【 近藤と土方の愛刀が再会!龍馬を斬った刀も 】京都・霊山歴史館で『幕末動乱!! 龍馬、新選組』が開催中

2017年は「大政奉還」や「王政復古の大号令」から150年目にあたります。265年続いた幕藩体制が崩壊し、明治新政府の樹立に向け、様々な動きが起こった慶応3年(1867)は、まさに動乱の年でした。その時、坂本龍馬新選組は、また天皇や大名は、どう動いたのか――。
そんな幕末維新を幅広い資料で探る企画展「幕末動乱!!龍馬、新選組」(5月10日~7月9日)が、京都・霊山歴史館で開催中です。

2017年初夏の企画展
「幕末動乱!! 龍馬、新選組」

2017年3月に新収蔵した近藤勇の所用刀「阿州吉川六郎源祐芳」と、2016年4月から常設展示している土方歳三の愛刀「大和守源秀國」が150年ぶりに再会、同館で並んで展示されているということで、編集部も実物を拝見しに伺いました!

近藤と土方の刀が並んで展示されている霊山歴史館


京都市東山区にある霊山歴史館。創設者は松下幸之助氏(松下電器/現・パナソニックの創業者)だそうです。入り口で龍馬がお出迎え。

入館してみると、さっそく目に飛び込んでくるのは福岡藩士・平野國臣辞世の句。土方・ペリー像とともに黒船の模型も展示されています。

そして、1階のホール右手に展示されている刀を発見!

【新収蔵】近藤勇 所用刀
「阿州吉川六郎源祐芳」

こちらが、霊山歴史館が今年新収蔵した新選組局長・近藤勇の愛刀「阿州吉川六郎源祐芳(あしゅうきっかわろくろうみなもとのすけよし)」です。

慶応4年(1868)4月、新政府軍に捕縛され、江戸板橋刑場で斬首の刑に処せられた近藤。近藤と懇意にしていた侠客が、京都三条河原にさらされた首級とともに、この愛刀を会津に持ち去ったと伝わっています。

銘によると慶応元年(1865)8月に作られたもので、刃紋は直刃、刀身は75.5cmです。

当時、階級によって用いる鎺(はばき/刀と鞘を固定するための金具)の素材はほぼ決まっていましたが、この刀は銀無垢でできており、旗本クラスの佩刀とみられるのだそうです。
よく見ると鞘も蒔絵風に仕上げられていたり、鍔も鉄に赤銅を埋め込んだものが用いられており、かなり細かな部分にこだわりが見られます。柄の部分は手の脂で光っており、近藤がかなり愛用していたことも伝わってきます。

その隣に並んで展示されているのが、副長・土方歳三の所用刀「大和守源秀國(やまとのかみみなもとのひでくに)」です。

土方歳三 所用刀
「大和守源秀國」

これは土方が京都や戊辰戦争の各地で戦った際に使用されたもの。近藤の刀と同様直刃で、いかにも新選組らしい実践刀ですね。裏銘には「幕府侍 土方義豊(歳三の諱)戦刀」とあり、とても貴重な刀です。
また、「秋月種明懇望帯之」ともあり、この刀が戊辰戦争で土方が慕っていた会津藩士・秋月登之助種明に贈られたとみられています。

縁金は「安宅の関」の弁慶と義経で、土方が好きだった梅も描かれており、自身で選んだ可能性が高いとのこと。

近藤と土方が愛用していた刀を、京都で並べて見られるなんて、感慨深いです・・・。
ふたりも150年後にこのような再会を果たすとは思っていなかったでしょうね。

近藤・土方の刀は常設展示されており、7月17日(月・祝)には夏の特別講演会「新選組局長・近藤勇 首級の埋葬地と刀」と題して、刀剣研究家の権東品氏(新選組刀剣研究家)による講演も開催予定とのこと。
詳しい解説を聞きたい方は、こちらの講演へ参加されてみてはいかがでしょうか。

また、その隣には「坂本龍馬を斬ったとされる刀」も展示されています。

京都見廻組隊士が「龍馬を斬った」刀も!

京都見廻組隊士・桂早之助が近江屋で龍馬を斬った刀「銘 越後守包貞」(上段)と所用刀(下段)

慶応3年11月15日、坂本龍馬は京都・近江屋の一室で京都見廻組の襲撃に遭い、亡くなっています。
龍馬を斬ったといわれているのが、京都見廻組隊士・桂早之助。龍馬暗殺の9か月ほど前、慶応3年2月に京都見廻組に抜擢された早之助は、小太刀の名手でした。天井の低い室内での戦闘を予想し、龍馬殺害に起用されていたのです。

早之助が龍馬を斬った脇差「銘 越後守包貞」と所要刀も展示されています。脇差の刀身は1尺3寸9分(約42㎝)、よく見ると無数の傷があります。

桂早之助の脇差「銘 越後守包貞」かなり錆びつき刃こぼれしています。

その後、早之助は京都見廻組肝煎に昇進していますが、翌年慶応4年(明治元年)鳥羽伏見の戦いで戦死。享年28歳でした。下段の刀は、そのときに佩刀していたものだそうです。

同じく龍馬襲撃に参加していた今井信郎の脇差も2階に展示されています。
戊辰戦争で転戦し資金難だった今井は、一度この脇差を手放していますが、思い入れが強かったのか、数十年後に探し出して買い戻しています。

龍馬、新選組…倒幕・佐幕両派ゆかりの品が一堂に!

2階の展示スペースには、他にも幕末維新に活躍した志士たちの品々が数多く展示されていました。

6キロもある近藤勇所用の鎖帷子

新選組関連の品は多く、他にも隊士の袖章や、島田魁が戊辰戦争で胴に巻き付けて戦ったという「東照大権現」と書かれた大幟(おおのぼり)なども展示。

龍馬関連の品々も多く、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)に献上されたという坂本龍馬献上写真や、肖像画、書状なども。ちなみに、ひときわ目を引くこちらのリアルな龍馬の等身大人形、よく見ると腕の毛まで再現されていました(笑)

龍馬の等身大人形や、肖像画も

他にも、西郷隆盛を介錯した刀や、木戸孝允所用の短刀、徳川慶喜の書なども展示。

徳川慶喜の一行書

こちらの一行書は、慶喜が京都見廻組隊士・波多野小太郎に贈ったものとあります。さすが慶喜公、達筆ですね。

偉人たちの書状もたくさん展示されています。山内容堂が松平春嶽に宛てた書状では、酔っぱらった容堂が自らを「狼生」、春嶽を「鼻公」と書いています。

「山内容堂書状 松平春嶽宛」

こういった偉人同士のやり取りが垣間見れる書状を見ると、歴史が動いていくのを感じますよね。

本企画展の趣旨通り、幕末維新に名を残す偉人たちが当時どのように動いていたのか、その痕跡が見て取れる展示品の数々はとても興味深かったです。
坂本龍馬や西郷隆盛、木戸孝允など倒幕派志士に関する資料だけでなく、新選組や徳川慶喜、松平容保など幕府側の資料も数多く所蔵されているのは、倒幕・佐幕両派がともに活躍した京都だからこそ。
幕末維新史を双方の視点から見ることができる霊山歴史館。現在開催中の幕末維新スタンプラリーのスタンプ設置場所でもありますので、皆様にもこの節目の年に訪れていただきたいです。

2017年初夏の企画展「幕末動乱!! 龍馬、新選組」

開催期間:2017年5月10日(水)~7月9日(日)
※月曜休館(祝日開館、翌日休館)
開館日等詳細は変更になる場合がありますので事前にHPをご確認ください。

幕末維新ミュージアム 霊山歴史館
HP:http://www.ryozen-museum.or.jp/

(編集部)

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