歴人マガジン

東京ゲームショウ2015で「歴史ゲーム」に触れてきた【哲舟の歴史よもやま取材ルポ その5】

去る9月17日から20日までの4日間、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2015」。ゲーム業界、ゲームファンにとって年に一度のお祭りイベントだ。第25回目となる今回は480社(過去最多)、来場者数26万8446人(歴代2位)を動員したとのことで、大いに賑わっていた。

このビッグイベントで「歴史ゲーム」の展示はもちろん、「歴史」に関わるアイテムやキーワードはないものかと探しに行ってきたので、少し日が経ってしまったが回想ルポを記したい。会場に足を踏み入れるや、ビジネスソリューションコーナーにさっそく興味深いブースを発見。

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ビジネスということで、手堅い感じの展示が多いなか、青森の「ねぶた」をイメージしたディスプレイ、番傘や提灯をぶらさげた、日本のお祭り風の雰囲気。株式会社アドウェイズ というインターネット広告代理店である。

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スマートフォンやパソコン向けの広告事業を、アジア11ヵ国で展開。スマホゲーム向けのユーザー情報計測ツール、ゲームアプリの事前予約サービスなどのサービスをPRしていた。グローバルな展開の中で、「和」をアピールするのは正しいと思う。ひと通りの説明を受け、コンパニオンさんにスマイルをもらい、ブースを後にした。

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次に訪れたのが、ブラウザゲーム「刀剣乱舞」が人気のDMMゲームズ のブース。いわゆる「とうらぶ」という愛称で親しまれ、特に女性ユーザーに絶大な人気を誇っている。今年初め、このゲームが人気を博したおかげで徳川美術館ほか、ゲームに登場する刀剣の実物を展示している各地の美術館・博物館の入場者が急増しているとか。

そのアンドロイド版である「刀剣乱舞-ONLINE- POCKET」「艦隊これくしょん -艦これ-」が展示され、試遊できるようになっていた。スマホでプレイできるとなれば、よりハマり込むプレイヤーが続出するに違いない。自分が育てた刀剣男士をカバンに入れて持ち歩けて、いつでも育てて遊べるというのはファンにとってたまらないだろう。

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どうしても、スマホゲームはプレイ中の写真が地味になってしまうのは致し方ない。私も「刀剣」を、さっそくプレイしてみたが、なるほど細部まで作り込まれていて、刀剣の魅力を堪能できるシステムだなと感心する。戦闘は、何がなんだかよく分からないうちに終わってしまったが、一度腰を据えてプレイしてみなければ。

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各日、先着3,000名へ配布されたミニうちわ。人気キャラクターの三日月宗近と小狐丸が描かれている。「刀剣乱舞」「艦これ」はいずれも、ゲームとしてはまだまだ新しい部類に入るが、歴史から題をとったゲームとして歴史を紡いでいくのだろう。中年ユーザーとしては、もう少し渋い絵柄であれば遊びやすいのだが。

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さて、お待ちかねといった感じで、次に向かったのが「コーエーテクモゲームス」のブース。まずは「三國志」コーナーへ。今年は『三國志13』が発売されるほか、「三國志シリーズ」30周年とあって、歴代パッケージイラストのパネルがずらり。まさに、これはひとつの歴史。なんとも壮観である。

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すぐ脇に、懐かしの『三國志II』の試遊台があった。初代から4年後の1989年に発売され、現在の「三国志」シリーズの原型のベースにもなっている歴史的な作品だ。会場に来て試遊する人がリレー形式で統一をめざすという企画だったらしい。少しプレイしてみたが、とりあえず董卓軍から呂布か賈詡(かく)を引き抜こうとしたところ、間違えて命令を終了してしまった(笑)。それが響いたとは思えないが、4日間での統一は残念ながら果たされずに終わったようである。

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試遊の記念にいただいた、孔明羽扇型うちわ。こちらも数量限定。「うちわ」は、結構どのブースでも配られているが、会場は大勢の人の熱気で蒸すため有難い。

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ステージでは、創業者のシブサワ・コウさん、クリエイターの鈴木亮浩さんらによる「三國志」シリーズ30周年キャンペーンの紹介イベントが開催。ファミ通グループ代表の浜村弘一さんも登場し、「三国志ツクール」の発表も行なわれていた。移り変わりの激しいゲーム業界の中で、老舗看板タイトルの「三國志」シリーズが色々な新規展開を、いい形で見せてくれるのは嬉しい限りだ。そのほか、「NIOH 仁王」「ZELDA無双」など注目タイトルのPRも行なわれていた。

歴史ゲームというと、まあさすがに「コーエーテクモの独壇場」といったところになるのは致し方のないところ。他社にもないものかと探してみたが、今年はあまり該当作品に巡り合えなかった。

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それでもウロウロ歩いていて、台湾のIGS社のブースでようやく見つけたのが『三國戦紀』(PS4)というゲーム。いうまでもなく三国志を題材としたゲームで、どんなものかと思ってプレイしようとしたが、残念ながら回線に不具合が発生したそうで遊べず。台湾発の三国志ゲーム、ちょっと興味が湧いたのだが残念。デモ画面を眺めつつ、お姉さんにスマイルだけいただき退散した。

ちなみに、『三国戦紀WEB』という日本でも配信されているゲームと同じものかと思って調べてみたが、どうやら別ものらしい。また、『三國志戦記』(2002年)に、当時のコーエーが出したゲームもあるため、少々まぎらわしいタイトルといえよう。

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さて、次に訪れたのがピグミースタジオという、大阪のゲーム会社のブース。どこかで聞いたことのあるような響きのBGMが聴こえてきたために近づいてみて仰天した。なんと、『ボコスカウォーズ2』を出展しているというではないか。

1983年(昭和58年)にPC用ゲームとして発売され、後にファミコンなどにも移植された『ボコスカウォーズ』32年ぶりの続編。2008年からファミコン版がWiiのバーチャルコンソールで配信されていることで、21世紀のユーザーにも意外と名前を知られているとかいないとか。

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ドラゴンクエストや、ファイナルファンタジーに先んじて、中世ヨーロッパ風RPGの世界観へと少年たちをいざなった独特の雰囲気が漂うゲームであり、そういう意味で歴史的意義のある作品だ。当時のファミコンゲームと比べても貧相なグラフィックとBGMだったため必ずしも少年ユーザーの間での評価は高くなかったが、ハマる人はハマる、好きな人はとことん好きになる不思議なゲームだった。

前作は、主人公の「スレン王」を操作して大勢の兵士を率い、バサム帝国の「オゴレス王」を倒しに行くという筋書きのゲームだったが、『2』も目的や操作感はまったく同じ。ストーリーは前作の「32年後」を描いたものとされ、新キャラクターが登場したり、当時は描けなかったバックグラウンドストーリーが描かれたりと、新旧ユーザーとも楽しめる仕様となっている。

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最大の売りは、グラフィックを当時の2Dタッチのものと新たに描き起こした3Dタッチのものとに切り替えることができるという点。3Dは立体的で味があるが、キャラの位置がつかみづらく、2Dは絵はショボイけどキャラの位置が見やすいという一長一短がある。試しに遊んでみたが、やはり面白い。時間の関係により途中で切り上げたが、ぜひ後日プレイし、当時はできなかったオゴレス王打倒を達成してみたいものだ。PS4で年内にオンライン販売されるらしいので、注目しておきたい。

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原作者のラショウさん。ブースでは「ボコスカウォーズのテーマ」を時々、自ら歌いあげると言うサービスぶり。子供の頃に遊んだゲームの原作者にお会いできて嬉しい限りである。私は今まで勝手に『ボコスカウォーズ』は、『ウィザードリィ』などのように、アメリカかヨーロッパ人が作ったのかと思っていたのだが、日本人だったと知り驚いた。本人に聞いてみたので間違いない。約30年越しの新発見だった。

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すぐ隣の「南海ソフト」ブースでは、競技かるたゲーム「Miyabi VR」の試遊デモンストレーションが行なわれていた。ヴァーチャル装置により、体感で日本古来の「かるた」が楽しめるという、新しいのか古いのか微妙な作品が存在するのもまた、デジタルゲーム業界の面白さといえよう。

この他にもコナミ、バンダイナムコ、カプコンなどの老舗メーカーのブースを訪れ、たくさんのブースで楽しむことができたが、とても書き切れないために割愛させていただく。そんなわけで、東京ゲームショウ2015をレポートしてみたが、少ないながらも歴史ゲームとの触れあいが楽しめた。歴史ファンとしては、今後も歴史を題材としたゲームが、もっともっと増えてくれることを期待してレポートを終えることとしたい。

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