三成の青春」
原作:松本匡代 著「石田三成の青春」(2016、サンライズ出版)
作画:もとむらえり
※小説の解説は佐和山城研究会の田附清子代表(滋賀県彦根市在住)が担当
【プロフィール】
松本匡代(まつもと・まさよ)
滋賀県大津市在住。他の著書に「夕焼け 土方歳三はゆく」(新人物往来社)、「新選組 試衛館の青春」「独白新選組 隊士たちのつぶやき」(ともにサンライズ出版)
Twitter:https://twitter.com/mk106732
もとむらえり
福岡県柳川市在住。おもな作品に、「愛しの焔」「市姫恋絵巻」(ともにフレックスコミックス)、「燕雀安くんぞ」(エンターブレイン)、「徳川家康」(学研)、「風よ、万里を翔けよ」(原作:田中芳樹、秋田書店「月刊プリンセス」連載中)。
Twitter:https://twitter.com/EriMotomura
(編集部)
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