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【男装の芸者、歌舞伎の女形…】興味津々!浮世絵で見る江戸の異性装文化

歌舞伎の女形や吉原の祭礼など、江戸時代の女装、男装の文化を浮世絵で見る展覧会「江戸の女装と男装」が、3月2日から太田記念美術館(東京都)で開催されます。現代にも通じる異性装の文化を、江戸時代の人々はどんな感覚で捉えていたのか?興味津々な展覧会の内容をご紹介します。

月岡芳年「風俗三十二相 にあいさう 弘化年間廓の芸者風俗」
(太田記念美術館蔵)

現代より身近だった「異性装」

「古事記」にあるヤマトタケルが女装して熊襲を退治した話や、源義経こと牛若丸が女装した稚児に扮して弁慶と戦った話など、古くから日本にあった異性装の文化。のちに、物語や芸能にも登場し、現代でも歌舞伎や宝塚歌劇団など、その文化は受け継がれています。

歌舞伎に登場する女装の盗賊・弁天小僧を描いたもの。
歌川国貞(三代豊国)「豊国漫画図絵 弁天小僧菊之助
(太田記念美術館蔵)

そんな男女入れ替えの発想が、より身近だった江戸時代の文化や風俗を、歌川広重東洲斎写楽月岡芳年など、歴史ファンにも知られる有名絵師の作品で解説。珠玉の作品とともに異性装の歴史がわかる、お得な展覧会となっています。

女装のスペシャリスト・歌舞伎の女形

歌舞伎の創始者といわれる出雲阿国。当時は女性が男装をし、男性が女装をしていたとされます。寛永6年(1629)に女性が歌舞伎に出演することが禁じられて以降、女形が女性を専門的に演じるようになり、女形の名優が数多く誕生しました。

東洲斎写楽「三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵の妻おしづ」
(太田記念美術館蔵)

女形は日常生活でも女性のように暮らすことを推奨されたとか…まさに女装のスペシャリストといえるでしょう。

萌える?吉原の芸者が男装

吉原遊郭では、8月になると「俄(にわか)」という祭りが開催され、メインストリートである仲之町の大通りでは、男装した芸者たちによる獅子舞や狂言などが演じられました。芸者たちは鳶の扮装をしたり、助六などの有名なお芝居をして祭りを盛り上げたそうです。美しい女性たちの男装は目にも鮮やかだったんではないでしょうか。

歌川広重「東海道五十三図会 四十四 諏訪明神祭礼」
(太田記念美術館蔵)

江戸時代にも人気を博した「男女入れ替え」設定

歌舞伎には、通常では立役(男性役)を演じる登場人物を、男女の設定を入れ替えて女形が演じる趣向があります。浮世絵にも歴史に物語の登場人物の男女を入れ替え、当世風の人物に置き換える「やつし絵」が登場し、人気を博しました。

鈴木春信「やつし費長房」(太田記念美術館蔵)

現代にも織田信長や沖田総司が女性になった作品がありますが、江戸時代からすでに流行っていたようです。今回の展示は江戸の庶民が楽しんだ、洒落た趣向が楽しめますよ。

今よりも身近だった江戸時代の異性装文化。日常の中のひとつの楽しみとして捉えていたのかもしれません。美しくも粋な江戸時代の文化を改めて感じてみませんか?

(編集部)

企画展「江戸の女装と男装」

開催期間:2018年3月2日(金)〜3月25日(日)
開催時間:午前10時30分〜午後5時30分
※入館は開館の30分前まで
休館日:月曜
開催場所:太田記念美術館
お問い合わせHP:太田記念美術館
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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