【 新選組後日談 】生き残った隊士と残された妻のその後

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【 新選組後日談 】生き残った隊士と残された妻のその後

幕末の激動期、一瞬だけ鮮烈な輝きを放った新選組は、鳥羽・伏見の戦い以降は瓦解の一途を辿りました。
近藤勇が捕縛・処刑され、土方歳三は五稜郭で戦死し、ついに終焉を迎えたのです。
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しかし、生き残った隊士もいました。また、残された妻もいました。
彼らはどんな「新選組・その後」を過ごしたのでしょうか。

新選組の評価を変えさせた男:永倉新八

「目元、口元に若かりし日の面影が」
「目元、口元に若かりし日の面影が」

剣の腕は沖田総司をも凌ぐと言われた永倉新八
甲州勝沼の戦いでの敗戦後、近藤らとは別れ、独自に隊を組織して北関東を転戦しました。しかし会津藩の降伏を知ると、江戸へ戻ります。

そこでかつての母藩・松前藩への帰参を許されたため、明治4(1871)年に松前藩医・杉村介庵の娘きねと結婚し、婿養子へ入ります。
やがて家督を継ぎ、杉村治備(のち義衛)と改名して小樽へ移住しました。その後は樺戸集治監(刑務所のようなもの)の剣術師範を務め、東京で剣術道場を開いた時期もありました。晩年には、東北帝国大学農科大学(北海道大学)の剣道部を指導したこともあったそうです。
そして、大正4(1915)年に虫歯由来の骨膜炎と敗血症にて77歳で亡くなりました。

永倉は「浪士文久報告記事」や「七ケ所手負場所顕ス」などを記し、新選組の記録を残すことに努めました
また、小樽新聞の取材に応じ「新選組顛末記」の完成にも協力しています。

新撰組顛末記(KADOKAWA/中経出版)
新撰組顛末記(KADOKAWA/中経出版)

こうした彼の活動により「新選組=悪」という当時の構図が打ち崩され、後に彼は東京都北区滝野川に近藤と土方の墓を建てることができたのです。

生涯現役の思いが強かったか、永倉は大学の剣道部に請われて出かけ、帰りには体を痛めて馬車に載せられ、学生に抱えられて帰ってきたことがあったそうですよ。

謎多き男の堅実なその後:斎藤一

今年発見された斉藤一の写真
2016年発見された斉藤一の写真

出自や本名など不明点の多い謎の男・斎藤一は、会津で戦い続けましたが、会津藩が降伏すると新政府軍の捕虜となります。
そして会津藩が斗南藩(下北半島)に鞍替えとなると、そこへ従いました。そして2度の結婚を経験していますが、2番目の妻・高木時尾を娶った際に、藤田五郎と再々改名しました。

明治4(1874)年には警視庁に入庁し、西南の役に参戦しました。
その後は東京高等師範学校付属東京教育博物館(国立科学博物館)の守衛長と撃剣師範を務め、後に東京女子高等師範学校の庶務・会計を務めました。

亡くなったのは奇しくも永倉と同じ大正4(1915)年でした。
胃潰瘍でしたが、座ったまま最期の時を迎えたそうです。77歳でした。

撃剣師範を務めた時は、学生は誰も斎藤の竹刀に触れることすらできなかったそうです。
その一方、登下校の際の人力車の交通整理まで買って出たそうですよ。

夫を想い続けた妻:松井つね

「醜女ではないと思いますが」
「醜女ではないと思いますが」

「美人は貞淑でないが、醜女は夫によく仕え、控えめだから良い」
とは近藤勇の持論らしいですが、その彼が妻に望んだのが松井つねでした。

娘に恵まれますが、その翌年には近藤は京都へ旅立ってしまいます。それから顔を合わせたのは本当に少なかったことでしょう。
そして、近藤は流山で捕縛・処刑されてしまうのです。しかし彼女は再婚を進められても応じませんでした。

試衛館時代、近藤の稽古着にはつねが当時流行りのドクロの刺繍をして持たせていました。
また、江戸へ退却する船中、近藤が「妻子に会えるとなるとやはり嬉しい」と漏らしています。そして彼はつねへの土産として銀の指輪を携えていたそうです。
近藤の死後、娘にも先立たれたつねですが、再婚を拒み続け明治25(1892)年に亡くなりました。

永倉や斎藤の晩年は家庭にも恵まれた人生だったようで、良かったなあと心から思います。
ただ、つねは気の毒でした。やはりいつも、戦いで悲しい目に遭うのは圧倒的に女性なのです。

(xiao)

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