青々とした水田に映える真田幸村と上杉景勝。
まさにこの夏、山形県米沢市小野川温泉そばの田んぼに描かれている、NHK大河ドラマ「真田丸」でもおなじみの二人、本当に見事ですね。
このように水田をキャンバスに見立て、色の異なる稲で描かれる「田んぼアート」、テレビでも多数紹介されたことがあるのでご存知の方も多いかと思いますが、今日はこの素晴らしい試みについて調べてみました。
ITと手作業の協業で作られる珠玉のアート
この田んぼアートですが、もとは1993年、青森県田舎館村の村おこしの一貫として始められたものだそうです。
手法としては、通常の稲のほか、古代米といわれる色の異なる日本古来の稲を植えて、この鮮やかな絵が現れるのだそうです。
しかしこれだけの精巧な絵を、1本1本の稲でどのように表現するのでしょうか。
米沢市「田んぼアートの作り方」のページには、その手法が掲載されています。
まず高台から見て絵が自然に見えるように下絵をパソコンで遠近処理、そのデータに基いた座標点に棒を打つ。なんとその数2,000本前後だとか。
その後、さらにその棒をビニールテープでつなぐというタフな作業があり、その後いよいよ市内外の子どもたちや外国の人も参加しての楽しい田植えで植え付け作業完了。
その座標をここまで精密に、しかも遠近法も考慮してできるというその技術に驚き、またそれに基いて2,000本もの棒を田んぼに打ち繋いでいく地元の人の努力にも、あたまが下がりますよね。
秋になり黄金色に染まった稲の刈り取り時は、それはそれは美しい光景。
この米沢市の平成26年度版田んぼアート、5月の田植えから10月の刈り取りまでの流れをぜひご覧ください。
観光資源として成功&コミュニティが活性化の一石二鳥
多くの人の目を楽しませるこの田んぼアートは、もちろん登場以来大人気。
観光名所にもなるわけですから、町の観光資源としても大きな貢献を果たしています。
米沢市は、関ヶ原の戦い後、明治維新まで続いた米沢藩のあった町。
越後から入封した上杉景勝を祖として、直江兼続や前田慶次にもゆかりの深い場所なので、町のPRとしては最高ですよね。
また、米沢市のような地域の歴史に根ざした武将の他にも、いろいろな田んぼアートが生まれています。
現在では全国北海道から鹿児島まで、18箇所の市町村で見ることができるだけでなく、毎年全国のまちから集まったメンバーの方々の「田んぼアートサミット」も開催され、交流を深めているそうです。
青い水田ももちろんとても美しいですが、アートという手法が自然に無理のないかたちで取り入れられ、それが話題になることで、まちが元気になるというこの試みは素晴らしいと思います。
もっと各地でこのプロジェクトが増えていけば、それはそれは楽しそうですよね。
夏のあいだはもちろん、刈入れ前の最高に美しい時期までに、みなさんの家の近くの田んぼアートを見つけて出陣なされませ!
参照元:
「米沢市田んぼアート」
「田舎館村田んぼアート」
編集長Y